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地球脱出編 第二話 

 アメツチ・シカクの耳に甲高く耳障りな電子音が飛び込む。

 その音に驚いた脳は体を無理矢理覚醒させた。

 錘を付けられたような瞼を開く。そこは見慣れた自分の部屋。隙間を埋めるように首元まで布団を掛けている。

 顔の内側が熱っぽいのに、首から下は震えるほど寒い。

 地盤を客観視しながら風邪をひいて寝込んだ事を思い出す。

 薬を飲む為の食欲も湧かず、ずっと寝ていた彼を起こした元凶は今も鳴り止まない。

 音の出どころは枕元にある携帯で、呼び出し音と共に羽を擦り合わせる虫のように小さなボディを震わせていた。

 五月蝿くてかなわないが、体調不良の体は言う事を聞かず、自然と鳴り止むのを目をきつく閉じて耐える。

 振動と音が止んで次に聞こえてきたのは、事務的だが慌てた様子を抑えきれない女性の声。

『アメツチ・シカクさんの電話で間違いないでしょうか。落ち着いて聞いてください。ご両親と妹さんの搭乗したシャトルが……撃墜されました』

 頭にノイズのような雑音が走る。今聞こえた言葉の意味を理解できず、脳がショートしたみたいだった。

 目は飛び出さんばかりに見開き起きあがろうとしても、体力を失った身体は震えるばかり。

 頭を上げただけで強い眩暈に襲われて、望んでもないのに枕にダイブしてしまう。

『アメツチさん。この電話を聴いたら一刻も早く連絡をください。場所は……」

 携帯の音声が切れ直後、爆風と熱風が動けないシカクに覆いかぶさってくる。

 意識が朦朧としたまま肌が焼け骨が砕け飛び、眼球が蒸発した。

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