浮かれすぎるのも問題かもしれない
唐突だが、侑の様子がおかしいと思う。スマホを見てニヤニヤしてたり、洗い物の途中にふふっと笑い出したりと前までの侑と何かが違う。心境の変化なのだろうか。そうだとしても変わりすぎである。まさか彼氏!? そんな素振り見せたことない。そんなある日私は行動に移す。侑に動きがあったので、後をつけることにした。だからこれは心配なだけなんです。ストーカーじゃないんです。
と誰にするのか分からない言い訳をしてしっかりとついて行く。
ずっと心がぽわぽわしていることを最近自覚した。何かと葵のことを思い出して微笑んでしまう。
口角が言うことを聞いてくれない。困ったヤツめ。
そんな私の最近のお気に入りは、ペアブレスレットである。その……好きな……人が、私と同じものつけてくれているという事実が嬉しくなる。それに葵と繋がっているようにも思える。
今週買いに行こうかなと予定を立てるだけでウキウキ気分を隠しきれない。あぁ〜楽しみだなぁ。
待ちに待った週末がやってきた。バイトが終わってから、そのまま商業施設に出向く。
道中視線を感じたが、気のせいだろうか。脇目を降らずに目的のお店まで行く。
種類豊富で、どれにしようかと悩んでいると葵の気配がして、振り返るとソサクサと逃げる背が見えた。
たちまちその背を追う。元運動部を舐めないでもらいたい。追い詰め、視線の本人の顔を見ると葵だった。
「や……やっほー」
深いため息をついてから問いかける。
「どうした?」
「いや〜」
「ちょうどいいや。ついてきて」
「……うん」
「これとこれどっちがいい?」
「そうだな〜」
なんか葵の歯切れが悪い。何故なのか。
「葵調子悪いの?」
「そんなことないよ」
「ほんと?」
「うん」
直感で私好みのものを選ぶ。白を基調としたものでさし色として青が入っている。
「会計行ってくる」
葵は喜んでくれるだろうか。スキップしたい気持ちをグッと堪える。でも足取りは軽やかだった。
会計を済ませて戻ると葵のぐったり具合が増していた。
「葵〜!」
「今度は何?」
「おかげでいいのが選べた」
「……そう」
葵が寂しそうな顔をしているが、これを渡せばきっとそんな気持ちも吹っ飛ぶだろう。
「はい。これ」
困惑しているのが表情から読み取れる。言葉が足らないようだ。
「これ私と葵でつけたくて買ったんだ」
「え?」
「え?」
お互いよく分からないことが起きてる。ブレスレットを買うのは、流れ的にわかる。その相手が葵なのも当然では。
「そんな話聞いてない」
「言ってないもん」
「主語を明らかにしてよ!」
確かに主語を言ってない。これが原因か。
「流れでわかるじゃん!」
「他人に渡すものだと思ってたの」
「葵以外に渡したいと思う相手いないよ!」
「そうなんだ///」
他人に渡すと思われていたことが一番不愉快だ。もっと信頼関係を密にしないと。
「はい。これあげる」
「大切にする」
その笑顔が見れただけで十分成果はあったと思う。




