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異世界争乱編 第十話 

「おい、犬耳に猫耳」

 湖から村に帰る途中、呼び止められた。

 村の方からやってきたのは、マントで口許を隠した一匹狼。

「ルフさん。私達を探しにきてくれたんですね」

「ああ、今日の夜明けまで釣りをしてたら、火の玉は落ちてくるし、おまけに村が火事になってて面食らったよ。二人を迎えに来たんだか、後ろの方はどちら様?」

 ルフさんは平静を装いながら、日差しを反射する鋭い爪をのぞかせた。

「敵じゃないですよ。こちらはトゥルゥル。あの火の玉の正体なんです」

「初めまして。トゥルゥルといいます。モモ達にも言いましたが、貴方達に敵意はないことを保証します」

「よろしく卵さん。ところでなんで木を担いでるの」

「これは私からのお詫びの気持ちです」

 首を傾げるルフに、コクが詳細を教える。

「火の粉を村に落としてしまったお詫び」

「なるほど卵さん。君はいい奴そうだな。じゃあ村に帰ろう。みんな待ってるぞ」


「オオイ、オーガ連れてきてるじゃん!」

 ピトンは大慌てで逃げようとしたところをミングが足をつかんで引き止めた。

「ん……落ち着け」

 混乱が広がらないように手早く説明した。

「トゥルゥルよ。色々あって迷子のロボットなのよ」

「迷子のロボット? オーガの仲間じゃないのかよ」

 ピトンはミングを盾にしている。

「初めましてトゥルゥルです。皆さんの敵ではないので安心してください」

「あら〜、大きな卵が歩いているわ〜」

「キュウさん。丁度よかった。飲み水たくさん持ってきましたよ。トゥルゥル」

 私に促されて担いでいた倒木を地面に下ろす。

「こんにちはキュウ。私はトゥルゥルといいます」

「まあご丁寧に〜。わたしはキュウです〜」

「飲料水をご所望ということで、お詫びの気持ちと共にこちらをお持ちしました」

「お詫び〜?」

 私は火の粉を降らせた元凶がトゥルゥルだった事を話す。

「まぁ気にしなくていいのに〜。この倒木は〜?」

 私は貯水槽の場所をトゥルゥルに教えると、倒木を貯水槽の上で傾け、そこに入っていた湖の水が注がれ一気に満杯になった。

「これで洗い物と洗濯物ができるわ〜。ありがとうトゥルゥル〜」

「お役に立てて光栄です」

 トゥルゥルは胸に手を当ててお辞儀をした。

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