おばあちゃんは強し
(あんたのせいで私たちは)
(お姉ちゃん痛いよ)
(お前さえいなければ)
(侑、お前だけは許さ)
ガバッと布団の音がなるほど行き良いよく起き上がった。過呼吸状態を何とかしようと吸うって吐いてを繰り返し落ち着かせる。
(久しぶりに見た。ここ最近滅多に見ないから油断していた)
今日葵を家に招くからなのかと思いながら、遠くにある時計を見て時間を確認する。午前四時過ぎで、普段起きる時間よりも一時間半近く早い。先程の夢の影響もあって汗だくで気持ち悪く、軽くシャワーを浴びることにした。
「侑、今日お友達が来るだよね?」
「そのはずだけど」
「それなら頑張らなくちゃいかんね」
マッスルポーズをとり上腕二頭筋が隆起する。歳を感じさせないおばあちゃんに元気だなーと言った感想を持つ。
「私も手伝うよ」
私のその言葉におばあちゃんは待ったをかける。
「あんたは何もせんでええ」
「なんで?」
「せっかく友達が来るってのに、そんな辛気臭い顔は困るからね」
「……そうだね」
おばあちゃんには色々バレているらしい。こりゃいつまでたっても勝てないね。
夕方頃葵を迎えに行ったが、葵の家を出る時は、夜の帳が下ろされていた。
「こんな時間になっちゃたじゃん」
「ごめんよぉ」
葵が高々一日のお泊まりに大荷物を持って行こうとするので、取捨選択させることから始まった。
全然始めない際私が勝手に決めようと動いたら、俊敏な動きを見せて整理を始めた。そんなに私に見られたくなかったのかと少し珍しいなと思ったが、始めてくれたのでなんでもいい気持ちが勝った。
それから歩くこと数十分私の家に着いた。
「ここが侑の家!」
「そんな感激すること?」
「うん。聖地に来た気分」
「馬鹿なこと言ってないで入ったら」
「え!? でも」
うじうじしてる葵をアホらしと思い置いて家に入った。
「侑おかえり」
「おばあちゃんただいま」
「こんばんわ、高野葵です」
「こんばんわ、侑の祖母の聖子です。上がって上がって」
「はい」
キッチンに向かおうとしたら止められた。
「あんたは友達といな」
「またですかい」
「友達と話してるところが見たいからだよ」
そう言われると従うしかないのがズルい。
リビングに向かうとコソコソしていた葵が居た。
「どこ行こうとしてんの?」
「あれ侑!?」
「私の部屋か」
「違うよ〜」
ビンゴか。まぁ未遂だから許してやるか。罰として葵の顔を両手で遊ぶ。
「あんたらアホなことせんで、座りなご飯にするよ」
「「はーい」」
食事中は地獄だった。葵がご飯が美味しいと言ってる間は良かった。途中から学校の私の話をし始めたところから流れが変わって大変だった。
「侑風呂に入っていきな」
「私から!?」
「不満でも」
先程の光景が浮かぶ。私がいないところでする気だ。
「順に入らんと混むだろ」
「はーい」
やはりおばあちゃんには勝てない。
「高野さん少しいいかい」
「はい」
侑のおばあちゃんに不意に話しかけられ何か粗相したのかと戦々恐々する。
「あの子が楽しそうなのはあんたのおかげだよ」
「はい」
身構えていた分言われたことの落差で空返事になってしまう。
「少し前までは儚く今にも散ってしまいそうな空気を纏っていたあの子が今では笑うようになったんだ」
孫の成長に喜ばしく思うその姿は、聖母とも言えるものだった。
「ならもっと安心してください。これからも私は侑と居ますから!」
「ははは。そうかいなら良かったよ」
話が一段落したと思ったら、急に爆弾を落とされた。
「で、付き合ってるのかい」
「え!?」
「あんたらの空気感でわかるよ」
「まだ違います!」
「まだか」
侑早く帰ってきて! と心の中で叫んだ。




