番外編 地域の人気者に私はなる!
「お願い侑ちゃん」
「嫌ですよ」
郁恵さんにここまで下げられてもやりたくない。なんでも地域のキャラクターである飴桜ちゃんの中に入り、イベントに出て欲しいというものだ。元々予定されていた人は腰を痛めてしまったらしい。身体を大事にしてく欲しい。
猫をモチーフとして描かれており、可愛らしい見た目に反して特技欄がおかしい。運動神経抜群で桜ビックバンというバク転をしたり、不思議な飴をくれるらしい。バク転やったことないし、今まで生きてきて聞いたことない。いったいどこから生えてきたこのキャラ。
「誰が考えたんですかこんなん」
「発案者は貴方よ」
「え!?」
そんなはずない私がこんなおかしなものを私が。
「キャラ絵はあなたの母で、内容は侑ちゃんよ」
「そうなんですか……」
回り回って今更責任が私にきた。
「はぁ、やりますよ」
引き受けちゃった。もうどうなってもいいや。
暑っつい。なんだこれは。着ぐるみが私という存在を蒸す釜に変身した。
「飴桜ちゃんいつもの頂戴!」
いつものってなんだよ! 常連気分か? 思い出せ言われたことを。
「桜飴にゃん」
本当にこれで合ってるのか心配だったが子供達はそんなことよりも飴に夢中だった。
「桜ビックバンやって」
「桜インパクトがいい」
両手を引っ張られ強請られている。桜インパクト初めてましての単語が出てきた。
「そんなことしたら飴桜ちゃん困っちゃうよ」
その声の主を見ると葵だった。なんでこんな所に。
「どっちもやってくれるみたいだよ」
ニヤニヤしながら言ってる。こいつ! 私だと知ってやってる。郁恵さんからか。後で締めよう。
バク転と多分バク宙だろう。やったことないけど。子供たちの信頼を裏切る訳にはいかない。いっちょやりますか!
「葵助けてくれても良かったじゃん!」
「なんの事?」
「飴桜ちゃんのとき」
「飴桜ちゃんに中の人なんていないよ」
「今日は疲れたので何もしたくないです」
「うそうそ、夜ご飯作ってよー」




