異世界争乱編 第三話
十代後半の少年は二人の間に降りて、背中の鳩の羽を畳んだ。
「よっお二人さん。朝帰りとは仲睦まじい……コクさん、なんで弓矢をこっちに構えてるんだい」
「邪魔した報いを受けて」
「そ、そんな引き絞るなよ。当たったらいくら不死でも死んじまうって。モモもなんか言ってくれよ」
「その辺にしないと冗談だって通じないよ」
コクは鏃を下ろしたが、更なる追い討ちをかけるのをやめなかった。
「本気だった」
「コク! ピトン謝ったほうがいいわよ。頭に風穴開きたくなければね」
「そりゃ勘弁。邪魔しちゃってゴメン」
「私だけでなくモモにも」
「そうだった。モモも悪かったな」
「悪ふざけも程々にね。で、ピトンはどうしてここに?」
「昨日の夜、流れ星見たんだ。あっ、お二人はお互いに夢中で見てないか」
コクは余計な一言を聞き逃さずに、再び弓を構えようとしたので、慌てて答える。
「私も見たわ! もしかしてそれを探してるの?」
「ああ。流れ星に願い事を言うと叶うって村長から聞いてね。朝一番で探してるんだが、途中でモモ達を見つけたってわけ。で、流れ星どこいったか知らない?」
「私も一瞬しか見てないからどこに行ったのかは分からないわ」
「そっか。じゃあ俺はもう少し探してみるわ」
「あまり飛び回らないほうがいい」
コクが釘を刺す。
「王国にとって私達はよそ者。村の位置がバレたら皆殺しにされるわ」




