地球脱出編 第十二話
格納庫にやってきたシカクは自分のデュラハンの前に立つ。
背中に動力炉であるライフ・クォーツが収められたバックパックを背負い手足の生えた卵。
一見すると頼りないしカッコ悪いが、見た目で判断してはいけない。きっと役に立つはずだ。
それは初の実戦で証明される。
肩に手を置かれたので見るとドゥーアだった。
「緊張しているね。それじゃ上手くいくものも上手くいかない。大丈夫。一人に全ては任せないさ。トリーアとウヴァルもいるし、私も援護する」
低めの声が不思議と気分を落ち着けてくれる。
「気遣いありがとうございます」
「それに緊張しているのは君だけじゃない」
ドゥーアの目線の先では双子の姉妹が何か言い争っている。
「お、押すなよ」
「早く乗って。戦いに行けないよ」
強気なトリーアが開いたハッチの前で地団駄を踏み、ウヴァルが背中を押している。
「そんなんで……を殺す気なの?」
「そうだ。こんな事でビビってらんねえんだ!」
物騒な気合いの入れ方でトリーアは専用のデュラハンに乗り込み、見届けたウヴァルも自分の機体に乗り込む。
「みんな。自分達でしか叶えられない望みがあるんだ」
「分かります。僕も望みがありますから」
ドゥーアはシカクの肩を軽く叩いてから乗機に向かっていった。
それを見届けてハッチの中に入る。
がらんどうの殻の中に入り込むとハッチが閉まった。
閉所恐怖症には辛いものだが、幸い暗い所も狭い所も苦ではない。
真ん中で体育座りしていると、ケーブルが殻に接続される小さな音と振動が臀部と足裏に伝わる。
頭上の斜め上に二箇所、そして床の二箇所にも穴が開く。
四箇所から同時に粘液が流し込まれる。
ケーブルを通った液体は止まる事なく殻の中に流れ込み、シカクの肩を濡らし、腰まで水位が上がる。
されるがままにしていると遂に頭まで粘液が到達。やがて殻の中は完全にプロテクションシェルに満たされた。
シカクは体育座りのままシェルの中を漂う。
ウンチクの見るモニターに映るその姿は、まるで胎児のようだった。
「美しい。さあ子供達よ。ワタシの為に、命の炎を燃やし尽くしてくれ」
シカクは自分の肉体の事は見えない。彼の目は格納庫を見ている。
正確には前だけでなく目を動かすように視神経に指示を送れば、上下を含めた前後左右全てが視えていた。
脳から脊椎に指令を送ると、電気信号がプロテクションシェルを介してデュラハンの人造神経と接続し、腕が動き出す。
シカクの目の前に現れた掌はデュラハンの手であり自分の掌だと瞬時に理解する。
『全員ストークへ』
ウンチクの声に従い、訓練で自分に合った武器を持ち格納庫を進むと他の三機が完全武装で並んで立っている。
天井から四本指の大型アームが伸び背中を掴んでいく。
そのままストークの格納庫にうつ伏せの姿勢で吊り下げられて固定された。
『ではでは。ロストチルドレン出撃!』




