異世界争乱編 第四十七話
王国から距離を取っていたトゥルゥルが急に足を止める。
前方には一緒に潜入して置き去りにした三体のオーガが待っていた。
「遅かったな。人間に追いつかれる前に行くぞ」
三体が歩き出すのを見送る。
「何故立ち止まっている」
「貴方達とはここで袂を分かちます。トゥルゥルを無事に助けられた事は礼を言いますと、エンペラーに伝えてください」
「俺達が「はいそうですか」と行かせると思うか」
オーガ達は武器を構えると、凶器を見たトゥルゥルが一歩踏み出す。
「貴方達三体で私を倒せると思いますか」
「隊長」
「くそ。この事はエンペラーに報告するからな。忘れるな。貴様は人類だけでなく我ら地球人を敵に回したことを」
「捨て台詞だけは立派でしたね……モモ?」
トゥルゥルを助けた事で肩の荷が下りたのか、私は掌の上で腰を落とした。
「これからどうしようか」
「とりあえず落ち着けるところを探しましょう。私から提案があります」
「西に?」
王国に比較的近い森の中で小休憩を取っていると、トゥルゥルがそんな提案してきた。
「発電所にいる間メモリは自己修復を続けていました。その結果、目的は不明のままですが私は西から来たことを思い出したのです」
「西の黒黒砂漠から来たってこと? でもそこに何が」
「まだ分かりません。しかし西から私は打ち上げられ、モモ達の住んでいた森に不時着したのです」
「じゃあ西に行けば、トゥルゥルの仲間が?」
「協力者がいる可能性は北や南より、遥かに高いと思われます」
「じゃあ、早速行きましょう」
「そんな簡単に了承してくれるのですか。黒黒砂漠は生物にはとても過酷だと聞いています」
「ええ。そこに行って帰ってきた人はいない。けど私にはトゥルゥルがいる。頼りになる相棒が」
手を伸ばす。
「相棒。私がモモの相棒ですか」
「いや?」
「いえ。光栄です。改めてよろしくお願いします」
私は伸ばされたトゥルゥルの指としっかりとした握手をした。




