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異世界争乱編 第一話 

『マリア頼みます。彼を無事に彼女の元へ連れて行ってください』

 出発の挨拶が言い終わった直後、耳をつんざく警報が鳴り響き、部屋が警告灯で真っ赤に染まる。

『ここの扉も時間の問題ね。撃ち出します』

 天井の一部が開き、そこから満月が覗き込んでくる。

 出入り口が破られ、射出直前の装置にひしゃげた扉が激突。座標のズレを修正するまもなく、マリアは夜空へ旅立った。


 森の中で私達は夜空を見上げていた。

 落ち葉の布団に体重を預けていると、一つの光が視界を横切っていく。

「あっ流れ星」

「ん、どこ?」

 隣で寝そべるコクは、興味なさそうに目を閉じるも、漆黒の黒髪を彩るティアラのような猫耳が細かく動いてるのを見逃さない。

「ほら、あれだよ。あっ消えちゃった」

「そっか」

 永く生きている私達だって、流れ星なんて滅多に見れない。だから一緒に見たかったのに。

「モーモー」

「なに––ヒャッ」

 気怠げな声を出しながら私に覆いかぶさると、頭の犬耳にキスして頬をスリスリしてきた。

「ごめん。驚かせた?」

 そう聞きながらも、私の上から退こうとはしない。

 私が嫌がっていないことに気づいているくせに。

「流星なんてどうでもいいよ。モモは私だけ見てればいい」

「コク、くすぐったいよ〜」

 私の肌に舌を這わせ、髪に顔を埋めて大きく息を吸うと、止めとばかりに犬耳に甘噛みされて、声が漏れてしまう。

「ど、どうしたの? 目が怖いよ」

 コクは私の首筋にマーキングをする。

「私と二人きりなのに、流星に目を奪われるからだよ」

「だって流れ星珍しいから……」

「そんな言い訳通じない」

 お互いの熱を確かめ合う間、周囲の虫達も空気を読んだのか、私の鼓膜は自分とコクの吐息に包まれていた。

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