第5話 視られる世界と視える世界
「他にも気になった事があるんだが。」
「学校の事か? それとも、私生活の事とか?」
「それも気にはなるんだが……俺って人間なのか?」
「えっ。」
あ、やっぱり違うのか?
「い、いやいや。いやいやいや! 何がどうなってそうなったのか知らないけど、お前も俺も人間だって。そら……ちょっとは他種族の血も混ざってはいるけどかなり薄いし、俺でも忘れるぐらいだけど……何かあったのか? ここから医務室までのこの短距離で。そ、それとも俺が迎えに行くよりも前に何度か起きてて、そう思ってしまうような現象に立ち会ってしまったとか?」
「いや、俺が起きたのは今日で間違いないんだが……そうじゃなくて。さっきから変な物が見えて。」
「変な物?」
「顔がない黒い人影だったり。普通の鏡から手だけ伸びていたり。壁に口が生えてたり。見た事のない変な形のした小動物が肩に乗ってたり……。でもお前は見えてるような素振りがないから確認するかどうか悩んだんだが、これも俺がおかしいのか?」
「あぁ~……。いや、霊感だよ、霊感。」
「……霊感。霊感ってあれか、幽霊が見えるとか言う。」
「あぁ。奏はかなり霊感が強くてさ、よく追い回されてた。」
「追い回されてた。」
「あぁ。それでまぁそういうのを緩和出来る機能をこのピアスに就けてるんだよ。まぁ……見えるのはどうしようもないだろうけど。」
「お前も見えてるのか?」
「あぁ。ただまぁ奏程はっきり見える訳じゃないから、こうやって眼鏡しないと見えないんだけどさ。」
ちらり、と色々わちゃわちゃとしている方に見えれば向こうは俺が彼らを認識出来ている事が嬉しいようで、どうやって飛んでいるのか分からないが空中でバク転してみせたり。中には机の上にある俺の手に甘えてきたりもする。
別に敵対する理由もなく、何となく俺も今は興味があるからと近寄ってきた鳥のような幽霊を愛でてやれば自分もと言わんばかりに寄ってきて少しばかり困る事となった。