05 学校医
○林の中。昼。
T「翌日」
樹が生い茂った薄暗い林の中。
殴り飛ばされる育人。
雄太「このエロガキが!」
雄太、馬乗りになり、殴り続ける。
木にもたれて、その様子をニヤニヤと見ている美咲。
美咲「育人。あんたが悪いンよ。早くこの島を出て、本土の施設に入れてもらい」
雄太、育人の胸倉を掴む。
雄太「どや!わかったか?」
育人「……俺は…何も悪いこと…してねぇ!」
カッとなった雄太、育人の首を両手で絞める。
雄太「このクソガキ!ぶっ殺してやる!」
雄太の激しい剣幕に動揺する美咲。
美咲「ちょっと雄太!やりすぎちがう?」
雄太「心配すンな、美咲。死体は船で沖に捨ててくるから大丈夫や」
美咲「捕まるンは雄太だけにしといて!うちは関係あらへんからな!」
美咲、その場を立ち去ろうとする。
杏奈「あなたたち!何をしてるの!」
往診カバンを持った白衣の女医、村上 杏奈(34)と准看護師の真鍋あゆみ(22)が現れる。
美咲「ヤバッ!」
逃げ出す美咲。
雄太「チッ!診療所に来たよそもんか」
杏奈を睨みつけながらゆっくりと立ち上がる雄太。
あゆみ「村上先生!彼、漁協の組合長の息子ですよ。この島で組合長に逆らったら何かと大変です」
コソコソと杏奈に耳打ちするあゆみ。
雄太「その女の言うとおりや。この島でわしに逆らう者はおらん!」
悠然とその場を去る雄太。
杏奈「(雄太の後ろ姿に向かって)フン!田舎のガキが!」
倒れている育人を見下ろす杏奈。
杏奈「お立ちなさい。手当ぐらいしたげるわ」
○村上杏奈の診療所。
「女岩島診療所」の看板を掲げた二階建ての古いビル。
○同、診察室。
育人、杏奈、あゆみの3人。
杏奈「いつも、あんなイジメにあってるの?」
育人、無言でうつむいたまま。
フンと鼻を鳴らす杏奈。
杏奈「ま、所詮私はよそ者だからどうでもいいけどさ。こんなチンケな島出て、誰も知らない所に逃げたらいいのに」
育人「だったら、先生はどうしてこんなチンケな島に来た?」
杏奈「あら?言うじゃない」
面白そうに表情を緩める杏奈。
杏奈「上着を脱ぎなさい。診てあげるわ」
ボロボロに破れたカッターシャツを脱ぎ、上半身裸になる育人。
思わず、息を飲む杏奈
育人の上全身は傷跡だらけ。
杏奈「あの組合長の息子がしたの!?いえ、違うわね。古い傷だわ」
育人「死んだオヤジにやられた傷だ」
杏奈「父親に………?」
あゆみ「先生。この子、例の児童虐待の子ですよ」
杏奈「ああ!あなたが…」
杏奈、育人の胸の傷跡に手を触れる。
と、急に電撃が杏奈の全身に走る。
杏奈(な、なに!?今の感じ!?)