↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化コミカライズ】夢見る聖女は王子様の添い寝係に選ばれました  作者: 石丸める@「夢見る聖女」発売中
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/91

12 王子様は甘えん坊

 うららかな、学園の裏庭で。


「ムッ! ムッ! ムグ!」


 私はランチボックスを抱え込んで、サンドイッチをこれでもかと、口に詰め込みました。私の大好きな、ふわふわの卵、ハムにピクルス!好物だらけのサンドイッチです。

 隣に座るリフルお姉さまは、嬉しそうに私の口をナプキンで拭いてくださいます。


「こらこら、ルナ?  そんなに詰め込んだら、咽せてしまいますよ?」

「ふぁっれ、ほいひいっれ」


 私はゴクンと飲み込んで、瞳を輝かせました。


「お姉さまが作ってくださった、久しぶりのランチボックスですもの! 美味しくて、嬉しくて!」


 私とお姉さまは学園の裏庭で、姉妹の仲良しランチに興じておりました。互いに忙しい日々が続いて、このような時間はしばらくぶりです。


「ルナは本当に凄い子だわ。一流の、世界一の夢使いだわ」

「夢使いって、他にもいるのですか?」

「聞いたことがないから、唯一無二ね」


 怒涛の褒め言葉に、私はご満悦です。

 お姉さまは身震いしながら、感嘆してらっしゃいます。


「人の夢に取り憑いた悪魔を、叩き潰して現実の紙に封印するなんて……凄い発想だわ」

「お姉さまが昔くださった、押し花がヒントになりましたよ?」

「まあぁ~、なんて素敵なの!」


 本当は、巨大化して無慈悲に暴れる大聖女のイメージも、豪胆なお姉さまがヒントになっているのですが、これは黙っておきました。


 お姉さまは溜まった妹愛を発散するように、私を抱きしめてグリグリと頭を撫でてくださります。うふふ、うへへ、とふたりで笑い合ううちに、後ろに誰かの気配がしました。


 振り返って見ると、そこにはアンディ王子殿下が佇んでらっしゃいました。相変わらず不良風に着崩した制服姿で、色っぽくございます。王子様は中庭を訪れたものの、密度の高い姉妹愛を目の当たりにして、なかなかお声掛けができなかったようです。


「あら。アンディ王子。何かご用かしら?」


 お姉さまの塩対応に王子様は苦笑いして、紙袋から可愛くラッピングされた小さなタルトを取り出すと、ひとつずつ、私たちにくださいました。


「宮廷のシェフが、聖女様のおふたりに召し上がって頂きたいと。季節の果物のタルトです」

「あ、あら。まあぁ」


 甘い物に目がないお姉さまは、急に絆されました。

 ラッピングを解こうとしているうちに、校舎の方から教師に呼ばれて、お姉さまはタルトを持ったまま、立ち上がりました。


「いけない。実習に行かなければ。ルナ? この男に変なことをされたら、すぐに私に言うのですよ?」


 最後に念押しをして、お姉さまは校舎へ走って行かれました。

 アンディ王子殿下はそれを見届けて、やっと私の隣に座りました。


「は~、悪魔より怖いな。ルナのお姉さまは」

「うふふ。最強の大聖女様ですから」


 アンディ王子殿下はゴロン、と芝生に寝転んで、私の膝の上に頭を乗せました。膝枕から、私がタルトを頬張っている顔を見上げています。


「こんなこと、お姉さまの前じゃできないなぁ」


 ゴロゴロと太ももを堪能して、お腹に顔を埋めています。

 私はちびっこ王子様を思い出して微笑ましくなり、さらさらと金色の髪を撫でました。


「ハーレムは、どうされたのです?」

「纏わり付くなと怒鳴ったら、散った」

「こ、こわぁ。不良ですね」

「昼寝の邪魔だ。まだ、夢使いの任務は続いてるだろ?」


 おっしゃる通り。悪魔の魚拓を以て、王子様のお祓いは済みましたが、再び悪魔が現れないか疑心暗鬼の王様は、夢使いによる王子の夢の監視を、引き続き義務付けられたのです。

 おかげで私は変わらず宮廷の豪華な生活を享受できる上に、王子様の添い寝係も継続しているのです。


「ふへへっ……役得ですねぇ」

「キモい笑い方だな……」


 私が芝生にゴロンと寝転ぶと、王子様はその横で、私に密着して寝転びました。はて。いつからこんなに、甘えん坊になったのでしょう?


「ひとつ聞きたいのですが。王子様は何故、夢の中でいろんな年齢で登場したのですか?」

「さぁ。それぞれの年の頃に、ルナに会いたかったからだろ」


 あっさりと、嬉しいことを言ってくれます。


 さて。今日はどんな夢を見ましょうか?

 もう、悪魔の邪魔もありません。

 ふたりきりで。ふたりだけの世界で。

 存分に、夢の世界を楽しみましょう。

 大好きな、大好きな、王子様と一緒に。



 第一章 おわり

第一章を最後まで読んでくださりありがとうございました!物語は第二章へと続きます!

★★★★★印の評価ボタンや「ブックマークに追加」を押して頂けたら励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 最高に面白い!! 明るくて、奇想天外で、無邪気で……。元気をいっぱい頂きました。ありがとうございます。  作者様の作品を楽しみに読んでいきます。
[一言] これで憂いは無くなりましたね! アンディ王子の敵はリフル姉のみ!(笑) リフル姉は甘味で懐柔出来る様なので大丈夫かな?(笑)
[一言] とても良かったです!ぜひ続きが読みたいです。 もう妹聖女無しでは寝られない王子は妹聖女と婚約しない限り将来嫁と聖女と3人で寝る事に!(笑) 悪魔よりも怖い姉聖女をスイーツで釣って妹聖女ちゃ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。