逆襲の時
熱気の籠ったコートに経つのは、久しく感じる。そのせいか、少し右手が震えている。今まで私はこういった場面で、手が震える事がなかったので、武者震いなのか緊張なのか分からなかった。でも、わかることが一つあるとしたら、それは絶対に負けられないということだ。
試合が再開され、激しい攻防が起こる。この間私は、今の自分の実力を確認していた。体力は、落ちているが、技術はあまり衰えていなかった。
スリーポイントシュートが狙える位置でパスがまわってきた。ここで私は、一番得意とする位置でのシュートを挨拶代わりに放つと、ゴールに吸い込まれるように入り前半が終わる。
ベンチに戻り、しばらくしてから葵が話かけてきた。
「侑上手だよ、やっぱり」
「昔の私に比べたら、全然下手だよ」
私は率直な感想を述べた。
「それでも今の侑は、カッコイイよ」
「そう……」
嬉しい気持ちでいっぱいになる。この想いに私は、応えれる様に活躍しなくてはいけない。
「葵、勝ってくる」
自分自身に言い聞かせるというより寧ろ葵に対しての宣言に近いものだった。
「うん。行ってらっしゃい」
後半が始まり、先程の様にスリーポイントシュートを打てる位置に来ると、すぐさまマークが来るようになった。流石の対応力だと関心するが、私にとっては、とるに足りない敵である。
相手選手は、まだ何処かに慢心が隠れているのか、マークが甘い。私はそこを上手くつきながら進み、ランニングシュートを決める。
更に得点をどう取るか考えていると、急に話しかけられた。
「あんた、さっきから活躍して、調子乗ってるじゃないの?」
「……」
私は試合に集中するために、ノイズを無視するが、しつこく話しかけてくる。仕方なく相手してやることにした。
「なんですか」
「さっきから無視して、何様のつもり」
よく見ると、葵と接触した際に馬鹿にしていた奴だ。先程のことも踏まえて、こいつに対してイライラしていたので、喧嘩を吹っかけてしまう。
「別に何様のつもりもないけど、試合中に相手に話しかけるのやめた方がいいよ。自分で下手と言ってるのと変わらないから」
「あんたね、タダじゃ置かないよ」
「やってみろよ、三下」
あれから、アイツのマークものらりくらり交わしながら、個人スコアを伸ばしていく。二人以上で私を見ると、人数差で押し切られることから、私はやりたい放題していた。
アイツが、悔しそうな顔で私を見ている。正直に言うと私とアイツでは、ブランクがあるとはいえ圧倒的な差があった。そして、試合の決定点を私は叩き込み試合が終了した。
「侑〜!」
葵が、走ってきて抱きしめる。葵をまじかで感じる。
「葵、やったよ」
「うん。今日は、ご馳走様だ!」
「用意するのは私だけどね」
「何か買って帰ろ」
「たまにはいいかもね。でも、怪我大丈夫なの?」
「全然平気!」
「そう」
しばらく抱きしめながら葵が、こんなに喜んでくれるなら、たまには本気で取り組むのもいいかもしれないと私は思った。
今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします。皆様よいお年を。




