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04 里親

○村長宅、縁側。夕刻。

 ケープを着せられ、縁側に座って散髪中の育人。

 村長の妻、橘 房江に長髪をバッサリと切ってもらう。

 涼しげな切れ長の目、ひっそりと色香を含んだ風情。

 中学生とは思えないぞくっとするほど艶かしい美少年に生まれ変わる。

房江「ずいぶんと男前になったなあ」

 惚れ惚れと見とれる房江。

 育人に手鏡で散髪の仕上がりを見せる房江。

育人「これが、俺………」

 手鏡に映る自分の顔も見て、少し驚く育人。



○村長宅。脱衣所。

房江「さあ。お風呂に入りなさい」

 房江、育人のシャツを脱がそうとする。

育人「一人で脱げるよ!」

 育人、シャツを抑えて恥ずかしそう。

房江「恥ずかしがることあらへん。今日からうちは育人のお母ちゃんなんやからね」

 無理やりシャツを脱がす房江。

 ハッとする房江。

 痩せこけ、あばら骨の浮き出た育人。

 傷跡やヤケドの跡だらけの育人の上半身。

 涙ぐむ房江。

房江「かわいそうになあ!痛かったやろ。熱かったやろ。もう心配せんでええんよ。私が育人のことを守ってあげるからな」

 育人を抱きしめる房江。

 他人に優しくされたことがないため、キョトンとしている育人。



○同、風呂場。

 下着姿になった房江、洗い場で育人の背中をタオルで洗っている。

 風呂場の外、窓の隙間から美咲がその様子を覗いている。

美咲「うちのクソババア!何をとち狂っとるんや!」

 おぞまし気に呟く美咲。



○山間の農道。夕刻。

 翌日。

 小さな棚田が広がる島の中腹。

 農機具小屋が建っている。



○農機具小屋。

 鍬や鎌の農機具をしまった小屋。

 床に敷いたブルーシートの上で横になり、抱きあい、キスをしている美咲と漁協の組合長の息子、武藤雄太(18)。


 がっちりとした体形の雄太、美咲のスカートの中に手を伸ばし、まさぐろうとする。

 美咲、雄太の手を軽く叩いて払いのける。

美咲「おあずけ!」

雄太「なんでだよう!」

 不服そうな雄太。

美咲「私の家に藤原育人が居候しとるんは知ってるやろ」

雄太「ああ。村長の売名行為やって島中の評判や」

美咲「あいつ、いっつも私のこと、いやらしい目で見てるんよ」

雄太「なんやと!」

美咲「お風呂とか寝室、あいつ、こっそり覗いとるんや!親に言うても選挙のためやから我慢せいって!」

 シクシクと泣き真似をする美咲。

雄太「あのクソガキ!島から追い出したるわ!!」

 拳を握りしめる雄太。

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