06 診療所
○村上杏奈の診療所。
「女岩島診療所」の看板を掲げた二階建ての古いビル。
○同、診察室。
育人に触れ、ショックを受ける杏奈。
あゆみ「どうかされました、先生?」
いぶかしげに声をかける。
杏奈「な、なんでもないわ!」
胸を押さえて深呼吸する杏奈。
杏奈「この子の健康状態が心配だわ。念のため精密検査をするわね。あゆみさん。この子の採血、お願い」
あゆみ「はい。先生!」
採血台に手を乗せる育人。
あゆみ「それじゃあ、ちょっとチクッとするからね」
育人、怖そうに眼をつぶって顔をそらす。
あゆみ「ウフフ。そんなに怖がらなくてもいいわよ」
育人「俺、注射されるの、初めてだから…」
あゆみ「ええっ!?うそー?君、どこの原始人?」
あゆみ、嘲笑しながら育人の腕を取る。
と、あゆみの全身に衝撃が走り、震えだす。
杏奈「どうしたの、あゆみさん!?」
あゆみ「せ、先生、できません!」
杏奈「えっ!?」
あゆみ「この子の腕に針を刺すなんて、そんなひどいこと私にはできません!!」
杏奈「……本気で言ってるの?」
あゆみ「マジです!」
額に指を当てて考え込む杏奈。
杏奈「どいて!私がやるわ!」
注射針を育人の腕に近づける安奈。
あゆみ「ああ!先生!お願いします!やめてあげて!」
あゆみが傍らで懇願する。
注射針を育人の腕に近づける杏奈。
育人、再び怖そうに顔をしかめる。
注射器を持つ杏奈の手が震える。
冷や汗を流す杏奈。
杏奈「ダメだわ!」
注射器を床に落とす杏奈。
杏奈「怯えたこの子の顔を見たら、どうしても針を刺すことができない!」
○杏奈の家。風呂場。夜。
シャワーを浴びている物憂げな表情の杏奈。
杏奈(藤原育人。あの子の顔が頭から消せないわ。いい年して、あんな中学生のガキに?私、ショタの気なんかないのに…)
ふと、自分の胸を触る杏奈。
杏奈「乳房が張っている…?」
乳房を掴む杏奈。
と、乳首から母乳が出てくる。
ショックを受ける杏奈。
杏奈「そんなバカな!?一体、私、どうなったのよ!?」