地雷パーティーを抜け出した俺、自由に生きる
このページから本編開始です。
「なぁ、どうしても残ってはくれないのか?」
「すまんな。俺はもう、お前達に着いて行けない」
アカザカザ。この世界の名前だ。この世界の人類は今、未曾有の危機に晒されている。
敵の総称は『魔物』。数えるのも馬鹿らしいほどの多種多様な種類を有する存在達。人間を人類と呼ぶようなものだ。
この魔物を束ね人類を滅ぼさんと人類の生存圏を脅かしているのが魔物達の王、通称『魔王』と呼ばれている存在、らしい。らしいと曖昧になるのは誰もその存在を確認していないからだ。
魔物が人類を襲い始めて千と数百年。その間、人類は一度も魔王と思わしき個体と遭遇していない。
では何故魔王が存在していると考えられているかというと、たまに『軍』と思えるような統率の取れた動きをする魔物の集団がだいたい100年~200年の周期でその存在を人類の生存圏で何度も目撃されているからだ。しかもその確認される魔物達は毎度同種の魔物達らしい。
例えばだが、魔物の中にはゴブリンと呼ばれる醜悪な顔をした強さは最弱だが数が揃えば災厄とも言えるほどクソッタレな魔物と、何でもかんでも体の中に取り込んで全てを溶かす凶悪な魔物であるスライムと呼ばれる魔物が居る。コイツ等は魔物の種類の内のほんの一部だ。そして、当然コイツ等が生きて行ける環境生きていけない環境というのは存在する。同じスライムでも寒い地域に住んでいるスライムが砂漠や火山などの熱い所に行けば死滅する研究結果が有るらしい。この事から魔物にも生きて行ける環境というものが存在する事がわかる。
このように魔物にも得手不得手な状況が存在する訳だが、その統率の取れた集団は先にも言ったが毎度同じ種類の魔物達で、その出没エリアに本来存在していない種類の魔物も何度も確認されているらしい。
普通に考えて環境に適応出来ず死ぬしかない種類の魔物が統率の取れた集団内に入れば、そりゃ何かしらの意思が働いてると考えるのは自然な事だろう。馬鹿でも「おかしい」と気付けるレベルだ。
この事から俺達のご先祖様達は、魔物には王が居る。魔物の王なのだから、名称は魔王だ。そんな結論を出してその結論を出してから以降、人類は魔王を倒す為に日夜魔物を精力的に狩っている。
魔物を狩っている者達の総称を『討伐者』とか『冒険者』なんて俺達は呼んでいる。勿論御上の兵も魔物を倒すが、それは冒険者達が対処しきれなかったり災害級の魔物が出た時なんかの特殊な条件が整った時ぐらいだ。それに兵は基本的に街の治安や民を護るのが仕事だ。つまり相手は基本的に同じ人間だ。そもそも得意としている分野が違う。
そんな兵と違い、専門が魔物狩りなのが冒険者だ。
最初、冒険者は討伐者と呼ばれていた。そりゃそうだ。その仕事は魔物を討伐する事。魔物を討伐する者だから討伐者。安直だがわかりやすい。
ただここ100年~130年ほどで討伐者達の呼び名が冒険者に変わって来ている。その理由は討伐者の仕事内容が少し変化したからだ。
元々の討伐者の仕事は魔物を討伐する事だ。これは俺の時代になっても変わらないし、恐らく魔王が討伐されるまで未来永劫続く事だろう。ただこの魔物を倒すのにはどうしても食事や薬や武器や防具の整備など、討伐者を生業にしている者達だけに関わらず何かしらの形で資源が必要になってくる。効果が高い物を求めれば、それだけ稀少で高価な物が必要になってくる。
そんな問題が慢性的に150年前頃くらいまでずっと続いていたらしい。だけど街とか村以外の『比較的安全で人が住み着ける場所』以外の場所は魔物の住み処だ。そんな場所に一般人や戦えない者が入っていけば、たちまち命を失う。だからこそ無駄に命を落とす者を減らすため、当時の各御上達が討伐者達にこう頼んだ。
「お前達が便利に使える組織を作ってやる。だからお前達は民の願いを叶えてやってはくれないか?」
かなり言い方が違うかもしれないが、おおよそこんな事を各御上は言ったらしい。そうして生まれた組織に属する者達の働きはもはや『討伐者』と呼ぶには些か多用な職種になっていた。それから『討伐者』と呼ぶには適していないのではないか?なんて議論が御上達の間で行われ、そして生まれた言葉が『冒険者』。
以降、御上達や御上達が立ち上げた組織を中心に『冒険者』という名前は広まっていき、100年~130年前頃には討伐者より冒険者と呼ばれる事の方が多くなった、という訳だ。
さて、長々とこの世界のあらましを改めて自分の中で整理したところで、改めて目の前の男に集中する。
目の前に居るのは俺の幼馴染みだ。名前はエリオン。幼馴染み、といっても、本当に幼い頃から馴染みの有る奴というだけで、別に俺としてはそれだけの奴だ。なんの思い入れもない。
ただコイツの中では俺の事を親友とか思っているらしく、その幼い頃から俺と一緒に遊びたがっていた。
俺達は冒険者だ。この冒険者という職に着こうと思ったのも俺の理由としてはそれが1番稼げるからというシンプルな理由だ。
金はさっき言った御上達が立ち上げた組織である『ギルド』ってヤツに寄せられる一般人やお偉いさん達からの依頼の遂行や倒した魔物の死骸を売ることで手に入れている。
俺達が冒険者と呼ばれ始めた頃にわかった事らしいが、魔物は食える。それにその角とか爪とか鱗とかは良い武具の素材になる。だから俺達冒険者は狩った魔物や達成した依頼の報酬金で日々の生活を成り立たせてる。
で、目の前のコイツは元々冒険者になる予定は無かったらしいが、俺が冒険者になると言ったら何故かコイツも冒険者を目指していた。
そして互いに冒険者になった時、コイツから「一緒にパーティーを組まないか」と誘われた。
パーティーってのは冒険者が少数の徒党を組んで行動する団体の名前だ。コミュニティーという意味で言うなら、ギルド内に於ける国でいう所の一家族とかの小さな集団の1つだ。
コイツの申し出は当時の俺としては1人でやっていく事に少なからず不安が有ったから断る理由も当時は無かったから承諾した。そうして7年。ちょうど互いに20になる今年まで組んで来た。来たんだが…、俺がコイツ等と組むことに許容限界を越えたからパーティーを抜けると宣言したためこんな会話をしてる。
当然7年もの間、パーティーメンバーが2人だけということはない。当然何人か入って1人抜けたりまた入って1人抜けて1人死んだりとメンバーの入れ替わりを重ねて今のメンバーになっている。
で、問題なのがその今のメンバー達だ。ハッキリ言って俺から言わせればクソ野郎の集まりだった。
俺達のパーティーは、まずリーダーが剣士でメイン火力の幼馴染みのコイツ。それに副リーダーとして大楯振り回して仲間を守ったり魔物を殴ったりする俺。そこに魔術師の男ダサン、弓士の女マーニア、神官の女ビッチェ。この5人だ。
で、コイツ以外の3人は、正直俺とコイツのレベルに釣り合ってない。
ギルドには冒険者の強さを計る為に『ランク』なんてものが設けられている。魔物の強さや物の質なんかもこのランクが用いられている。
俺とコイツのランクは2人ともAだ。Aってのはギルドランクを上から数えた方が早いランクだ。上からS、A、B、C、D、E、F、Gの8段階だ。上から2番目。つまり現在冒険者として働いてる奴等の中で2番目にランクが高いって事だ。
対してコイツ等は良くてCだ。マーニアがCだ。で、他の2人はDとFだ。ダサンがDでビッチェがF。
明らかに俺達のパーティーに入れるようなレベルではない。
じゃあ何故入っているかというと、単に目の前のお人好しが原因だ。
正直エリオンは冒険者なんかやってないで教会の坊主共の仲間にさっさとなった方が良いってぐらいの聖人君子だ。そんなコイツは、依頼で助けたダサンや新人で右も左もわからないビッチェなんかを俺達のパーティーに入れて冒険者のノウハウを叩き込もうと2人を招き入れた。俺やマーニアに相談の一切をせずにだ。
それにマーニアも、彼女の父親が元Aの弓士で俺達の仲間だったんだが、2年前に「冒険者になった娘に色々教えたい」と我が儘を言って、当時のパーティーメンバー最年長でありエリオンのお人好しと相まって入れる事になった奴だ。そして肝心のマーニアの父親は彼女を庇って致命傷を負って死んだ。
ここまで話した段階で既に面倒事の臭いがプンプンするが、ここからが俺がコイツ等に付き合い切れないと判断した1番の理由だ。
コイツ等、ことある毎にあらゆる事に難癖を付けて、そしてそれは俺が悪いとか訳わからん事を宣うのだ。
1から行こう。
まずビッチェ。コイツはエリオンに危ない所を助けられてエリオンに惚れた。そしてエリオンと一緒に居たいが為にエリオンが「俺達のパーティーに入らないか」と言い出すように誘導した。そこまでは良い。そこまでは良いが、こっからがこの女の性格ブスな所だ。
この女、例えば酒場でその日の打ち上げをしている時、トイレに立ち上がって戻って来たコイツは、俺の横を通ろうとしたタイミングで見え見えの演技をしながらわざと転けて、俺に転かされたと嘘泣きでエリオンに泣き付く。俺が「ふざけるな。お前が勝手に転けただけだろ」と言えば更に嘘泣きをして煙に巻く。
それを見て他のメンバーはこう思い口にするわけだ。「その辺にしてやれ」と。
過去の俺の言葉を改めて繰り返そう。ふざけるな。エリオンの気を引きたいが為の演技の出汁にされて意味もなく責められるなんて納得出来る訳が無い。
この女がこういう事をし始めたのは、なんだかんだ俺に何かと相談したり絡んでくるエリオンが原因な訳だが、当然ながらそれを他のメンバーが居ない所とかエリオンの居ない所で指摘しても俺に乱暴されそうになったとか嘘泣きで往来を走り回って煙に巻く訳だ。
次にダサン。コイツもビッチェ同様当時の俺達に助けられた奴なんだが、やたらとプライドが高い。その上、実際コイツを助けた時にコイツの事を守っていたのは俺なんだが、何故かコイツの目には俺は映っていなかったらしく、助けたのはエリオンとマーニアの2人だけで、俺はその辺に突っ立ってただけの木偶の坊だと思ってる。
だから頻繁に俺の事を木偶の坊とか言って意味わからん事を宣い続けて自分の魔法のミスなんかも全て俺のせいにする。
まぁコイツに関しては、そういうナメた態度を取る度に皆の前でボコボコにして黙らせてるんだが、そんな光景を見た周りがどう思うかなんてのは見た奴の判断だ。つまり俺が一方的にダサンをボコボコにしてるように見える訳だ。そしてダサンはそれを意図的に起こしてる節が有る。つまりダサンはビッチェの件と合わせて俺の悪印象操作をして俺に喧嘩を売って来るクソ野郎だ。
そして俺に喧嘩を売って来る1番の理由は、恐らくこのクソッタレがマーニアに惚れてるからだ。マーニアの気を惹きたいが為に俺を出汁にしやがる。ビッチェ同様、他人の足を引っ張る事でしかアプローチ出来ないクソ野郎だ。
次にマーニア。マーニアについては正直かなりデリケートな理由だから最初は甘んじて受け入れていた。だがそれ故か調子に乗って、ビッチェやダサンの件も相まってより俺に嫌悪の憎を向けるようになって、それが続いた結果他2人同様クソ野郎という判断をした。
そんなマーニアが俺の事を親の仇のように嫌っているのは、正に彼女の中で俺が親の仇だからだ。
先にも言ったがマーニアの父親はマーニアを庇って死んでいる。そして俺はパーティーの中で所謂壁役な訳だから、パーティーメンバーを護る義務が俺には有る。だがマーニアの父親が死んだ時、マーニアと父親は俺が背中を彼女達に向けて前から来る魔物から彼女達を護っていた時だった。その時、後ろに潜んでいた魔物がマーニアの首に噛み付こうとしている所を、一足先に気付いた彼女の父親が彼女を突き放して庇った。この時、マーニアを襲おうとしていたのが1匹だけなら父親が死ぬことは無かったんだが、マーニアに襲い掛かった魔物からの致命的攻撃をなんとか凌いで腕を払った彼の許に1匹目の影に隠れていたもう1匹の魔物が彼の首に噛み付いた。
彼はAランクだが、咄嗟に娘を庇って致命傷を防いで、更に1匹目の影に隠れていた魔物も迎撃するなんて事は出来なかった。いや、本来なら出来た筈なんだが、その時、別の、3匹目が突き飛ばして起き上がっていないマーニアを襲おうとしていた為、彼は自分の命を諦め、魔物に首を噛み千切られながら矢を放ち、一矢の元マーニアに襲い掛かった魔物を殺して倒れた。
彼女はそんな父親の姿を目の当たりにした訳だが、この時俺がギリギリ間に合わず彼が完全に死ぬ直前に彼の首に噛み付いていた魔物を剣で殺した。この時、魔物の牙がある意味彼の首を圧迫して血が噴き出すのを押さえていたんだが、俺が魔物を殺した事でその力も弱まり首から口が離れた。その結果血は噴き出して、もうどうしようもない状態になっていた。
マーニアは震えながら父親に近付いてその手を握ったが、彼はその手を解いて彼女の頭を撫で、心底安心した顔で力尽きた。
彼女はその場で大声で泣いた。まぁ、目の前で父親が自分を庇って死んだんだ。それは仕方ない。ただ恨む相手が既に死んでいて、彼女の憎しみが向かう先が無かった。結果、パーティーの壁役である筈の俺が仕事をサボったせいで父親が死んだ。と、彼女の中で歪んで記憶された。
当時の彼女の事を想い、それに俺自身も彼を護れなかった悔しさも有ってその処遇を甘んじて受け入れていたんだが、それから彼女の嫌がらせが始まった。
物を隠す、俺の金を勝手に使って謝りもしないなんて当たり前。酷い時には俺の服や武具を売ったり燃やしたりまでしやがった。流石にこれには俺もキレて「いい加減にしろ」と怒鳴ったんだが、何処に行ったかわからず捜していた俺のナイフで首を切られそうになった。
そして俺が怒鳴った時、彼女は決まってこう言った。
「コイツが今度は私を殺そうとした。だから殺される前に無力化しようとしただけ」
なんとも酷い話だ。そういった事が続けば、誰だって、例え負い目の有る人の子供でもクソ野郎と言いたくなる。内向的で自分を責め続けるような奴は別だろうが。
そして極めつけは、実はエリオンだったりする。
コイツはそういった他のメンバーの考えや事情を実は知っていたりする。知っていて、自分の性格が原因なのもわかっていて、それでも和を保とうとするクソ野郎だ。
そんな生活を2年も続けていたんだ。いい加減、我慢の限界だった。
だから俺は自分の武具を含めた荷物一式を持ち出してエリオンだけを呼び出して酒場で2人で飲んで、パーティーを抜ける事を伝えた。
そうして返って来たのが、さっきの言葉だ。
はぁー…。
「俺の意思は変わらない。むしろこの2年、よく我慢した方だ」
「それは…、だが俺は!」
「だったらアイツ等を追放しろ」
「ッ!」
「このパーティーはそもそも俺とお前で組んだパーティーで、俺達のランクは互いにAだ。対してあの3人はC以下。俺達のランクに合ってない。それにAランクの依頼を受けて動いているのは俺とお前だけであの3人が出来てるのは意味の無い牽制か戦闘後の後処理だけだ。それしか出来てない。その上、アイツ等が狙われたら俺かお前が庇いに入ってより足を引っ張ってる。つまりアイツ等が居なくても俺達は自分達のランクに合った依頼を2人で達成出来る。むしろアイツ等が居る方が俺達にとっては危険だ。アイツ等は紛うことなきお荷物だ。もし俺とのパーティーを存続させたいのならあの3人の方を追放しろ。
ただそうなった場合、アイツ等の性格を考えるとあの手この手で俺に嫌がらせしてくるだろうな。特にマーニアは本格的に俺を殺そうとしてくるな。それに、お前の性格的に絶対あの3人を追放するなんて事は出来ない。
だからアイツ等の不満を解消して比較的穏便に事を収めるには俺が抜けるのが1番だ。
なんで見下せるのか訳わからんが、アイツ等は俺の事を馬鹿にして見下してる。そんな俺がお前から追放されたとして本当に意味はわからないがふんぞり返ってるだけのお偉いさんに対するように『今まで迷惑を掛けた罰金』とかなんとか言ってある程度の金をお前に渡して、お前がアイツ等の前で俺を追放したと宣言すればアイツ等の溜飲がある程度は下がってアイツ等はハッピー。俺も糞みたいな奴等から解放されてハッピーだ。
なのに、何を躊躇う必要が有るんだ?」
「だ、けど!俺達は幼馴染みだし」
「幼馴染みだがお前ほど俺はお前の事を特別には思ってない。本当にただ、俺の中では幼い頃からの馴染みってだけだ。そこにそれ以上の良い感情は無い。
有るならむしろ、こんなクソッタレな状況を生み出す原因になったお前の事を少なからず嫌ってるくらいだ」
「!? そ、れは……」
「幼馴染みに対する思い入れは無い。オッサンに対する申し訳無さや不甲斐なさもマーニアのこの2年の態度で見捨てる判断が出来る程度には無くなった。他2人については論外だ。俺にこのパーティーに残る理由は無い。
何より、人の物を盗ったり売ったりするマーニアのあの行動はパーティーとしても冒険者としても人としても致命的だ。普通に俺が国の兵やギルド職員に言えば捕まるレベルだ。それをなけなしの申し訳無さや不甲斐なさと幼馴染みに迷惑が掛からないようにって配慮で踏み留まってるレベルだ。
でももうそれも限界だ。
俺達はもう、やり直せない」
そこまで俺がハッキリと言うと、エリオンは何か叫ぼうとした。叫ぼうとしたが、すぐに何かを圧し殺すように吐き掛けた言葉を呑み込み、一言だけこう言った。
「どうしようも、ないのか?」
「無いな」
「何処で間違えた……」
「お前がどっち付かずなのと、この状況を解決するために話す場を設ける事すらせず放置した事が原因だろうな」
「…………つまり全部俺が悪いと?」
「ある意味そうかもな。お前の性格や考えは否定しない。否定しないが、お前はリーダーとしての責務を放棄した。俺以外の奴が自分の役割を放棄した。役割を放棄した奴等が集まる組織が崩壊するのは自然の摂理だ」
「………………」
「じゃあな。コレ、ここの酒代とアイツ等が喚かない為の金な。
こっからお互い再スタートだ。互いに気張ろうぜ」
机の上に有った自分の分の酒を飲み干し、俺は席を立って店を出た。
後ろは振り返らない。ようやく俺は、アイツ等から解放されたんだ。
だったら今後、アイツ等がどうなろうと知った事じゃない。
こうして俺は、剣士エリオンがリーダーの『剣盾の誓い』という何を誓ったのかわからないパーティーから抜け出せた。
【ジュード】
188センチの高身長で全体的に筋肉質な男。ただゴリマッチョという訳ではなく、バランスよく筋肉がついている感じ。二つ名は【移動要塞】。
年齢は20歳で肌はどちらかというと焼けている。冒険者としての装備は昆虫種の魔物の甲殻系を中心とした胸・腕・脚といった要所要所を守る防具姿で左にファルシオンと片手剣、右にグラディウス、腰にダガーを携えている。左腕には腕防具と一体になったランタンシールドのような金属盾が有り、背中には屈めばジュードでも隠れられそうな大きさの楯を背負っている。腰の左側には大きめのポーチが有り、そこに色々と細々とした役立つ道具を仕舞っている。パーティーでの役職は一応盾士だが、パーティーの穴を埋めるような動きをしているためこれといった役職はない。
瞳の色は黒。髪色は赤銅色で短い。顔は少しワイルドさが有る。
喧嘩っ早く、喧嘩を買ったあといつもその後に起こる面倒事に頭を悩ませている。それが自分の短所だと自覚はしているものの、もはやこれは自分の生来の性質だからどうしようもないと考えている。起きる面倒事が片付く度に、その面倒さに比例して酒量が増えている。
【エリオン】
ジュードより身長は低く178センチ。体は引き締まってはいるもののジュードほど筋肉質ではない。年齢はジュードと同じく20歳。二つ名は【武器破壊の閃光】。
動きやすさをメインにした防具を着ていて、左にブロードソード、右に十手のようなグラディウスほどの大きさのソードブレイカー、腰にはジュード同様ダガーを携えている剣士。
瞳の色は青で髪色は薄い金髪。男にしては長いセミロングほどの長さ。戦闘時にはうなじ辺りで括って髪が乱れて視界を塞がないようにしている。
【マーニア】
女性にしては高い167センチ。体はスラッとしたスレンダーで胸も慎ましい。年齢は15歳。
装備は全身皮の動きやすさ重視で左右に矢筒、腰にダガーを装備している弓士。
瞳は黄緑色。髪はくすんだ金髪で長さはエリオンより少し長いセミロング。戦闘時はエリオン同様うなじ辺りで括っている。
【ダサン】
175センチのヒョロガリ。常に全身をダボッとしたローブで隠しており、顔は常に薄気味悪い笑顔を浮かべている。年齢は17歳。
装備は全身隠れるほどの大きなダボッとしたローブ姿で、腰には魔術を使うための触媒として広辞苑のような魔術書が有る。右手には身の丈ほどの杖を持っていて、その先端にはダイヤモンドのような宝石が付いている。魔術士。
瞳は青色で髪色は灰色。『ガリ勉』を連想させるような髪型をしている。
【ビッチェ】
154センチで胸は大きい。体の線事態は細い。年齢は14歳。
装備は神官を連想させるような白を基調としたもの。腰に大きなカバンを携えており、そこにはポーションのような回復薬が入っている。右手にはダサンの杖と似た短杖を持っている。
瞳はピンクで髪色は茶色。ボブカット。