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VS魔王 前編

「じゃあ確認するね、残るのは結界を敷くテプレさんと助手をするドーマさん、その護衛にカーマさんとセーヌさんのパーティね」


「そして魔王退治に向かうのはイキョサ様のパーティと我らサーボ先生のパーティと言うことですね」


(本当はカノちゃんとシヨちゃんも置いて行きたいんだけどねぇ)


 能力はともかく、戦闘力という意味では二人は足手まといでしかない。


 しかしここまで旅をしてきて、最後の最後に置いて行くと言っても納得はしないだろう。


 何より俺もできれば離れたくないと思う。


(でも本当に……イキョサ様たちが来てくれてよかったよ)


 お陰でカノちゃん達を連れていく余裕がある。


 もし彼女たちが居なかった場合は守りを考える余裕もなく、テキナさんとアイさんにテプラさんと装備が整っている俺の四人で攻めることになっただろう。


 それに対して今は全ての大陸に護衛を配置しつつ、それ以上の戦力で攻め込むことができる。


(これなら被害は最小限に収められるだろう……俺たちが勝てればだが……)


「運搬役はセーレとタシュに任せろ~っ!!」


「セーレさんは一人しか運べないでしょ……私たちは連絡役だ……です」


「非常時は笛を鳴らすから、移動用のワイバーンを大量に引き連れて助けに来てくれ……」


「とても大事な役ですぅ、お願いしますよぉ」


 タシュちゃんとセーレちゃんは万が一、俺たちが負けたときに避難させる役だ。


 退路を確保するのもまた大事なことだ。


(空を飛べる奴が仲間に居て本当によかったよ……)


「サーボ先生、どうかお気をつけて……結界を敷き終わり次第すぐにでも駆けつけさせていただきます」


「私も手伝うから早めに終われると思うよっ!!」


「お願いしますよテプレさん……ドーマ様は念の為に他の人の分の武装を作っておいてください」


(俺たちで敵わなかった場合に備えて、再戦できる準備はしておかないとなぁ)


「わ、わかったよっ!! 任せてよっ!!」


「私たちエルフも協力するぞっ!!」


「……ありがとう」


 どうやらエルフたちはドーマ様が昔に滅ぼしたドワーフだと気付いていないようだった。


 そんなエルフたちに思うところがあるはずのドーマ様だが、はっきりと笑顔を返して見せた。


(仲良くしたいって言ったけど……強い人だなぁ……)


「拙者たちは留守番か……」


「非戦闘員を守るのも立派な仕事です……何、俺たちが負けた際には嫌でも手伝ってもらうことになりますよ」


「ケッ……勝手にしやがれ」


 カーマとセーヌも渋々とだが己の役割を納得してくれた。


 恐らく四大幹部に敵わなかったことで、自らの力量をわきまえたのだろう。


 いつの間にか立場が逆転してしまった……だけどいつぞやのように見下す気にはなれなかった。


(勇者として協力して手分けして人々を救う……前は冗談で言ってたけど今は本気でそう思ってるから……頼んだぞお前ら……)


「では準備もできたことですし……早速向かいましょうっ!!」


 テキナさんの言う通り、既に移動用のワイバーンとマジカルアーマーは人数分用意されている。


「ああ……じゃあ行こうっ!!」


「サーボ様っ!! どうか我が旦那になるあなた様の出陣を私の口づけで見送らせていただきたいっ!!」


(ルーフ様、貴方もか……だけど俺は……)


 これもまた誤解が元の好意だ、俺は彼女たちエルフを見殺しにして生き延びようとしていたのだから。


 だから……応えられない。


「申し訳ありません、ルーフ様のような魅力的な女性とキスをしたら気が緩んでしまうので魔王を退治するまでは遠慮させてください」


「そ、そうですか……残念です」


「気にしなくていいよルーフ様、サーボ先生は初心だから誰一人キスしてもらえてないんだ」


「そうなんですよぉ……でも、今魔王退治が終わるまでっていいましたよねぇ~」


「こ、この度の戦いで勝利した暁にはぜひとも……その、してもらいたいものです」


(そうだなぁ、これが済めば俺の旅は終わりだ……ごまかしも何もかも終わらせよう)


 俺というどうしようもない人間の本性を知らせて、それでもなお好意を向けてくれるのならば……応えたいものだ。


「まあそれもこれも終わってから考えましょう……ではルーフ様、失礼しますよ」


「わ、私のことは普通に呼び捨てで構いません……皆さまもどうか普通に接してください」


「わかったよ……じゃあルーフさん、それにみんなも……行ってくるねっ!!」


「ルーフさん、そして皆さん……行ってきますっ!!」


 残留組に頭を下げて、俺たちは外で待つイキョサ様たちの元へ向かった。


「お別れはすんだかぁ~、後漏らさないようにトイレも済ませてとけよぉ~」


「余裕ありますねぇトラッパー様は……」


「あっはっは、あたしらはこの時代の人間じゃねぇからお前らの推測が正しきゃぁ死ぬことはねぇだろうからなぁ」


「ああ、そうでしたねぇ」


 確かにこれが歴史の必然に組み込まれた一部ならば彼女たちは確実に安全だ。


(気を付けるべきは俺たちの方か……)


「わ、私は怖いけどね……うぅ……こ、怖いけど頑張るぞぉ」


「い、イキョサ様が怯えなさるとは……魔王とは恐るべき存在なのですね」


「まあ魔王に関してはそうなんだが……こいつただのビビりだからなぁ」


「こ、怖いものは怖いのっ!!」


 怯えているイキョサ様、この中でもぶっちぎりで強いというのに不思議なものだ。


「まあ考えても仕方がないし、何より時間が経てばそれだけ魔王は強くなる……行きましょう皆さん」


 俺たちは乗り物に分乗する。


 イキョサ様のパーティと俺とテキナさんがワイバーンに乗り、戦力の低いカノちゃんとシヨちゃんは結界付きのマジカルアーマーへと入った。


「浮かんでる大陸は目立ってるからなーっ!! それを目指して飛んでいけば霧の影響受けないからなーっ!!」


「お気を付けて……ですっ!!」


「どうかご無事をお祈りしておりますっ!!」


「サーボ殿……いやサーボ先生、帰りを待っていますよっ!!」


「サーボ様、それにイキョサさんたちも……死なないでねっ!!」


「わかりました……では行ってきますっ!!」


 お見送りに出てきた皆に返事をして、俺たちは魔王のいる大陸を目指して飛び立った。


「さぁて、どうなるかねぇ……」


「また魔王城とかあるのかなぁ……うぅ……あれ不気味だからもう二度と探索したくないよぉ」


『ま、魔王城ってそんなところなんですかぁっ!?』


「恐ろしい植物が生えて、妙に嫌な臭いに満ちておりました……あまり居心地の良い場所ではありませんでしたね」


(チーダイ様の影響を受けたハラル王国のお城もそんなんだったなぁ……)


『わ、罠とか仕掛けられてたりするのかなぁ?』


「我々が戦った時にはそのような仕掛けはありませんでしたが、この時代の魔王は策略を好むようですから……」


「そういえば皆さんが戦った時の魔王は力押しで……自ら戦場に立って暴れていたのですよね?」


「う、うん……あちこちの大陸で暴れてて……時々休みに城へ戻るからそこを迎え撃ったんだぁ」


(それほど活動的な奴が今回は全く動いていない……どうなってんだ?)


 魔王はその気になれば大陸一つを吹き飛ばすほどの攻撃ができる。


 そして部下たちの情報は全部入ってくる……ツエフ大陸で俺たちが四大幹部を倒したこともつたわっているはずだ。


(それこそ奇襲気味に攻撃を仕掛けてくれば俺たちはかなりの被害を被ったはずだ……何故それをしない?)


 前に負けて警戒しているとしても、ここまで追い詰められておきながら奇襲攻撃をしない理由はないはずだ。


(罠を張って俺たちを待ち構えてる……ならいっその事四大幹部だって手元に置いておいて迎撃の戦力にしたほうがマシだろう……)


 全く理解できない、この違いは果たして何なのだろうか。


(攻撃をしない……のではなくて逆に攻撃できない理由でもあるのだろうか……)


「サーボ先生、大陸が見えてまいりました……どうしますか?」


「ああ、本当だね……」


 巨大な大陸が暗雲の中心に浮かんでいた。


「まずは地形がどうなっているか確認したい、更に上空まで上がって全体像を確認しよう」


「はい……あっ!?」


「っ!?」


 浮かび上がったところで大陸の中心で激しい爆発が発生した。


 離れている俺たちですら余波で吹き飛びそうになるほど激しい一撃だった。

 

『な、なんだなんだぁっ!?』


「だ、誰かが戦ってるみたいだっ!?」


「ほんとだ……おぉっ!? あの爆発の中心にいて生きてやがるっ!?」


(この距離で何で見えるんですかあなた達……)


 地平線ギリギリの場所で行われている戦闘の状況を把握しているイキョサ様とトラッパー様。


「は、反撃をしようとして……あ、あれはっ!?」


「サーボ殿の使っていた二重魔法っ!?」


(テキナさんとマーセ様も見えるんですかそうですか……というか二重魔法だとっ!?)


「な、何者……なっ!?」


 先ほどと同じ場所から、今度はすさまじい閃光が放たれた。


 まるで太陽を直視してるかのような眩しさに、目を開いていることも困難なほどだ。


『た、大陸が……切り裂かれてる……っ!?』


 カノちゃんの言葉に目を薄めつつ確認してみると、閃光の発生源から真っ直ぐ大地に地割れが発生している。


(お、俺が放った最高の一撃……い、いやそれ以上かもしれねぇ……なんて威力だよっ!?)


「っ!?」


 しかしその輝きは長くは続かず、黒い闇に包まれ消失した。


 そして間髪入れずにまたしても爆発が発生し、俺たちはその衝撃波に翻弄される。


「だ、誰かが魔王と戦っているみたいだっ!!」


「我々も加勢しましょうっ!!」


(そうだ……そのために来たんだもんな……)


「ふぅ……行きましょうっ!! 最後の戦いですっ!!」


 俺は深呼吸して息を整えると、皆に指示をした。


『『「「「「「はいっ!!」」」」」』』


 ワイバーンを操り可能な限り近づいていく。


 その間も激しい戦闘は休む間もなく続いている。


 互いの攻撃が交互にぶつかり合い、大陸中を揺らし罅割れを起こしている。


『み、見えてきた……人型をした黒い煙が暴れてるよっ!?』


「あれが魔王ですかっ!?」


「そうだよ……魔力の塊が人の悪意を飲み込んで意志を持った存在、それが魔王なんだ」


「戦ってるのは人間みたいだけど……良く見えな……っ!?」


「や、やられたっ!?」


 ようやく俺も僅かに見えてきたと思った瞬間、魔王の紫電を伴った疑似腕の一撃が大地に突き刺さった。


 そして凄まじい電撃と共に地面を陥没させ、辺り一帯の地盤が沈下していった。


 大陸中が地震のような振動に震えているのが見てわかるほどだ。


(あんな攻撃が直撃しちゃあお終いだ……くそ、間に合わなかったかっ!!)


 皮肉にも戦闘が収まったおかげで移動はスムーズになり、俺たちはそいつに代わる様にして魔王の前に降り立った。


 小山ほどの大きさをした人型の煙、その全身は闇のように黒くなっているが目の部分だけは怪しい輝きを放っている。


(これが魔王か……)


『今度は誰……ば、馬鹿な……お前は勇者サーボっ!?』


 こちらに気づいた魔王だが、俺を見ると不思議と驚愕の声を洩らした。


「はい、初めまして……勇者サーボです、お見知りおきください」


 あえて一歩前に出て会話を行う。


(少しでも時間を稼いで……隙を見いだせれば御の字だ)


 この場にいるのは優秀な者ばかりだ、うまく隙を作り出せればそれを見逃すことはないだろう。


『ふ、ふはは……き、貴様は何度……どこまでしつこく我を邪魔すれば気が済むっ!!』


「魔王軍のことでしょうか……しかし俺たち人間としては……」


『とぼけるなよっ!! ぬけぬけとよくぞほざきおったなぁっ!! 貴様だけは……貴様だけはぁああっ!!』


(な、何だ……何を勘違いしてんだっ!?)


『今度こそ殺してくれるわぁあああっ!!』


「ちぃっ!! 聖なる祈りに応え正しき者達に偉大なる祝福を齎し賜え、『聖祈昇威(セイント・ブースト)』」


 二重魔法で自らを異常強化して、世界の全てを置き去りにする速度での移動を可能にする。


 しかしそれでもなお魔王が怒り任せに振り下ろした腕は、視認できるギリギリの速度で迫ってきてる。


(こ、この大きさでこの速度……避けても余波だけで……くそっ!!)


 全力で後ろに飛びながら剣を盾代わりに前面に構えつつ、防御呪文を発動させる。


「聖なる輝きよ我らを悪しき意志より守り給え、『聖祝鎧(セイント・プロテクション)』……ぐはっ!?」


 何とか直撃を避けたが、近くをかすめた魔王の一撃はそれだけで剣と魔法で守られた俺の身体に衝撃を与えてきた。


「サーボ、大丈夫かっ!?」


 ボロ屑のように吹き飛ばされた俺だが、地面にぶつかる前にトラッパー様が受け止めてくれた。


「な、なんとか……ぐぅ……」


 地面に立とうとしただけで全身から激痛が伝わってくる。


 ドーマ様が作った鎧が俺の魔力を全て吸い上げてダメージを軽減し、トラッパー様が受け止めてくれて……それでようやく致命傷だけは避けられた。


(こ、これが魔王かよ……四大幹部とか比べ物にならねぇ……)


 道理でイキョサ様たちがキマイラごときで苦戦していた俺たちを心配するわけだ。


 身体を起こし、懐にしまっていた魔法水を取り出し一口飲み干す。


 非常時に備えて俺を含めて全員に持たせておいたのだ。


 甘ったるい味が口内から全身に染み渡る様に広がっていき、魔力が補充される。


「「聖なる祈りに応え正しき者達に偉大なる祝福を齎し賜え、『聖祈昇威(セイント・ブースト)』っ!!」」


 顔を上げると前線でマーセ様とイーアス様が二重魔法を放った。


 その全てが相乗効果となって味方全体の能力を驚異的なまでに跳ね上げる。


『どけぇえええええっ!!』


「「十文字斬(グランドクロス)っ!!」」

 

 俺だけを見つめて突っ込んできた魔王に向かい、イキョサ様とテキナさんが俺とは比べ物にならない速度で近づきスキルを乗せた一撃を放つ。


 二人とも二重魔法を使えないせいで魔法剣の重ね掛けは出来なかったようだが、それでもマーセ様とイーアス様に能力を強化してもらった二人の一撃は俺の最高の一撃をはるかに上回る威力だった。


 魔王の巨体に二つの十字架が刻み込まれ、その傷跡から浄化の炎が広がっていく。


「おお、流石だな……やったかっ!?」


「聖剣でついた傷は癒えないはず……致命傷に……っ!?」


『ぐぉおおおおっ!!』


「くぅっ!?」


「うわぁっ!?」


 魔王は傷をものともせずに咆哮をあげながら強引に黒い雷をまとった疑似腕を振り回し、イキョサ様とテキナさんを叩きのめした。


 二人とも空中で身をよじり直撃だけは躱したが、かすっただけで恐ろしいまでの紫炎に包まれながら吹き飛ばされた。


「「聖なる輝きよ我らを悪しき意志より守り給え、『聖祝鎧(セイント・プロテクション)』っ!!」」


 咄嗟にマーセ様とイーアス様が防御魔法を二重で放つが、それでも二人の身体から邪悪な魔法は離れない。


『サーボぉおおおおっ!!』


 全身を焦がしながら飛んでいくイキョサ様とテキナさんに追撃を喰らわせることなく、俺だけを見つめて突進してくる魔王。


 それだけ俺を警戒しているのだろう……この場にいる誰よりも恐ろしいと判断しているのだろう。


(魔王までもか……どいつもこいつも俺を勘違いしやがってよぉ)


 笑えてくる、本当に俺は勘違いと縁が切れない存在らしい。


『サーボ先生っ!?』


『逃げてサーボ先生ぇっ!!』


 マジカルアーマーに乗った二人が魔法を放つが、全く効果がない。


「ちぃ……時間は稼ぐ、一番デケェの叩き込んでやれサーボっ!!」


「お願いしますっ!!」


 トラッパー様が俺の前から走り出すと、二本のナイフを抜き放った。


「おらぁっ!!」


 そしてどうやったのか一瞬で魔王の顔面まで達すると、その両目を切り裂いた。


『邪魔をするな虫けらぁああっ!!』


「邪魔してんだよ魔王様よぉっ!! 影呪縛(シャドウロック)っ!!」


 乱暴に払いのけようとする魔王の攻撃を見事に全て回避しながら、更に追撃の魔法を込めてナイフを投合するトラッパー様。


 そのナイフが魔王の影に突き刺さると、一瞬魔王の動きが止まった。


(今だっ!!)


「邪を払う閃光よ我が剣に宿り力と成せ、『聖輝剣(シャイニングブレード)』っ!!」


 俺は二重魔法を放ちながら魔王に向かって駆け出した。


『勇者さぁぼぉおおおおおおっ!!』


「はぁああああっ!! 十文字斬(グランドクロス)っ!!」 


 動きを取り戻した魔王が振り下ろした腕を何とか掻い潜って、俺はイキョサ様とテキナさんが刻み付けた傷跡にダメ押しの一撃を放った。


 そして四大幹部と倒した時と同じ、眩しい輝きが世界に広がって行った。


(これなら……っ!?)


『がぁああああああっ!!』


「なぁっ!?」


 しかしその光は魔王の身体を構成する暗い闇を晴らすことは敵わず、全てのみ込まれて消滅した。


 イキョサ様とテキナさん、そして俺の一撃は確かに魔王の身体に刻まれている。


 だが……まだ致命傷には程遠い。


『今度こそ死ねぇええええっ!!』


 空中で動きが取れない俺に魔王の攻撃が迫る。


「サーボっ!! ぐはっ!!」


「と、トラッパー様……ぐぅっ!!」


 咄嗟にトラッパー様が俺を抱えて回避行動を取ってくれて、だけど完全には躱しきれなかった。


 吹き飛ばされた俺たちの身体を魔王の魔力が包み込み、邪悪な炎が身を焦がしてくる。


『余計な真似を……っ!?』


「やらせんっ!!」


「それ以上は駄目ぇっ!!」


 更に追撃を喰らわせようとした魔王の腕に、回復して戻ってきたイキョサ様とテキナさんが同時に攻撃を仕掛ける。


「聖なる意志のもと清浄なる輝きよ彼の者に癒しを与えたまえ、『浄化(ピュリフィケイション)』」


「光の祝福の元に正常なる形をとりもどせ、『回復(ヒーリング)』……二人とも無事ですかっ!?」


 その間にイーアス様とマーセ様が俺たちを治療してくれた。


「大丈夫だ……くそぉ、めちゃくちゃ強くなってるじゃねぇかっ!?」


「はぁはぁ……そ、そうなのですかっ!?」


「はい、以前でしたら先ほどのイキョサの……いえテキナ様やサーボ様の一撃でも十分退治できておりました」


「本当に恐るべき強さです……このままでは……っ!?」


「くぅっ!?」


「わ、わぁっ!?」


 イキョサ様とテキナさんがこちらに飛んできた。


 攻撃を受けたのではなく、回避した結果のようで怪我はしていない。


『勇者サーボぉおおっ!!』


 魔王は憎々し気に俺だけを睨みつける。


 前に自分を討伐したイキョサ様たちには見向きもしていない……気づいてすらいないのかもしれない。


(怒りで頭に血が上ってんのか……最初に会った時からなんか変だったしなぁ……)


『サーボ先生、どうするの?』


『サーボ先生ぇ』


 カノちゃんとシヨちゃんも近づいてきた。


(本当に、どうしたもんかねぇ……)


 皆と一塊になって魔王とにらみ合いながら、俺はどうするべきか必死に考えるのだった。

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