突然の雨にはご注意を
「どうしようか」
「そうだね」
確か午後の授業が始まったくらいから雨がパラパラと降り出していたのだが、今となってはパラパラは、ザーザーに進化した。
「私は持ってきてない、葵は?」
「もちろん私もない」
間抜けが二人見つかったようだ。二人して天気予報を見ていないみたいだ。
「沖縄では、傘をささないらしい。侑、走る?」
「走ってる間に撃沈だよ」
ここは沖縄ではない。それにあれは天気の変わりが早いからささないだけだ。
「ブレザーを傘替わりにするのは?」
「で、そのブレザーは」
「侑、持ってない?」
「あるわけない」
なんせ今は7月なのだから、着用期間ですらないのだ。また雨が強くなった。
「侑も何か案を出してよ」
案と言われても困る。パッと思いついたが、実行したくない。
「最終手段としては、持久戦だね」
「却下で」
「だよね」
やっぱりダメみたいだ。急に葵が向きを変え、手を振りました。
「あまみんだ、やっほー!」
天宮先生が歩いているのを葵が、見つけたみたいだ。それに合わせてこちらに進路を変えて歩いてきた。
「貴方たちどうかしたの?」
「傘がないので、どうやって帰るかと議論しているところだよ」
「それで妙案はあった?」
「ほぼダメです」
「侑、やっぱり走ろ」
「さっきより強くなってるし、キツくない」
「貴方たちは、学校を頼ろうとは思わないの?」
「「?」」
天宮先生が何を言っているのか、私たちには皆目見当もつかない。
「こういう日のために、傘の貸出しがあるのよ」
「あ〜、ありましたね、そんなもの」
「石三さんも、そっち側なのね。去年はもっとしっかりしてたはずなんだけどな」
今大変不名誉なことを言われた。流石の私でも、傷つく。
「先生?」
「なんでもないわ。とりあえず取ってくるから待ってて」
私個人としては、なんでもなくはないのだけど、今はどうでもいいか。
「侑は、私と似てるもんね〜」
「私、葵と似てないと思うよ。絶対に」
「強く否定しないでよ〜」
と抱きついてきた。嬉しいが、天宮先生に見られたら余裕で死ねる。なんとか引き離したい。
「……貴方たち、私が居ないからって学校で、イチャつかないでもらえるかな?」
「すみません」
「いいじゃん、あまみん」
「ダメです」
「葵は、今度から家でね」
「家だと嫌がるじゃん」
嫌がってるつもりは全くない、恥ずかしいだけだ。
「急に抱きつくからだよ!」
「次からは、言ってからするよ」
「そうして」
「……貴方たちいい度胸ね」
あ、天宮先生のことを完全に忘れて、二人だけの世界に行っていた。
私は、先生から逃げるように走り出した。
「先生、ありがとうございました」
「ちょっと」
「あまみんごめんね!」
と葵も私に続いて走り出した。結局葵の家に着いた頃には、二人ともずぶ濡れだった。




