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練習サスペンス1  作者: とーる
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スイッチゲーム

スイッチゲーム


頭の芯にズキズキと痛みが走り、ぼんやりと目を覚ます、、、


薄暗くオレンジ色に光る電気が目に当たる


うぅ、、、


体を起こし周りを見渡す


自分の寝ていたベッドの横に名札が置いてある


羽沢 優 (はざわ ゆう)


僕の名札?


10センチほどのプラスチックで出来た名札を手に持つ


その時、


コンコン


ドアの方から音が



羽沢様。名札を付けて一階の広間へお越しください。


落ち着いた口調に男性の声だ。



名札をもう一度見つめる


ここは、一体どこなんだ、、、そもそも何故こんなところに僕はいるんだ、、、



窓もないこの部屋、外の景色は望めない。


この状況を理解するためには少なからず現状を理解している人に話を聞く必要があるだろう。


名札を胸につけ部屋の扉を開ける



見覚えのない長い廊下を左右に見渡し自分の部屋の扉を見る


扉の上部には羽沢優とかかれたプレートがついてあった。


広間への道はわからない、、、が部屋の前で立ち止まっていても仕方がない。


部屋を出て右手の方向へ進む


蝋燭が一定の間隔で細々と細長い廊下を照らしている。薄暗く20メートルほど真っ直ぐ進むと直角の曲がり角に着いた


その角を曲がると下に降りる階段が見え


さらに先へ進む


階段を降りていると右手に飾られている大きな油絵が妙に気になった。


タイトルは


本当に裁かれるべきものは、、、



その絵は、警官2人に銃を突きつけられる2人の男女の絵だった。

女性は男の影に隠れ笑っている。男は覚悟を決めた顔をし女性の前に立ち盾になっている様子。警官の顔も特徴的で片方の警官は涙し、かたやもう一方は笑っている。

その周りにいる人々はみんな知らない顔をしていた。


なんだかモヤモヤしながら階段を降りると、すぐに扉があった。



それを恐る恐る開けると大きな部屋が眼前に姿を現した。大きな机が置かれ、それを囲うように椅子が10席並び、空いたスペースには様々な種類のお酒が並ぶバーカウンター、ビリヤード台、ダーツスペース、本棚も並べられマッサージチェアーも完備された読書スペースもあった



しかし、それら娯楽スペースには目もくれず女性が3人、男性が4人無言で大テーブルの椅子に座っていた。



部屋に入ると視線が一斉に集中した。


体がギョッとし動けなくなる


そんな僕に1人の男が声をかけてきた


おい、お前はここがどこかわかるか?


金髪で髪をオールバックにした強面の男がこっちを見ていた


、、、わからない。


金髪の男は深いため息をついた。


お前もかよ!!



7名の男女は僕から興味を無くしたのか視線を僕から外し無言になってしまった。



特に指定されたわけではないがみんなが座るように僕も娯楽スペースには気をとられることなく大テーブルの席に着いた



空席は後2つ。。。


先ほどの言動や態度を考えるとここの7名は僕と同じ答えを欲していることは明白だった。


あえてここにいる者には質問はせず


座席の数から見て恐らく残り2名?、、、もしかしたらその2人が欲する答えを持っているかもしれない。と僅かな希望を持ち、見たことも無い2名を待った


すると数分後


ギィ、、、


扉から音がした


綺麗な女性がこちらの様子を伺っていた。


黒髪で髪は肩より少し長めだろうか、、、


金髪の男は僕の時とはうってかわり


君は、、ここがどこだか知っていますか?


と問いかけた



女性は首を振りその場で立ち尽くしていた


金髪の男は隣に座っていた茶髪ショートヘアの気が強そうな女性を見て


おい!お前あっちいけ!


すると女性は汚いものを見るような目で金髪の男を睨み


キモ!


と一言突き刺し席を離れ僕の隣の椅子を勢いよく引き、体重を一気に椅子に預けるような乱暴な座り方をした。



そんな言葉を気にもとめず、金髪の男は扉の前に立ち尽くす綺麗な女性を自分の隣の椅子に誘導した。



その女性も言われるがままに行動した。


その様子を不機嫌そうに見ていた僕の隣に座ってきた茶髪の女性が小声だがみんなに聞こえるほどの声で


ガキが!チヤホヤされて粋がってんじゃねぇぞ!


とボヤいた


この薄暗い部屋の雰囲気もあいまって一層ホラーが引き立った



その後間をおかず現れたのは、絵に描いたような長身のイケメン。


身長は180センチほどだろうか、、、顔は小さく髪は黒髪センター分けで髪の隙間から覗かせる綺麗な目、鼻、口はまるでモデルのようだった



誰が決めたのか毎回金髪の男が最初に口を開く


おい!お前!ここがどこだか分かるか?


そのセンター分けの男は首を振り


わからないです。とハッキリと答えた


しかし、僕の隣に追いやられ隣に座った茶髪の女性が口を挟んできた


おいおい!金髪のおじさんはしょうもねぇクソガキにしか敬語使えないのかな?



そういうと何故か僕を睨んできた


おい!おめぇ!どけよ!席譲ってやれよ!



、、、所詮は世の中なんてこんなものだろう



何も言わずに席を退いたが僕の中で一刻も早く家に帰りたい気持ちが更に強くなった



センター分けの男は僕に会釈をし申し訳なさそうな顔をしてきた。


何となくだがそれにも腹が立った。



そして大きな机を取り囲む10席が埋まった。


するとスーツを着た白髪の老人が扉から入ってきた。


老人はスタスタとその机の前に立つと一人で勝手に話を始めた


皆様!初めまして!私はこの館の管理人である(きた) 丈吉(じょうきち)と申します。


金髪の男がそれだけを聞き、会話に割って入った


おい!ここはどこやねん!!!しっかり説明せんかい!!!


すると北がギョロッと金髪の男を見て


質問は一切受け付けません。黙ってこちらが指示することに従ってください。


と言い放った


金髪の男はちっ。と舌打ちをして黙った。


北は話を続けた。


まず皆さんがするべき事をお伝えします。


それはこの館から脱出すること。



当然だがその場はザワつきだした。


自分も含めてその言葉が理解できない。


脱出、、、そもそもここはどこ?、、


北さんにも負けず劣らずのお爺さんが口を挟んだ。


出口はどこにあるんですか?



北は説明を続けた


出口はあちらです!


大広間の端にある5つの扉を指差した。


意味わからへんわ!ほなそこから出たらいいだけやないか!



金髪の男が睨みつけた


出口は全て鍵がかかっており鍵が無ければ開くことはありません。


大筋が見えてきた。


要は鍵を見つけあの広間の扉から出れば良いのか、、、ただ、なぜ扉は5つある?



そして何よりこんな事をする理由がわからない。


北はつけている眼鏡をグイッとあげ


これから皆さんにはスイッチゲームをしてもらいます。



スイッチゲームとは、、、


さも自然にでた北さんからのワードに一瞬、自分の無知を疑ったが

周りを見渡してもそれを知るものはいなさそうだった



スイッチゲームのご説明を致します。



開始時刻は5分後の正午12時から。終了予定時刻は2日後の同じく正午12時


一時間毎に切り替わる犯人を特定しその者が犯人のタイミングで言い当ててください。


ただし、犯人を当てる権利があるのは一時間毎に1人でその度に1度だけ。そして犯人を指名する人間はこちらが抽選でお選びします。

更に指名された者の捕獲はこちらで行いますし、その後もしその者が犯人ならば脱出用の鍵をお一つお渡しします。


しかし、一度指名されたものが犯人でない場合、我々が捕獲し2度とこの館から出ることはできなくなってしまいますので人選はご注意を。


犯人に選ばれた者は

一時間無事に逃げる度に1億の賞金をご準備致します。


犯人スケジュールというものがお部屋に準備してありますので一度お部屋へお戻りください。


そして最後に制限時間内にこの館を脱出できなかった方は2度とここから出られなくなります。


説明は以上となります。


そういうと北は部屋から出て行った。



只事ではないこの雰囲気。みんな静かになり考え込んでいる。しかし、兎にも角にも一度部屋に戻るべきだろう。



僕は静かに立ち上がり部屋を出た


するとみんなそれに続くかのように部屋に戻った。



部屋に戻ると机に置かれていた犯人スケジュール


簡易的な白いA4の用紙に48時間のスケジュールが書かれていた


僕は1日目12〜13時、15〜16時、24〜1時、

2日目無し

3日目11〜12時


犯人の回数は4回。


この時間と間隔をみるにスケジュールに何か規則などは無さそうだ、、、


普通に考えて48時間で一時間毎の犯人役を10人で回す。つまり単純計算では1人4〜5回は犯人役をする、、、全て逃げ切れば僕の場合は4回犯人だから4億の賞金。


全て憶測の話だが、、、


僕は4回だがひょっとしたら僕以外の誰かは10回など犯人役をしているかもしれないし、連続での犯人役、実質一時間以上の犯人役はあったりするのか?など、やはり他の人のスケジュールを見ない限り確証は得られないこと、わからない事は多い。


そして今この部屋に鍵がないことが何よりも問題だ、、、

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