異世界争乱編 第二十五話
王国の中央は小高い丘になっていて、その頂上には今までの四角形の建物とは違う平面と円柱の柱と三角形の屋根で組み合わされている。
もし純白なら荘厳な建物だったろうが、色は高熱を照射されたように、黒く霞んでしまっていた。
建物の正門と周囲を囲む塀の間には緑あふれる広場になっていた。
塀の門の前で馬を降りたハルナイトが正門の扉に近づくと、両開きの扉が人間によって外側に開く。
「ようこそモモ。トゥルゥル。我らの女王の宮殿へ」
出迎えたのは、険しい顔した中年の男。
「摂政殿。出迎えありがとうございます」
どうやらハルナイトさんより偉い存在らしい。
額と頭部が繋がった摂政は、腰の後ろで手を組んだまま私達を一瞥した。
「ハルナイト殿。何故彼等を宮殿に入れようとする?」
「部下が報告したはずですが」
「報告は受けた。だが何故連れてきたのだ。精霊なしと歩く卵を」
「摂政殿!」
ハルナイトの言葉を遮るように摂政が手を挙げる。
お揃いの制服を着用した男達が剣呑な雰囲気を纏いながら、私達を囲むように姿を表した。
「やめて下さい。彼等は私を信用してここまで来てくれたのですよ」
「こいつらはワシらとは違う。精霊に見放され魔法の使えない存在だ。何を企むか分かったものではない」
扉のところで棒立ちになっている私に、後ろからトゥルゥルの手が伸びた。
「モモ。後ろからも複数の人間が迫っています。逃げましょう」
「逃すな。精霊なしを捕らえろ。抵抗するなら殺せ」
「おやめなさい」
摂政の更に後ろ。赤いカーペットの敷かれた階段から高く気高い女性の声が宮殿内に響き渡る。
私とトゥルゥル以外の全ての人間が声が発せられた方向を向いて膝をつく。
階段をゆっくりと降りてきたのは、真珠色のドレスを引き摺るようにして歩く少女だった。




