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私の特別

 外に出たが、葵の姿は何処にも見当たらない。心当たりがある所を重点的に探すが、何処に行こうと葵は居ない。葵の問いに返す言葉が、私にはあるのだろうか。ふさわしい言葉と考えても堂々巡りにしかならない。またあの時みたいに葵と、話せなくなるのだけは嫌だった。私は無力だ。どう足掻こうとしても葵に会えない。会いたい。



「郁恵さん、どうすればいいでしょうか」

 私は手詰まりになり、郁恵さんのとこに押しかけた。

「どうと言われてもね」

 それはそうだ。葵と喧嘩して見つからないからここに来ているのだから、郁恵さんが分かるはずもないことも頭ではわかっている。それでも憤りを感じてしまう。

「そうですけど!」

「こちらも頑張ってみるよ」

「すみません」

 探すことを再開しようとすると引き止められる。

「侑ちゃんアドバイを一つ伝えておきます。もし葵ちゃんを見つけられたら貴方の心に思ったことを素直に伝えなさい」

「はい」



 葵に会いたいと言う気持ちがどんどん募っていく。

 葵をやっとの思いで見つけることに成功した。私は思わず、抱きしめてしまう。

「葵!」

「……何?」

 何と言われたら困る。用がない訳ではない。ただ会いたかったそれだけだ。

「……」

「あと離して」

「……」

「離して」

「嫌だ!」

 突然大きな声を出したことで葵は、驚きはしたもののすぐにさっきの調子に戻った。

「私はただ葵に会いたかった」

「……」

「葵を探してる途中に、葵が言ったことをずっと考えていたんだ」

「それで?」

「でも、やっぱり分からない」

 葵は、続きを促す様な瞳でこちらを見る。

「それでもまだ気持ちの整理が完璧には出来てないからわからないことだらけだけど、今思ってる気持ちは嘘じゃない。これだけは自信を持って言えるよ。私にとってあのキスは特別なものだと思う。」

「そう……なんだ」

 と安心したのか葵が、我慢していたものが溢れ出し泣き始めてしまった。私は葵が泣き止むまで抱きしめていた。

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