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いつぞやの約束は夜空の向こう  作者: 夜櫻 雅織
第一章 自分探し
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第11話 外出許可

「街……?」

「あぁ。ちょっと色々買い出しに行かないといけなくてさ。」

「ちょっと待て。お前、昨日は俺に外出禁止だって言ってなかったか。」

「起きて1日目だったから何を言っても聞く耳持ってくれなくってさ。それで……まぁその、一応報告義務があったから先生に食欲がちゃんとある事。記憶は戻ってないけどちゃんと生活は出来ている事。使い魔だったり、魔法も無意識とはいえど正常に使えてる事から魔導回路に問題がない事。起きた時に熱と脈拍測ってもらったけどどっちも問題なかった事も全部伝えて、迷子になってしまう可能性も考慮して俺と同伴だったら良いって事になった。」

「……必要な事だってのは分かった。ただ、少しぐらい説明してくれても良かったんじゃないかぐらいの異はある。」

「それは純粋にごめん。」


 ったく……。


 一夜明け、そんな作業を挟む事で俺の外出許可が出たらしい。何の説明もなかったのは多少不満ではあるものの、まぁ確かに記憶のない俺に言っても仕方ない話でもあり。かつ、話さなければ俺の活動許可の下りている範囲が制限されたままだった事を考えれば仕方なかった事だと言えるだろう。

 肉体的に考えれば本来人間という物は寝て起きてを繰り返す生き物。眠りっぱなしの昏睡状態から現在の状態に戻った程度ではそこまで体に負担等は掛かっておらず、蓮燔の言う通り体に何らかの異常は確認出来ていない。


「蓮燔、魔導回路って言うのは?」

「体の中に血を通わせる為の血管の魔力版みたいなもん。魔力を通わせる為の……神経、みたいなもんか。それの事を言うんだ。」

「血行みたいに悪くなったりするのか?」

「する。ただ魔導回路っていうのは精神に引っ張られるからストレスとかによっては使えなくなる事だったり、循環効率が悪くなったりもするんだけど……やっぱり奏は奏だな。かなり落ち着いてる。」

「見て分かる物なのか?」

「見るだけで魔力の循環効率を判別出来る人は一般的に見てもかなり多く居るぞ。まぁ……大半はそういう技術が必要になる医者とか、研究者とかは割と。」

「何方にせよ、学生レベルではないと。」

「まぁ……うん。学生レベルではないなぁ。」


 ……?


「それで、何でお前はずっとこっち見てるんだ?」

「改めて安心してさ。」

「安心?」

「先生からさ、少し聞いてた話があって。」

「話。」

「記憶喪失になると目が覚めてからパニックになる可能性があるから覚悟しておくようにって言われてたんだ。だから不安だったんだけど……お前は記憶を失っても殆どお前だなって。」

「……何も伝わってこないな。」

「ごめん。俺、説明下手でさ。」


 あはは、と屈託なく笑うそれは意外と不快ではなかった。

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