第二話 お花畑
キーンコーンカーンコーン
終業のチャイムが鳴る。
そのチャイムと同時にみんなそれぞれ家に帰っていく。
「優衣〜、帰ろぉ〜」
「うん〜。」
「、、、どしたの??何かご機嫌ナナメ?」
「だってぇ〜」
話は二時間前に戻ります。
「俺??俺は輝じゃないぜ。俺は雨宮陽。輝の双子の弟。」
え?
「えぇ〜!?」
輝って弟いたの!?しかも双子の!!
初耳だよぉ〜。何で話してくれなかったの〜!?、、、ってあたりまえかッ!!
彼女でもないにのわざわざ話さないよね((涙
「ってか、あんた輝のこと好きなの??」
ギクッ!!
こいつ、、、鋭いな、、、。
「ふ〜ん。図星なわけ?」
「あ、あんたに関係ないじゃない!!」
あたしがそう言うと、雨宮陽はクスッっと笑った。
「な、なによ!?」
「別に。ただ、、、ねぇ。」
そう言って、あたしの頭のてっぺんから、足のつま先まで、じーっと見てきた。
「な、何よ!?釣り合わないとでも言いたいの!?」
「ご名答。」
な、、、、何なのよ、コイツ!!
そりゃぁあたしだって、釣り合わないとは思うけどさぁ、普通初対面の人にそこまで言う!?
あたしが怒りで燃えていると、雨宮陽が口を開いた。
「ま、せいぜい頑張れば??絶対無理だと思うけど。」
そう言い残すと、雨宮陽はどこかへ行ってしまった。
な、、、何なのよアイツ!!
失礼にも程があるでしょッ!!
あたしはアイツが去って行った方を向いて思いっきりアッカンベーをした。
「、、、ねぇ、優衣、アッカンベーをしてるとこ悪いんだけど、遅刻だよ??」
へッ??
あ、、、
「あぁ〜〜〜!!!!!やっばー、すっかり忘れてた、、、。」
それもこれも、、、、
「アイツのせいだぁぁぁぁ!!」
、、、ということなのです。
ってかアイツ本当に輝の弟??
顔は似てるけど性格全然違うじゃんかぁ〜!!
ってか輝の顔して『絶対無理』とか言われると傷つく、、、。
しかも!!さっき分かったことなんだけど、その雨宮陽とあたしが同じクラスだったのよ〜!!
もう、まじあり得ない!!
「はぁぁぁぁ。」
「ため息ついたら幸せ逃げるよ??」
「いいよ、もう。アイツと同じクラスって時点で幸せ逃げられてるから。」
「はは。確かに。」
『確かに』じゃないよ〜。
「あッ!!今からカラオケ行かない??」
カラオケかぁ。
「う〜ん、、、今日はそういう気分じゃないからパス〜。」
「そっかぁ〜。じゃぁ、また今度行こーね!!」
「うん!!ばいば〜い」
そう言って千香と別れた。
ふぅ。なんか今日はいろんなことがあって疲れたなぁ、、、。
あっそうだ!!
こういう日は“あそこ”に行ってみよ〜
あたしはスキップをしながらあそこへ向かった。
「着いたぁ!!」
20分でやっと着いた。
「わぁ、きれい〜。」
見渡す限り花、花、花!!
そう、わたしが言っていた“あそこ”とは、お花畑のことだったのだ。
小5の時、学校をサボってブラブラ歩いてたら偶然見つけた。
色々な花が咲いて、あたしは、一目で気に入った。
それからと言うもの、あたしはここを自分の秘密基地にしていた。
もちろん、千香にも教えていない。
あたしは、お花畑の上に寝転がった。
「う〜ん!!気持ちぃ〜」
ここのまま寝たいなぁ、、、。
あたしがウトウトし始めた頃、「あれ?本条??」と言う声が聞こえた。
へ?
その声は、、、
「輝!?」
あたしは勢いよく飛び起きた。
「久しぶり。」
そう言ってニコッっと笑う輝。
か、、、カッコイイ。
思わず見とれてしまう、、、、。
「本条は、よくここに来るの??」
「えっ?あっうん!!じゃなくて、ううん。たまにくるだけなの。」
「へぇ。そうなんだ。」
「うん。輝は??」
「俺??俺はよく来るかな。」
「へぇ!!そうなんだ!!」
「ぉう。俺、花が好きなんだ。花って見てると落ち着くじゃん??それにキレイだし。って、男がこんなこと言ったらキモイかな??」
「ううん!!全然!!キモくなんかないよ!!」
「そう?それならよかった。じゃ、俺はこの辺で。、、、あっ!!メアド交換しねぇ??」
メアド??
「うん!!いいよ!!じゃぁ、赤外線で送るね。」
「おう。」
あたしたちは、メアドを交換し終わった。
「じゃ、またなぁー。」
そう言って輝は、手を振りながら去っていった。
、、、、やっぱり、カッコよすぎるよ、、、、。
ってか、メアド交換しちゃった!!
幸せはまだ逃げてなかったみたい、、、、。
あたしはしばらく携帯を見つめたままお花畑のなかでボーっと立っていた