異世界争乱編 第五十話
親切にしてくれた長老とハンターに別れを告げ、トゥルゥルと一緒に北北西に向かって歩き続ける。
一日や二日で着くものでもなく、ハンターからもらった保存食や携帯式のテントで何度も夜を明かした。
遂に保存食が尽きた時、トゥルゥルのセンサーが信号を捉える。
「ここです。ここから一定のパターンで信号が送られています」
「でもこれって雪山よ」
トゥルゥルが示したのは黒い雪で作られた山で、高さもあるが横に異様に長くまるで山脈のようだった。
「いいえ。ここです」
トゥルゥルが雪山の一部を手で払うと、濃い緑色の滑らかな外殻が姿を現した。
これって帝国の塔にそっくり。
「もしかして、賢者も地球人なのかしら」
「その可能性は高いと思います。この外郭は私の外部装甲の材質ルナスティルと一致」
「じゃあ貴方はここで生まれたのね」
「はい。入口を探しましょう」
二人して入口を探す。しかし雪山は分厚くほとんどトゥルゥルの力がなけらば何も進展しなかっただろう。
トゥルゥルの人間離れした腕力が詰まった雪壁をどかし、遂に入口らしき切れ目の入った壁を見つける。
「ここから入れる?」
「厳重にロックされています。アンロックコードを見つけるまで長い時間が必要です」
「ここまで来たらとことんまでやりましょう」
「コード解析完了まで話しかけないでください。気が散ると余計に時間がかかるので」
「了解」
私は傍にテントを張り、その時を待つことにした。
拠点が出来上がったところで初めて黒い雪が止んでいる事に気づき何気なく振り向く。
そこで初めて無数の人影が真っ直ぐこちらに近づいている事に気づいた。




