おとなりの申し込み
同棲生活の三年目、自分の誕生日を迎え、覚悟を決めた。
オレたちはご近所付き合いから始まって、幼馴染み、同級生、恋人、と関係を進めてきた。
そんな付き合いも二十年になる。
だからこそ、結婚の申し込みくらいはハッキリ自分から、と思ったんだよ。
でも難しいな、愛情をストレートに伝えるのって。
そりゃ言える言葉はある。
想いはいくらでも言葉になる。
愛してるから結婚したいんだ、と酔った勢いで何度も伝えてきたし、だが届いているような手応えはまるでなかった。
あぁ、オレからちゃんと『愛』を伝えるにはどうすればいい?
なので、まぁ古風だけど。
「オレたち、家族にならないか?」
……と、そう言ったんだ。
少し照れ臭くてうつむき、顔を見れなかったが、毎年オレの誕生日に手作りケーキを作ってくれた感謝と共に言葉にした、つもり。
だが、答えは。
「いやだ……」
イヤ、なのか。
オレとは、イヤなのかって聞きそうだった。
「もう、人生ぜんぶ差し出した、つもりで……あとは事務的な、赤ちゃん生む前に籍を入れるだけだって思っ……だって今まで、気持ち、なんて……!」
「……ダメ、じゃ、ないんだな?」
「ダイジョブ、プロポーズ、言ってくれると思ってなかった、だけだから!」
いやだ、ってのは、思い掛けない一言だったからか。
続いた言葉に溜め息が出そうだったのを押し殺し、オレは「待たせてゴメン」と指輪を差し出した。
震える左手を支え、ロウソクが照らす指にそっと指輪をはめる。
濡れ光る目元を細めた彼女とキスをした。
これからもずっと、お互いのとなりで生きていこうな。
あるOpenChatの企画掌編です☆
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