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異世界争乱編 第五十一話

 私はトゥルゥルの元に急いで駆け寄る。

「緊急事態よ」

「モモ、話しかけると余計に時間が掛かると––」

「いいから聞いて。王国の兵達が大挙してこっちに来てるわ」

 トゥルゥルはコード解析を中断し、扉から手を離した。

「センサーと視覚情報から役三百人の兵士が確認できます。それを率いているのは」

 突然の落雷が厚い雲を切り裂く。

 雷が落ちた先には、見覚えのある騎士がいた。

「久しぶりだな。精霊なし」

「ハルナイト」

 久方ぶりに見たハルナイトは寝ていないのか目が血走っている。

「もうトゥルゥルの力は使わせない」

「トゥルゥルの力、そんなものはいらん」

 ハルナイトは鼻で笑う。

「私が欲しいのはお前たちの命だ!」

 言い終わると同時に、指から雷が放たれた。

 素早く反応したトゥルゥルに抱き留められ、雷の蛇を躱す。

「お前達のせいで、お前達が発電所を爆破したせいで、妻と息子は死んだ」

「嘘」

 屋敷から煙が上がっていた事を思い出した。

「死んだんだよ二人とも潰れてな。私の私の光が失われてしまった。お前達が奪ったんだ」

 ハルナイトは唾を飛ばしながら、手から指から雷を連射してきた。

 トゥルゥルは私を守って走り、雷を開いた掌で受け止める。

「逃げるな! 雷に焼かれて罪を償え」

「待って。あれを仕組んだのは別にいるんです」

「うるさい。そんな言い逃れが通用するか! 私の光が消えてしまった。なのにその光を奪ったお前らが生きているなんて許さない。許しはしない」

 ハルナイトが連れてきた兵達も炎や水の魔法が放たれ、私達の周りに着弾する。

「モモ。周囲の兵達は直撃させる気は無いようです。弾道は全て私達の行手を塞ぐように降り注いでいます」

「ハルナイトにトドメを刺させる為に」

「はい。一番の危機は騎士の魔法ですが、逃げてばかりではいずれ追い詰められます」

 炎の壁が左右に広がり、水の鞭が足元に伸びる。トゥルゥルの背中が宇宙船の壁とぶつかった。

「もう逃げられないぞ」

 ハルナイトは両手を天に向け、そこに雷を落とす。

 最大の魔法をこちらに狙いをつけて発動しようとしているのは明白だった。

「トゥルゥル!」

「逃げることも、防御することも不可能です」

 雷が放たれる寸前、突然上がる悲鳴に誰もが声のした方を見た。

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