未来に向けて歩き出す
目を覚ました。昨日のことがあったからなのか快眠できた。憑き物が取れたのかな。
「ん〜」
伸びをして頭がスッキリとしだした時に視界の隅に人影がある。
「おはよ、侑」
「……おはよう」
昨日はあの後部屋に戻ったはずだ。二人で寝ていないのに葵がいる。どゆこと? 時計を見てやると八時過ぎであった。なるほど様子を見に来ていたのか。
「おそようになるね」
「これでおそようなら私はこんにちは手前になるよ」
「なにそれ」
自然と口角が上がる。幸せとはこんな感じなのかな。
「聖子さん待ってたよ」
「着替えてから行くよ」
じーと葵が私を見てる。こいつまさかこの部屋に居座るつもりなのか。
「見られてたら着替えれないだけど」
「お構いなく」
「いや構うよ」
何当然みたいな顔しているんだ? リビングに行けよ。
「出てけ〜」
葵の背中を押して部屋から追い出した。途中抵抗されてけど力でなんとかした。素肌を見せるのはまだ早い。
リビングに行くとご飯がよそってある。温かいうちに食べてしまいたいが、先にすることがある。
「おはよ〜」
「おはよ!」
「あんたはさっき挨拶しただろう」
「よく眠れたかい」
「そうみたい」
「はいこれ」
おばあちゃんが味噌汁を運んできてくれたみたいだ。
「ありがと」
「……本当によく眠れたみたいだね」
「聖子さんおかわり!」
「沢山食べな」
「はい」
葵たちの会話を聞き流したから朝ごはんを食べる。
「ちょっと葵」
「うん何?」
「散々無視した癖に」
「ごめんて」
「無視したから言ってあげな〜い」
「葵はこの後帰るの?」
「私は邪魔だと言いたいのか!」
「そうじゃなくて、おばあちゃんは葵のこと気にいってるみたいだし。それにまだ一緒に居たかったから、もう少し居ないかなって?」
「……///」
「なんだい。あたしがアフェイみたいだ」
「……なんかごめなさい」
「さっさと片しちゃってくれ」
その後の朝ごはんは気まずかった。
「侑の部屋だ!」
「さっき居たじゃん」
「そうだけど」
まぁ〜確かに私も葵の部屋は多少はね、興味あるし。テンションが上がるのはわかる。
「葵の布団だ。スンスン」
「嗅ぐな!」
頭を叩いた。思ったよりいい音がなって焦る。
「ご、ごめん」
「別にいいよ」
「侑の子供の頃の写真がみたい」
「私アルバム持ってないなぁ」
「え?」
「おばあちゃんが持ってるかも。聞いてこようか?」
「そこまでは」
「家族写真なら昨日のとこだけど」
「あ、うん」
「「……」」
急に葵が黙ってしまった何故なのか。写真のことか。
「葵もしかしなくても昨日のこと気にしてるよね」
「……そうだね」
「多分私はもっと気にした方がいいのかもしれないけど、朝起きたときに今日から前をちゃんと向けるような気がしたんだ。だから家族のことも消化していきたい」
「うん」
「だから葵が気にすることないよ。私はひとりじゃないからね」
葵に抱きついた。心臓が全身に血液を送っていることがしっかりと認識できるほど早い。この音が伝わらないといいけど。
「そうだね。侑は凄いね」
「ちなみに私父母どっちに似てた?」
「この流れで触れるの!?」
「前テレビでこういうの見た時にしたそうにしてたから」
「……そうだけど」
「色々我慢させてきたからね、還元してかないと」
「それなら顔はお父さん側だった」
「葵は……」
葵はどうだろう? 今思い返せば葵の家族について知らないかもしれない。それについても葵とこれからも一緒に居るなら知らなくちゃいけないことのように感じた。
「侑?」
「葵が困った時はこの私が助けるから」
「それも還元?」
「もちのろん」
ドアがノックされた。
「あんたら今いいかい?」
「いいよ〜」
「後にしようかい?」
不思議がってると葵が凄い力をいれてきた。あ! 今葵と抱きしめ合ってた。パッと離れて髪をいじったりして今更だか誤魔化そうとした。
「まぁなんだい昼、流しそうめんしようと思うけどいいかい」
「楽しそう! 葵もいいよね」
「いいよ」
「組み立てたい!」
「それならリビングにおいで」
流しそうめん楽しかった。来年もまたしたい。




