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一夜明け、


 エリオンと別れて、俺は元パーティーが寝泊まりしている宿の受付で今日の朝までの金を払って宿を後にしてギルドに向かった。

 正式に『剣盾の誓い』を抜けた事の報告とこの街を出ることを伝えるためだ。


 冒険者、そのAランクともなれば国規模でもその人数はなかなか少ない。それにAランクまで上り詰めるような所謂強者は街を移動する毎にその所在を逐一ギルドに報告しなければならない。

 これは貴重な戦力を無駄に失くさない為の措置として御上が義務付けたものだ。これが適用されるのはBランクからになる。


 正直報告は明日の朝でも良いが、そうするとアイツ等(元パーティーメンバー)と会う可能性がある。

 出来ればアイツ等、特にエリオン以外の3人の顔は2度と見たくない。ならば今頃酒飲んで気持ち良く宿で寝てる今の内にさっさと報告して早々に街から出て行った方が精神的に良い。



 「こんばんはジュード様。こんな時間にどんなご用件でしょうか?」



 ジュードってのは俺の名前だ。

 ギルドは基本的にどの時間に行っても開いている。これはいつ魔物が街に押し寄せて来ても良いように、いつでも対処出来るようにという御上からの指示(命令)だ。

 いくら御上からの指示(命令)だからと言っても、こんな時間に働かされてるギルド職員が可哀想だ、なんて考えていたが、今は都合が良かった。



 「『剣盾の誓い』を正式に抜けた。たぶん明日の朝には馬鹿共が俺の事を馬鹿にしながら意気揚々と俺がパーティーを抜けた事を饒舌に語ってくれるだろうさ。


 で、俺はそんな奴等の顔を2度と見たくないから、今の内に街から出ようと思ってる。その報告だ」



 俺がそう言うと受付をしていた職員の女が目を見開き固まった後、申し訳無さそうにしながら理由を聞いてきた。



 「その、どう言った理由で抜けられたのでしょうか?もし仮に抜けるとしたら、ランク的にはジュード様とエリオン様以外のお三方の方だと思うのですが……」


 「その疑問は最もだな。……俺達のここ2年の動きについては把握してるか?」


 「はい。2年前に元Aランク冒険者【必中必殺】のアーノルド様が冒険者登録を終えたご息女のマーニア様をパーティーに勧誘、及びパーティーに参加。一月後にアーノルド様はマーニアを庇われ死去。以降マーニア様は」

 「あぁ、全部は言わなくて良い。俺はアイツ等の事をクソッタレなクソ野郎共と思ってるが、それでも最低限のプライバシーは尊重するつもりだ。


 そこまで把握してるなら聞くが、それだけ把握しているのにわからないのか?」


 「………………」



 受付は黙る。そりゃそうだ。聞くまでもなく最初から理由なんてわかりきっていたからだ。


 それでも俺の溜飲はまだ完全には下がっていないため、自然と口が開いた。


 「我慢の限界なんだよ。ビッチェの性格クソブスの事も、ダサンのクソッタレな悪印象操作の弊害も、マーニアの歪んだ記憶からの逆恨みも、全てを知っていてわかった上で動こうとすらしなかったエリオンにも、もう付き合ってらんねぇ。なんでここまで俺が割りを喰わないと駄目なんだって話だ。


 あぁ、外野のアンタや他の冒険者からすれば俺が一方的に悪いように見えるんだろうが、それすら我慢の限界なんだよ。実際俺は何も悪いことはしてねぇ。してたとしてもダサンのクソッタレに散々見下してくれたお礼をしたぐらいだ。


 俺は悪くねぇ。悪くねぇのに俺が悪いと言われる環境に居るなら、その環境から脱け出そうとするのは自然な事だろ?

 むしろ、俺はアイツ等やアンタ含めた他の奴等に感謝してほしいくらいだ。感情に任せて暴れてないんだからな」



 そこで俺は、自分が思っていた以上にあの環境にブチ切れてた事に気付き、いつの間にか自分でも意識してなかった感情を吐き出していた事に気付いて黙った。


 一拍置いて、少し内心気不味くなりながら、「悪い、口が滑った。そういう訳で抜けた。で、顔も見たくないからさっさと街を出ようと思ってる」と付け足した。


 人が基本職員1人しか居ないこんな時間で良かった。他に同業者が居たらそれはそれで面倒だ。



 「……畏まりました。ではこちらで『剣盾の誓い』脱退の手続きはしておきます。ですが規則に則りあくまで『剣盾の誓い』リーダーであるエリオン様が申請して来ない限りジュード様は『剣盾の誓い』所属という事になりますがよろしいですか?」


 「正直よろしくないし、さっさと脱退させてほしいが、わかった。

 ただ、無いとは思いたいが、もしエリオンの奴が俺が抜けた事を言わなかったら、ギルド側から確認って形で言及しといてくれないか?

 たぶん言及されればアイツはちゃんと動くと思うから」


 「畏まりました。


 ジュード様、長い間、『剣盾の誓い』での活動お疲れ様でした」


 「冒険者は動けなくなるまで辞めねぇよ?俺はコレ以外で食っていけないしな。


 まぁ、しばらくは、1人で活動してみるさ。


 そっちも仕事お疲れさん」



 受付にそう言い残して、八つ当たりした謝礼の意味も籠めて銀貨を3枚受付のカウンターの上に置いて、宣言通り街から出た。


 夜の街の外、村の外は非常に危険だ。

 まず夜だから視界が悪い。次に夜の環境に特化した魔物が活動している。そして、これは未だに解明されてないらしいが夜になると昼間に普通に出てくるような魔物でもとても強くなる。凶暴性が増していると言い換えても良いかもしれない。


 そんな夜に街から出るのは本来であれば自殺行為だ。だから本来であれば例え冒険者でも夜に街の外に出ることは依頼以外では絶対に無い。1人なんて以ての外だ。

 だが理由も無く夜間に街の外を出歩く事を法的に認められている冒険者も居る。例えばAランク以上の冒険者なんかだ。


 だから俺は街を出た。向かう先は『剣盾の誓い』が今出た街に着く前に居た街。

 基本的にアイツ等は1度訪れた街や村には依頼以外では立ち寄らない。それに理由は無いが、毎回自然とそういう動きをしていた。

 そしてそろそろ今出た街から出ようかと話していたところでもあり、その行く先は俺が今向かってる街とは別の街だ。


 確か、そう。次は俺とエリオンの新しい剣と盾を新調するために鍛冶の街『ヘハイトス』に行こうって話をしてたんだったな。

 俺が抜けてその意味は半減したが、どちらにせよエリオンの剣も研ぐなり買い直すなりしないと戦闘中に壊れそうなぐらいガタが来てたから、まぁヘハイトスに行くだろう。


 当然俺も剣や盾を新調したかったが、アイツ等と顔を合わせるぐらいならその辺の安物を使ってる方がマシだ。


 それに今向かってる街は飯と酒が美味い。その街基準での安物ですらめちゃくちゃ美味い。冒険者の間では『食と酒の都』なんて呼んでる奴が居るほどだ。



 街の名前は『デオニーソス』。此処で最低三月(みつき)は過ごす。

 美味い飯、美味い酒を飲んでこのクソッタレの感情を全部吐き出して、溜まりに溜まったあらゆる意味での疲労を癒してから『ヘハイトス』に向かう。

 いや、良い鍛冶師と巡り会えたらヘハイトスに行く理由もねぇな。


 ま、ようやくの自由だ。楽しむとするか。




 ☆   ☆   ☆   ☆   ☆




 翌朝、俺を獲物と思い襲い掛かって来る魔物達を仕留め、その素材を金になる部分だけ回収してその他を森の中に放り投げながら進み、ようやく目的の『デオニーソス』に着いた。

 これが昼間なら俺やエリオンのようなAランク以上であれば一晩ほどの時間も掛けず着いただろうが、夜間だったし1人だったから時間が掛かったのは仕方がない。


 『デオニーソス』の街の門の前には門番が居て、俺の事を視認したのか少し構えている。


 この世界は魔物の脅威に晒されている。そして夜間は危険だ。だが、何故かは解明されてないが、この世界の街や村が在る場所ってのは、どういう訳か魔物が近寄って来ない。正確にはある一定の範囲からその内側に入ってこないと言った方が正しいか。そういう場所に街や村が在ると言った方がより正確か。


 だから基本的に夜間でも門からの人の出入り事態は門番に記録してもらえば出来る。出来るが、出た記録の無い誰かが近寄って来れば、そりゃ警戒もするだろうな。というか、それが彼等の仕事だ。


 俺は盾を背中に背負い直して両手を上に上げたままゆっくり門へと近付く。



 「怪しい者じゃない。見ての通り冒険者だ。ランクもAだから、実力事態も外に出てても問題無い」



 そう言って俺は、自分の冒険者の証であるカードを門番の足元目掛けて地面を滑らせるように投げる。

 『コチラに害意は無い』『何処の誰かはハッキリしてる』『アンタ達の仕事を手伝う』そういう態度で接すれば、夜間の強行軍でやって来た怪しい人物に対してもある程度は寛容なのは何処の街や村でも同じだ。そしてこうした方が早く街に入れる。


 案の上、冒険者カードを見た門番は「確認が取れました。ようこそお越しくださいましたジュード様」と言って、歩いて寄って来て俺に冒険者カードを手渡した。



 「アンタ達もお勤めご苦労さん」



 言いながら寄って来た門番と共に門へと移動する。



 「さて、ジュード様。いったいこの街にどういったご用で強行軍で来られたのでしょうか?貴方は確か『剣盾の誓い』の片割れだった筈。『剣盾の誓い』と言えば1度立ち寄った場所には2度と立ち寄らない事で有名だったと記憶してます。そんな貴方が、それも1人で来たのはどういった理由からでしょうか?」



 俺の方に寄って来た門番が門に着くと同時に険しい表情(カオ)で聞いてくる。

 『剣盾の誓い』はこの門番さんの言った通り、1度立ち寄った場所には戻らない。戻ることがまず無いと言った方が正しいか。

 そんな『剣盾の誓い』の、副リーダーが、夜間に、1人で、街にやって来たんだ、そりゃ疑わしいし、何か問題が有ったんじゃないかと身構えるのは自然な事だ。



 「あぁ、いや、アンタ等が考えてるような大事じゃないから安心してくれ。ただ俺の個人的な理由だ」


 「個人的な理由、ですか……。失礼ですがお伺いしても?」


 「アイツ等に付き合ってられなくなったんだよ。実はこの2年、俺にとっては拷問されてるかのような場所だったんでね、我慢の限界を迎えて昨夜にエリオンにパーティー抜けるって言って、顔も見たくないからそのままこの街に来たんだよ」


 「それは…、貴方の言葉を信じない訳ではないですが、一応確認のためギルドに確認を取っても宜しいでしょうか?」


 「それがアンタ等の仕事だろ?全然やってくれて構わないぜ。


 あぁただ、俺がメンバーから追放されたとか聞かされたり、そもそもまだ抜けていなかったり、無いとは思うが俺の所在を捜してたりするかもしれねぇ。3つ目だった場合、ギルドには俺の所在をアイツ等に言わないように伝えておいてくれ。

 本当にもう、アイツ等とは2度と顔を合わせたくないんでね」



 そう言って銀貨を1枚ずつ門番2人に握らせる。これは黙っといてくれってお願いの賄賂だ。


 アイツ等(『剣盾の誓い』)はこういうちょっとしたお礼や賄賂を物凄く気に入らず、毎回何かしらの形で渡す俺に対して難色を示していた。まぁ、その内のいくつかは正当に金を払わないとならない時に()()()()()()()()()()全く出そうとしなかった時に、俺が慌てて出した事も有ったが、それと今回も同じだ。


 本来門番とは有ったことをしっかりと記録して上に報告して事に当たる義務が有る。与えられた仕事を全うする使命(死命)が有る。それを曲げて、『俺の情報を元パーティーには知られないように伏せておいてもらえるようお願いしてくれないか?』とお願いするんだ、その為の報酬を払うのは至極当然の事だ。

 まぁもちろん、俺が賄賂を渡すのは犯罪にならない事に限るが。


 ギルドに確認を取る。と言っても、(Aランク)ですら一晩掛かった道程が有るのに、どうやって隣街のギルドで起きた話を確認するんだ?って話だが、これには昔の学者先生が開発した魔道具が関係してくる。


 魔道具ってのは魔力を用いて作られた便利な道具、または魔力を用いることで使える道具の事だ。

 200年ほど前、どっかの国の学者先生が『条件を満たしたら自動的にセットされた情報を他の同系列魔道具と共有する』って魔道具を作り出した。それは各街や各領地に量産配置された。その魔道具は領地や街に留まらず御上の組織であるギルドにも実装された。ギルドの設けた条件は『朝日を浴びたら』ってものだったらしく、毎朝毎朝世界中のギルドで情報が更新共有されている。

 つまり昨夜のまだ夜が深い頃にギルドに行ってパーティー脱退の有無を伝えた俺の情報は、まだ正式に脱退出来てないだろうとはいえ各ギルドに共有されてる可能性が非常に高いのだ。


 自分で言うのもなんだが俺はAランクだ。その価値は非常に高い。だからどんな些細な情報さえ共有される。

 これでもSランクと比べればまだマシってんだから、困ったもんだよな。


 俺のお願いを聞き届けてくれた門番さんの内の、門の前で待ってた方が街の中へと駆けて行く。それをぼんやりと眺め、流石に少し重くなってきた瞼を想って門の横の街壁に盾を置いて背中を預けて座る。



 「悪いな、流石に疲れた後に酒飲んでからの強行軍は少し体に堪えた。彼が帰ってくるまでこうしてても良いか?」


 「基本的には立って待ってていただきたいですが、素直に待っててくださるのなら構いません」


 「ありがとう」



 そう言って朝日を浴びながら空の雲を眺める。

 雲はゆっくりと右から左へと流れて行き、その風の流れが違うのか途中で形を変えたりしながら空を自由に漂っていた。



 「あぁ…、やっと自由だ……」



 自然と口から漏れ出たのが自分でもわかったし、近くに他人が居るのもわかっていたが、思わず口から出ていた。


 言葉と共に緊張も吐き出されたのか、一気に体が重くなる。『あー、昨日の事を思えば、何も昨夜に脱退宣言してそのまま強行軍しなくても良かったかな……』そんな言葉が頭に浮かぶ。

 昨日の仕事は貴族のお偉いさんからの仕事で、絶対に失敗出来なかった。それに貴族のお偉いさんが『誰も怪我することなく死ぬこともなく帰ってこい』なんて条件を出すものだから、いつも以上に足手纏い共に意識を割いてたせいで、いつも以上に疲れてた。それに加えてアイツ等3人と来たら、やれ俺の動きが悪いだの、やれさっさと死ねだの、やれ突っ立ってる事しか出来ないのかだの、本当に死ねば良いのにと思うような言葉を吐くだけだったことに腹を立てたのがより体力を使った。

 おかげで心身共にかなり疲れてたとはいえようやくパーティーを抜ける踏ん切りがついたんだ、良かったとしよう。


 いや、だが、それにしても、



 「疲れたな……」


 「そんなに疲れたんですか?」



 頭に浮かんだ言葉をそのまま口から出してるかのように自然と出てくる言葉を拾った門番が話し掛けてくる。「んぁ?」と間抜けな声を出しながら、俺は質問に答える。



 「そりゃ疲れたさ。昨日は貴族のお偉いさんからの仕事だった。それに加えて『誰も怪我することなく死ぬこともなく帰ってこい』なんて条件付けられたんだ、足手纏い3人も居たから滅茶苦茶気にしてたせいで心身共に疲れてた。

 それなのに足手纏い3人は帰り際に散々罵倒してくれたからな、怒りで余計疲れたんだよ。


 そっからの酒飲んでからの強行軍だ、疲れない訳がない」


 「それは…。えー、そんなに酷いパーティーだったんですか?失礼ですが、私が聞いていた『剣盾の誓い』の評判的には、むしろ貴方の方が、その……」


 「あぁ、全部言わなくて良い。アンタ等他人が見たらどう見えてたかもわかってるさ。


 それも含めて限界だったんだよ。

 リーダーに見てもらいたくて人を出汁にして悪評広めるクソアバズレにも、惚れた女が勘違いで俺を殺そうとしてるのを応援してその助力をするクソ陰険野郎にも、自分の父親の死を俺が殺したと歪んで記憶して逆怨みで殺そうとしてくるクソッタレにも、それ等全部含めて自身の性格の短所も含めて全部わかった上で動こうとしなかったクソッタレにも、もううんざりだったんだよ。

 だから比較的穏便に終わるようエリオンの奴に全部投げ出して俺はこの街に休養するために来た。


 俺が抜けた事でパーティーがどうなろうと知ったこっちゃねぇ。俺が抜けただけで崩壊するパーティーなんざ、さっさと崩壊すれば良いんだよ」


 「……………」



 会話はそこで途切れ、俺達は互いに黙った。

 そこに新たな会話が始まる事はなく、朝日が上がった事による門番の引き継ぎの為の人員が来ることもなく、パン屋や鍛冶屋が煙突から煙を出し始めた匂いを嗅ぎつつ、俺達は黙ってた。


 だが少ししてから門番が口を開いた。



 「噂、というものはやはりアテになりませんね。聞いていた『剣盾の誓い』の実情とは真反対だったようだ」


 「ハハ、パーティーを追い出された素行不良の言うことを信じんのかよ?」


 「本当に素行不良な方なら、先程吐いていたような心からの独白なんて出て来ませんよ。


 目の前の光景と目に見えない噂のどっちを信じるのかと言われたら、私は断然前者です」


 「あぁ、そう。そう言われれば、今まで溜め込んだ俺の怒りも薄れるってもんだ」



 言って、金貨を弾いて門番に渡す。

 門番が金貨をキャッチしたのを横目で見ながら口を開く。



 「受け取ってくれ。どんな理由があれ、俺がアンタに感じた感謝の形だ。

 アンタが俺の話を偏見なく聞いてくれた。それに値段を付けたら俺としてはそれだけの価値が有った。


 ただ悪いな、流石にそれ以上の金は今後の活動の事を思うと出せねぇわ」


 「………有り難く受け取らせていただきます」



 そこからは本当に会話は無く、門番が俺の監視をしながら街の外を監視してる気配を感じつつボーッとした。

 正直ドンドン眠くなって来てて、今すぐベッドで寝たくて仕方なかったが、このまま寝る訳にも行かないからとにかく体を休めた。


 体感時間と本来の経過時間ってやつは違うことが有るからどれだけ時間が経ったかわからなかったが、気付いたらギルドに言ってたもう1人が帰って来てた。



 「ジュード様お待たせいたしました。ギルドに確認を取ったところ、昨夜の時点でジュード様がAランク冒険者パーティー『剣盾の誓い』を脱退していた事が確認されました。その時ジュード様が報告された時の事も記されていたらしく、しっかりと裏が取れました。


 ジュード様を疑う要素は無くなりましたのでお入りください」


 「おぉー、昨夜の時点でエリオンは動いてくれたのか。珍しくちゃんと動いたなアイツ。


 で、通行料いくら?出来れば銀貨3枚までに抑えてくれると嬉しい。残り手持ち金が銀貨8枚分なんでね、このままじゃ宿に泊まれなくなる」



 冗談を交えながら立ち上がる。

 この国のAランク以下の冒険者の街の通行料は総じて銀貨1枚だ。それは例え深夜だろうが早朝だろうが関係ない。

 例外として緊急時は多少増減するが、それでも多くて銀貨3枚までだ。


 門番も冗談だとわかっていて、「では大銅貨10枚分頂きますね」なんて返してくれる。

 大銅貨10枚は銀貨1枚だ。聞いた俺は「そんな取られちゃ困るよ」なんて言いながら銀貨を渡す。今度は賄賂の金を乗せず、必要な分だけ渡す。



 「確認しました。ようこそジュード様。デオニーソスの街へ」


 「最低三月(みつき)はお世話になるよ。三月間(みつきかん)よろしく」




 【アーノルド】

 180センチの男。マーニアの父親。年齢は38歳。元Aランク冒険者で二つ名は【必中必殺】。娘であるマーニアを庇い死去。

 装備はマーニアと全く同じもの。マーニアの現在の装備は亡くなった彼の物を彼女のサイズに直したもの。

 瞳、髪色はマーニアと同じ。髪の長さは短髪。娘大好きな朗らかな性格をしていた。



 【ギルドの受付嬢】

 名前はルーシェ。瞳は翡翠色で髪は茶髪。今後登場するかは作者にも不明。



 【門番1】

 名前はザッカス。茶髪茶眼の22歳。ジュードが街に入れるまで話していた方。

 今後の登場は……ジュードが街から出るときに出るかもしれない。



 【門番2】

 名前はダーネル。茶髪黒目の17歳。ジュードの確認のためギルドへ走っていった方。

 今後の登場はザッカス同様、ジュードが街から出るときに出るかもしれない。



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