08 流されてここまで来た
だが、まだ疑問は残っている。
「いや、でも、俺以外にも適役はいたでしょう」
なぜ俺を担当にしたのかという事だ。
「皆遠慮して、あまり話しかけてくれないのだ」
「あー」
でしょうねー。
勇者ですもんね。
兵士とか要人とかでも、遠慮するわ。
「でも、村人なら村人で他にもいっぱいいたでしょうに。俺より器量よしや力持ちとかもいただろうし、何でよりによって、俺だったんです。俺、何ヶ月鍛えてもパラメーターが伸びなかったんですけど」
「何となく目についたから?」
「適当かいっ!」
「ああ、その遠慮のなさとかも」
「とってつけたようなフォローありがとう! でも俺達、打ち解けるまで結構かかりましたよね」
敬語捨て去ったの一か月めだし。
とにかく、この勇者パーティーに俺が必要であることはよく分かった。
役に立つ局面がかなり限られているけど、俺が頑張らないと何やらまずそうな気配と、絶望感しか感じられなかったので、この流れはやるしかないん、のだろうか?
「あと、雰囲気に流されてくれそうなところとかも。声をかけたら、何のかんのパーティーに入ってくれたし」
「俺の流され体質がこの状況の原因か!」