表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/38

02 魔少年

○二階建の古アパート。

 ドアをノックする森田所長。

森田「藤原さん!藤原大志さん!」

塚原「お留守みたいですよ。出直しましょうよ」

 不安げな表情の塚原。

 すっかり腰が引けている。

 と、ドアがいきなり開く。

塚原「ヒィッ!」

 思わず悲鳴を上げる塚原。

 暗い室内から、無精ひげだらけの狂暴な顔つきの藤原大志が現れる。

大志「なんだ、おめぇら?」

平塚(ヤダ!酒くさい!)


村長「大志。本土から児童相談所の所長さんが来られた。育人(いくと)のことで話があるんやと」

大志「児相か?児相なんぞに用はねぇ!とっとと帰りやがれ!」

 ドアを閉めようとする大志。

森田「そ、そうはいきません!」

 森田がドアを抑える。

森田「育人(いくと)君は全く中学校に行っていないそうですね。それに、ご近所の方から育人(いくと)君が虐待を受けているという通報がありました」

大志「虐待だと!どこのどいつがそんなことタレこんだ!」


 と、部屋の奥から育人のうめき声が聞こえる。

育人「ウ、ウウッ……」

森田「失礼します!」

 大志の脇をすり抜けて、室内に入る森田所長。

ゴミだらけの暗い部屋。

 床に横たわる育人。髪はボサボサ、ガリガリにやせ細り、全身傷だらけ。顔も腫れ上がって明らかに虐待されている。

 森田、育人を抱き起す。

森田「何てむごいことを!」

大志「てめぇ!ぶっ殺すぞ!」

 大志、森田を殴り倒す。

村長「大志!やめんか!」

 大志の背後から村長が必死にしがみつく。

 大志、なおも倒れた森田を蹴りつける。


 ガタガタ震え、後ずさりして、逃げ出そうとする平塚。

 と、平塚の足首をつかむ手。

 倒れていた育人の手である。

育人「助けて……」

 育人が平塚を見上げる。

 育人の眼が妖しく光る。

 と、平塚の全身に電流のような強い衝撃が走る。


 平塚、床に転がっていた一升瓶を拾い上げる。

 平塚、大志の頭を背後から一升瓶で殴りつける。

 大志「ウガアアッ!!」

 一升瓶が割れ、頭から流血する大志。

 目を丸くして驚く森田と村長。

 よろけながらも、鬼のような形相で平塚を睨みつける大志。

大志「この…糞アマッ!ぶっ殺してやる!」

 平塚に掴み掛る大志。

 平塚、下半分が割れた一升瓶を振りかざして、大志の顔面に突き刺す。

大志「ぎゃああああ!!」

 顔を両手で覆って悲鳴を上げる大志。

 平塚、大志に飛びかかる。

 窓ガラスを突き破る平塚と大志。

森田「平塚君!」

 割れた窓から階下を見下ろす森田。

 地面に折り重なって横たわる血塗れの平塚と大志の姿。

森田「な、なんてことだ……!?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ