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アナタとさよなら致しました

作者: 加賀城 百合音

『わたくしなんてこの世にいてもいなくても…』

『わたくしの様な不燃物は早く処理されてしまった方が…』

『お願い致しますわ。どうぞわたくしを見捨てないでくださいまし』

『ごめんなさいね。わたくし、心の病なんですの』


アナタがそういう度に、旧友の私は、アナタを(なだ)め励ましてきました。なのにアナタには私の言葉など聞く耳を持つ気なんてないのでしょう。アナタは毎回毎回同じ話を繰り返す。それはきっと、私の「そんなことは無いよ?大丈夫だよ。ずっと友達でいるから」の言葉が出るのを待っていたからなのですね。


アナタは知っていましたか?

アナタから連絡が来る度、私の生活リズムが全て狂ってしまっていた事を。

アナタからの連絡があると、私は自分の時間さえも全て止めてアナタに向き合っていました。そしてアナタが満足して話を終えると同時に、それまで止めていた事をフルスピードで始めなければならなかったのです。それは時に睡眠時間をも削られる程の事でした。


アナタは私への依存度がどんどん増してきましたね。

自分で少しも調べる事をせず、また少し考えれば大丈夫な件でも私に聞いて来るように…。それは私の専門外な事案でもアナタは平気で聞いて来ましたね。

『ごめんなさいね。今わたくしパニックを起こしてますの。相談出来るのがあなたしかおりませんの。』

と言っては不躾に横柄に、«わたくし(自分)の話を聞くのがあなたの義務»といわんばかりの様に、此方の都合等全く無視をして。


私はずっとアナタのそんな言動に我慢していました。それは病気で引きこもりのアナタの傍にいてあげなければと思っていたからです。

なのにアナタは私のそんな気持ちを踏みにじりました。

私の【アナタへ向ける気持ち】や【アナタが少しでも心穏やかに過ごせる様にとしていた事】に対して、アナタはいつしか【向けられて当然】【してくれて当たり前】と思うようになったのですね?

アナタの辞書には"親しき仲にも礼儀あり”という言葉は無いのでしょう。だからアナタは私の我慢の限界を超える行為を平気で出来たのです。

人の善意を平気で踏みにじり、謝罪をしたとしてもピントの外れた言葉を繰り返したアナタ。


そんなアナタに、呆れと諦めと疲れを感じた私は、アナタとの全ての連絡手段を断ちました。


アナタにとって唯一といって良い程の都合いい人間から拒否をされた気分は如何ですか?


アナタの事ですから、きっと悲劇のヒロインになりきっていることでしょう。そしてまたこう言うのです。


『わたくしなんてこの世にいてもいなくても…』

『わたくしの様な不燃物は早く処理されてしまった方が…』


でもアナタの言葉にもう応えてくれる人はいないでしょう。

そして、消えたいと言いつつもしっかりと生きていくのです。

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