さぁ! 運動しよう
昨日から夏休みが始まりゆっくり寝ていると一本の電話が携帯にかかってくる。宛名を見ると葵からであった。二度寝をしようとしたが宛名を思い出し飛び起きた。
普段電話をかけこない葵が電話をするということは何か起きた可能性があり、恐る恐る出ることになる。
「おっはよー! 朝だよ。起きてくださ」
葵を心配して電話に出たことと、寝起きの頭に大声の挨拶が響いたことが相まってイラッとし、思わず電話を切ってしまった。すぐにかけ直しの電話が来る。
「はい」
「なんで切るのさぁ」
抗議されても困る。うるさかったんだもん。
「いやぁ、思わずね?」
「ねじゃないよ!」
「それより何? てゆうか今何時?」
私の部屋には時刻が分かるものが置いてないので何時なのか分からない。
「5時30」
「は?」
「あ、ごめん。間違えた、5時31分」
理解が良く出来ない。一分の誤差なんでどうでもいい。面倒になったので理解することを放棄して本題に移ることにする。
「何用?」
「夏休み始まったじゃんだから公園行こ?」
夏休み=公園? どういうことだ。寝起きのせいで良く分からないというより、葵が説明を省きすぎていると思う。
「ごめん、どういうこと」
「だから公園行こ?」
いや間。夏休みと公園にあるはずの間に入る文を一番欲しているのに! なぜそこを省く。
「とりあえずわかった。寝るわ」
電話を切り、これは夢なんだと決定づけて三度寝の準備をすると凄まじい程の電話が来る。
[要件等簡潔にまとめてメールください]
と葵の連絡先に送って電源を切った。
あの後ちゃんと起きて集合時間の十分前に着いたが葵はすでにおり、不機嫌そうに見てた。
「おはよ」
「……」
不機嫌そうじゃなく不機嫌だ。朝適当にあしらったのがまずかったかのかなぁ。
「ごめんよ〜。眠くて扱いが雑くなって」
「そうだよ!」
私が怒られる流れになっているが私にも一様言い分がある。
「でもさ、葵も悪いと思うよ」
「なんで?」
「昨日私たち夜遅くまで電話してたじゃん。それで眠くなっちゃったんだよ」
葵が夏休み最初の夜電話して過ごしたいというのでいいよと安請け合いしたのだが、多少は大目に見て欲しい。
「でもでも!」
「大丈夫、今はちゃんと起きてるからあしらったりしないよ」
「ほんと?」
「もちのろんよ! じゃ早速運動しようか」
そもそもここに来た理由は、夏休み色んな所に行くのだから外に出ることも兼ねて体力作りをしておこうと思ったらしい。
「これを使います」
機嫌も直った葵が鞄から意気揚々と取り出す。
「何それ」
「フリスビーさ!」
高校生にもなってフリスビーで遊ぶとなると複雑な気持ちになる。
始まると案外熱中する。
「葵、上手くない?」
「センスがあるからね」
「うぜぇー」
「受けてみよ!」
最初は複雑だったが、なんだかんだ楽しめた。
「お昼にしよ!」
わかったと賛同しブルーシートの所まで行く。
「じゃーん! サンドイッチ」
トマトに卵と彩りを考えて、作られている。成長を感じて自分のように嬉しくなる。
「どうかな?」
「美味しい」
お世辞抜きで、正当な評価を伝える。
「やったー!」
ガッツポーズを決めている葵を微笑ましく思いながらサンドイッチを頬張った。
食べ終わりまったり一服していると葵が手を重ねてくる。私は反対に向けて握る。
「前にもこんなことしたよね」
球技大会の練習だと言って二人で来た時からそれほど時間は経っていないはずなのにもう懐かしく感じる。
「そうだね」
あの時から関係性というか私の中の葵の位置が上になったと言うか、上手く言葉にできないが、ただ今は手から伝わる葵の熱を感じていたい。




