表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/43

人はそれを嫉妬と呼ぶ

 私は球技大会後、葵と過ごすことが普段より多かった。そのため、気分が良かった。はしゃぎすぎて、お弁当作りにも気合いがいつも以上に入った。

 教室に入ると葵が、クラスメイトに囲まれていた。私は驚いたが、面白そうだから観察してみることにした。


「高野さん、運動神経いいんだね」

「……うん」

「それでそれで」


 葵は、多少のぎこちなさはあるものの平生の彼女と何ら変わりなかった。少し私はムスッとしたが、葵が褒められていて私までも嬉しくなった。そんなことも束の間。


「高野さん、葵ちゃんって呼んでいい?」


 え?と声が漏れかけたことに気づき急いで口を閉じ顔を下げた。


「良いな〜、私も葵ちゃんって呼ぼうかな?」

「……」


 私の心は、先程と打って変わってドス黒い何かに覆われていた。

 葵は、名前呼びをどうするのだろう。こればっかりは、私の意思は反映されない。葵本人が決めることである。しかし、もしも私の意思が反映されるなら断って欲しい。


「ねぇ?聞いてる葵ちゃん」

「……」


 私は、この気持ちを落ち着かせるために教室を出た。



 チャイムが鳴り、授業が始まっても先程のことが頭に残っており、何も入ってこなかった。

 時間だけが過ぎ昼休みになった。そさくさと教室を出て、目的地を目指しいく。私が一年生の時によく使っていた場所である。今日は、そこで昼食をとることにした。

 お弁当を開け、ご飯を食べようとしたが、私の手にはもう一つのお弁当箱がある。

(結局渡さなかったなぁ……)


「侑!探したよ」

 不意に名前を呼ばれ、恐る恐る見てみると葵がいた。

「……やっほ〜、葵」

「私今怒ってるからね」

「え?」

「朝から私を避けてたでしょ」

「そんな……」

 はっきりと言えない。葵の周りの子達を見たくなかっただけだが、間接的に葵を避けていたのかもしれない。

「どうしてなの?」

「私だって怒ってる」

「そうなの?」

 私は、今自分の気持ちを言葉にする為に、整理した。

「葵のことを葵ちゃんって呼んでたことに、私は怒ってる。葵の特別は、私だけなのに……」

 言葉にしてやっとスッキリした。私は嫉妬していたんだ。

「そのことね。ならもう安心だよ。あの後すぐにやめて欲しいって伝えたから」

「そうだったんだ」

「ヤキモチ妬いてたんだ」

「うるさい!」

「も〜よしよし」

 葵に頭を撫でられ、許してしまう自分が情けない。

「お弁当作ったから、食べて」

「うん。ありがとう」

 朝と比べ物にならないくらい良い昼だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ