会いたくて会いたくて辛いよ〜
あれからというもの樹月さんと葵の関係はまだまだぎこちないらしい。それだけ二人は向き合って来なかったということでもある。急に仲良くなることも難しいのだろう。
私より親を優先するのは仕方ないことかもしれないがもうちょっと構ってもしい。
不満を溜め込むことを繰り返し、ただ時を刻むだけの亡霊とかしている今日この頃。
「葵〜」
布団の上でジタバタと足を動かし、愛しの名を呼ぶ。
自分で言うのもなんだが、会えない日々があるせいも相まって葵のことを考えてることが増え、思いが増す一方だ。葵は一度私がどれだけ好きなのかわからせる必要がある気がする。
私が、自分の衝動を何度慰めていることか。
考えにふけていると、携帯電話が音を鳴らし自己主張してくる。
[明日あたりに会いたい]
先程までの憂鬱とした気分は霧散し、華やかな気持ちになる。
自分はなんて簡単な人間なのだろうかと苦笑する。
しかし、こんな気持ちになったのだから、多少葵を困らせても問題ないという自身の謎価値観で行動する。
[今日会いたい]
多少の域を超えているような気もしなくはないが、まぁ大丈夫でしょ。
[時間かかるけどいい?]
[何時間でも待つ]
自分でも驚くほど早い返答を送り付ける。
[そんなにかからないよ]
今日葵に会える。可愛いと言ってくれるだろうか。逆に言ってみるのもいいかもしれない。
再度携帯電話が鳴ったので、覗き込むと樹月さんの名が浮かんでいる。
とりあえず無視しよう。嫌いとまではいかないが、好きでもない。なんなら気まずいのだ。そもそもなぜ私が連絡先を持っているのか、あの話し合いの後治療費があーだこーだ言ってあちら側が折れてくれてやっと連絡先交換におさまったという経緯がある。
億劫な気持ちを持ちつつも何とかメールを見ると、書かれた内容に頭が真っ白になった。
[今日葵の誕生日でしたが、時間を下さりありがとうございます]
誕生日? 葵の。自分が葵の誕生日を知らなかった事実に今更ながら気づくことになる。
用意出来るものと考えても私物を渡す訳にはいかないし、今から買いに行って何とかなるのか? 陰気なことを思ってる暇な時間に戻りたい。
プレゼントは私作戦か。いやまずい、浮かれ気分が継続しているようだ。
インターホンがなり、急いで玄関に行くと葵が居る。ダイビングハグをしたい気持ちを抑えてハグに留める。
「会いたかった」
「私も」
この後誕生日のことを弁明することに費やした。




