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第12話 メンデル子爵の屋敷






 俺とルビーさんはサラミスの街の中心街にある高級住宅街っぽいところに来ていた。他の家より造りがしっかりしている、ルビーさんの案内でメンデル子爵の屋敷に着いた。


「ここが子爵の屋敷ですか、思ってたより大きくはないんですね」


「そりゃそうさ、この街で一番でかいって訳じゃないよ」


「そうなんですか」


「ああ、子爵ってもこの街の代官だからねえ」


「王都に本宅があると言う事ですかね」


「そういう事さね、さ、行こうじゃないか」


「はい」


俺達はメンデル子爵の屋敷の前まで来た。屋敷の門衛に俺達が来たことを知らせてもらう、しばらくして、屋敷に入っていいと言われた。


屋敷の中に入るとメイドさんに部屋へ案内される、応接間だろうか、ソファーやテーブルなどがしっかりした作りになっている。調度品などはあまりない、シンプルな部屋だ。


「ここで待っていればいいんですよね」


「はい、すぐに旦那様がいらっしゃいます。ここでおくつろぎ下さい」


俺達は3人掛けのソファーに座る、ふかふかだ。ルビーさんが落ち着きの無い様子で話し掛けてきた。


「どうにも落ち着かないねえ、こういうのは」


「私もですよ、何かやらかさなきゃいいんですがね」


「あたいも」


出された紅茶をゆっくり飲んで待っていると、部屋に人が入って来た。


「お待たせしましたメンデル・クール子爵と申します」


あれがメンデル子爵か、30代のいけてるって感じの人だ。仕事ができそうだな・・・


「初めまして、タナカジローと申します、ジローで結構です」


「はじめまして、ルビーといいます」


俺とルビーさんはその場で立ち上がり、メンデル子爵に挨拶をする。


「ははは、まあ楽にして、いつも通りで結構ですよ」


「は、はい、ルビーってんだ、よろしくお願いします」


メンデル子爵に続いて二人の人物が入室してきた。


「メンデル子爵殿、よろしいかな」


「これは騎士グレン殿、それにサリー王女様まで」


騎士グレンとサリー王女だ、元気そうで何よりだな。


「すまんの、ワシの客人にこの屋敷を使わせてもらって」


「いや、大した事ではない、それよりサリー様の御身体の御加減はどうなんだ」


「うむ、回復術士によると、もう暫く休んだほうがいいそうだ」


「そうですか、なんにしてもサリー様が無事で良かった」


サリー王女も、今はこの屋敷で世話になっているみたいだ。


「メンデル、お手間を取らせます。わたくしの為に公務が疎かになってはいませんか?」


「サリー王女様、ご心配には及びません。どうか御身体をご自愛ください」


騎士グレンがメンデル子爵と一通り話終えたので、こちらを向いた。


「さて、ワシの客人の相手をせねばな、二人共よく来てくれた」


「いえ、」


「ほほ、分かっておるわい、報酬の話だったな」


「は、はい」


「王女様救出にも力を貸してくれたからのう、ズバリ、3千Gでどうじゃ」


「銀貨3枚もですか、よろしいのですか」


「構わん、持っていけ」


騎士グレンから、報酬の銀貨3枚を受け取る。初めてのお金だ。大事に使おう。


「ありがとうございます、騎士グレン様」


俺は騎士グレンに一礼する。俺への用は済んだが、何故ルビーさんを呼んだんだ?


「あたいは既に報酬を貰ってるからね、何であたいを呼んだんだい?」


「ルビー嬢に用があるのはサリー王女様じゃ」


「王女様が?」


件のサリー王女様はなぜだかモジモジしながら話しかけてきた。


「あ、あの、わたくしに口移しで回復薬を飲ませてくれたのは、」


「あたいだよ」


「お名前を・・・」


「ルビーってんだ」


「ルビーさま、・・・ルビーお姉様・・・」


「へ?」


「な、何でもありません。お気になさらず」


「そうかい」


その時、騎士グレンが茶化す様に話に入って来た。


「ほほ、あの時の話をしたら顔を赤らめてしまっての」


「もう、騎士グレン!」


サリー王女は恥ずかしがっていたみたいだ。


「ほほ、」


この後、俺の方から騎士グレンに話があるんだが、ちょっと聞いてみよう。


「それでは、騎士グレン殿の話は終わったようなので私の方からも話を、」


「ん? なんじゃ、ジロー殿」


「アトラス金貨などをコレクションしている方に心当たりはありますか」


「はてのう、ワシは知らんが」


その時、メンデル子爵がこちらに尋ねてきた。


「ほう、アトラス金貨かね、それならスグ・オール男爵がその様な物を収集していると聞いたことがある」


「スグ男爵ですか、解りました。ありがとうございます、メンデル子爵様」


スグ男爵と聞いて、ルビーさんが何か反応した。


「ああ、成金貴族だね」


「これ、ルビー嬢、サリー王女殿下の前だぞ」


「おっと、やっちまったね」


「クスクス、ルビーお姉様ったら」


サリー王女様は口元に手を添えて、優雅に微笑んだ。


メンデル子爵もこの発言に対し、助言をくれた。


「スグ男爵の前で成金貴族は言わぬほうが良いと思うぞ、あれでもな」


スグ男爵と言う人物はあまり評判がよろしくないようだ。何故かな? ちょっと聞いてみよう。


「どういう事ですか? ルビーさん」


「スグ男爵は豪商の家柄でね、金で爵位を買ったって言われているのさ」


「なるほど」


ここでメンデル子爵が話し掛けてきた。


「さて、話は終わりかな、私も忙しくてね。良ければここでお開きにしたいが」


「おお、すまんのメンデル子爵殿、ではサリー様、参りましょう」


「はい、失礼します、ルビーお姉様、またいつかお茶会などいたしましょう」


騎士グレンとサリー王女は部屋を退出した、俺も3千Gを持って部屋を出よう。


「それではメンデル子爵様、我々も失礼いたします」


「うむ、この度の件の働き、見事であったな、気を付けて帰られるがいい」


「はい、失礼します」


俺達はメンデル子爵の屋敷を出て行く、3千Gか、どうしようかな。


「ジローさん、これからどうするんだい」


「そうですねえ、スグ男爵の所に行ってアトラス金貨を売りに行きましょうか」


「だね、あ~何か疲れちまったよ」


「緊張しましたもんね」


俺達はそのままスグ男爵の屋敷に行く事にした。


いくらくらいで買ってくれるかな。




おじさん緊張してきたよ







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