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05 スパイがいた時
次の出来事はもうちょい後。
それは勇者達と行動を共にするようになってから、数週間後のことだった。
驚きの事実が判明。
勇者達と行動を共にする人類軍の中にスパイがいた。
だけど、そのスパイはまだ年端もいかない子供だった。
両親を人質に取られてるから、やらざるを得なかったとか。
勇者は勇者スキルを駆使して、そんなスパイを鮮やかに捕まえたんだけど、
「放っておいたら何をするか分からない。始末しよう」
だそうです。
えー。
子供だよ?
そんなあっさり判断しちゃう?
捕まった子なんて、涙目になって震えながらこっちに助けを求める視線を送ってるし。
スパイしてたの嫌だったんじゃないの?
確かに「次も裏切らない保証はない」し「また、同じ事をするかもしれない」けど。
皆の希望の象徴である勇者様が慈悲とか優しさとか見せなきゃ、部下達ついてこないよ。
だから俺は、仕方なくスパイ少女と勇者の間に割り込んだ。
「あー、勇者様あのー、お願いがあるんですけど」