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地球脱出編 第十五話 

 クヴィン達は地球に降下し、国家軍が制圧したカナダの水力発電所に向かって徒歩で移動していた。

 視界に捉えた発電所の中央には天に伸びる巨大なキノコが屹立している。

 国家軍の超大型輸送艦アサルトマッシュルームが傘の上の部分を上にして発電所全体に影のベールを覆い被せている。

 戦闘が起こった証拠に発電所全体で火災が起きているようだ。

『おかしい』

 ドゥーアの呟きに緊張感が増幅する。

『ウンチク。発電所で動きがありません。政府軍は勿論、制圧した国家軍の方にも動きはありません』

 思案に耽っていたのか、少し間が開いてから返答が来る。

『今調べたら、政府軍が首都ラーピュタの研究施設で極秘に開発した生物兵器を投入した。既に国家軍は全滅が確認され、政府軍がそちらに向かっている』

『私達も撤退しますか』

『待った。政府軍が到着するまで少し時間がある。新兵器がどんなものか見てみたい』

『分かりました。発電所を偵察し帰投します』

『頼んだよ。こちらもネットワークに侵入して情報を入手してみる』

 クヴィン達デュラハンは息がある敵を警戒しながら、水力発電所に侵入した。

『んだよ。これは』

 トリーアの言う通り、見たことのない生物が倒れている。

 傍では国家軍のサイボーグ兵士達が四肢をバラバラに引き裂かれていた。

 どうやら戦闘になって全滅したらしく、こちらに攻撃を仕掛けてくるものはいない。

 脅威がない事を確認し倒れている生物兵器を調べる。間近で見ればそれは生物というより怪物だった。

 銃で撃たれたらしく、身体中に穴が開き赤い体液が流れていた。

 大きさはトラックや乗用車ほどで複数の生物が融合している。

 クヴィンの目の前にある怪物はムカデの胴体に、血に濡れたカマキリの鎌を持っている。極め付けはムカデの足の付け根から人間の腕が生えている事だ。

 近くで死んでいるもう一匹を見ると、ライオンの頭に女性の胴体、下半身は馬になっていた。

 子供が粘土で生み出したグロテスクな怪物が発電所一帯に倒れている。

『なんだよ。この怪物。キモすぎるぜ』

 いつも強気なトリーアのデュラハンが膝をついている。

 クヴァルがトリーアのデュラハンの背中に手を添えていた。

 ドゥーアの姿が見えない。いつ敵が来るか分からないので現在位置を確認しようとしたところで、ティンカーベルから通信が入る。

『あんた達。政府軍が接近中。早く回収地点に向かいな』

「了解。トリーア、クヴァル。撤退するよ」

 クヴァルに抱き抱えられるように、トリーアが移動する。

 クヴィンも移動しようとするが、ドゥーアの姿が見えない。

 通信してみても一方通行で反応がない。

 まさか奇襲に遭ったかと考えたが、センサーに動体反応はなく、ドゥーアの識別信号も生きている。

「ドゥーアさん。どこにいますか。回収地点に移動しますよ。ドゥーアさん」

 走りながら発電所の隙間を縫っていると、しゃがみ込んでいるデュラハンの背中を認める。

「ドゥーアさん。回収地点に行きましょう。ドゥーアさん?」

 ドゥーア機は倒れている怪物を片手で抱き抱え、食い入るように見つめていた。

 その怪物は蜘蛛の胴体と大蛇の胴体が融合していて、蛇の頭部には女性の顔らしきものがついていた。

「ドゥーアさん。政府軍が近づいています」

『分かった』

 クヴィンとドゥーアは先に待っていたトリーアとクヴァルと合流し、政府軍が到着する前に脱出を完了することができた。

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