勇者と魔王と聖女と王女
初投稿です!…ずっと読み手専門の筈だったのに…駄作ですが、短いので、最後まで苦しくても最後まで読んでいただけると幸いです。
ここは城の中心部。いわゆる謁見の間、と言うのが正しいのだろうか?
外からの光は一切差し込まず、薄暗い場所。
ー窓がないのか?
否、窓はある。それこそ立派なステンドグラスが。この大きさは世界中の城や教会にあるステンドグラスと比べても一線を画しているほか、その美しさも世界有数のものであると聞いていた。
しかし本来まばゆいほどの光に包まれ、その美しさと、その城を持つものの力の偉大さを知らしめるステンドグラスは無残にも床の上に散らばっていた。
その見るも無残なステンドグラスを眺めて勇者は聖剣を強く握りしめる。
ー帝国も、落ちぶれたものだな。盛者必衰とはこのことか。
勇者は一人、そんな考えをしていた。
帝国。エガンス大帝国のことである。
三大国家の内の一国であり、その中でも随一の領土を持ち、高い軍事力を誇っていた国。存在していた国の中で一番の歴史を持ち、初代からなんと64代まで繁栄。
頂点に立つものはまさに皇帝。類稀な指揮官能力を持ち、戦争の際には自ら戦地に赴きその能力を遺憾なく発揮するという。
また、最近は一気に黒い噂が絶えなくなっていた。
曰く
国民は皆マインドコントロールにかけられていて死すら恐れない傀儡と化している
帝国に入った商人は国から出てくると帝国のスパイとなる。
各国の有力貴族にも帝国の息がかかったものが数多くいる
そんな他国から歴史上最強であり最凶と呼ばれる帝国は僅か3日で崩壊した。
そのためにこの勇者は呼ばれてきたのだ。
転移術で一気に移動したため、崩壊の連絡から僅か30分といったところだろうか。
結構急いだんだが…そう思いながら勇者は
王座の方向に顔を向ける。
かすかに見えるのは堂々と王座に座り、足を組んでいる者の影と、その横で縄で縛られ、静かに震えているている者の影。
勇者は一つ大きな深呼吸をしてから一つの呪文を唱えた。
「あたりを照らせ、まばゆい光、Light!」
その声を応じて明るくなる部屋に声が木霊する。
「魔王!!!!!
やり過ぎるなと、言っただろうが!このクソ王女がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
心からの勇者の叫び。全力である。
「ちょっと、耳痛いんだけど。」
心からの叫びを見事にスルーしたのは魔王(王女)である。
「((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル」
勇者の呪文によって照らされている謁見の間には非常に怒っている勇者と堂々と座る魔王(王女)となぜか縛られている聖女がいた。
「なーにーがーー、耳痛いだ!!お前はもっと先に言うべきことがあるだろうが!」
怒りに任せて床に思いっきり聖剣をぶっ立てる。……大理石が一部欠け、破片が辺りに散らばった。
「ふむ……38分ね、案外時間かかったんじゃないかしら?」
「((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル」
「そうじゃない!!!!あと38分で国移動はめっちゃ早いわ!」
「…じゃ、どう?いい感じに見えた?」
「((((;゜Д゜))))ガクガク ブルブル」
「何がだよ!……後何震えてるんです?聖女様」
「なにがって「ちょっと驚いてしまって…えと、縄を解いていただけると…」…」
初めて聖女が喋る。ただ吃驚していただけのようだ。
「…なにがって「全く、聖女様にも困ったものです。こんなクソ王女と一緒に二人で帝国潰しに行かなくてもいいのに」……」
ただ、聖女の話はあまり聞いてくれてないらしい。
「……なにがって「いや、勝手に連れてこられただけ何ですが…」………」
「………なにがって「はぁ…。まぁ、それは置いといて、なんで聖女様縛「話を!聞きなさ「うるさい。縛られてるんですか?」」」…………グスン…」
「いや、置いとかないでくださいね。いや、王女様に帝国行くから付いて来いと言われていきなり縄で縛られて…って王女様⁉︎いきなり泣き出して!大丈夫ですか⁉︎」
はっきり言って聖女も天然である。
「クソ王女、誰に泣かされたんだ?」
「あんた達よ!!!!…シクシク…」
「ええ⁉︎…大丈「そうか、まあ、そんなことはどうでも良い。」夫…」
「ちょっとは心配するという気持ちが、あなたたちにはないの⁉︎」
「いや、心「ないな。」配し…」
「…シクシク…」
……勇者の呪文によって照らされている謁見の間には平然と佇む勇者と王座に座って静かになく王女と未だ床の上で縛たままでオロオロしている聖女がいた。
ーーーカオスである。
「何よ!そんなに怒って!
そんなに帝国を2人で潰しに行ったのが気に食わなかったわけ⁉︎それは勇者の仕事だって?別にいいじゃない‼︎私だってストレス発散したいのよー!!!!」
「…いや、ちがうと思いますよ、王女様。たぶん勇者様は王女の身を」
「そうだよ!!!!お前が俺がやるべき勇者らしい仕事を全部分取ってくからな!なんて呼ばれてるかクソ王女は知ってるか?"モノホンの勇者(笑)"って言われてるんだよ‼︎」
「思って…」
「しかもお前が魔族の王を魔法で倒して魔王の名を貰っちまうじゃねぇか!あれは絶対に俺がやらなきゃ世間帯的にまずかったのによ!!!!」
「いる……とだと、思ったのですが…」
「知らないわよ!!!いいじゃない!だって実際に噂通り帝国の民はもう戻れないぐらいマインドコントロールが深くなってたし、実際に皇帝は下衆かったのよ!あんたじゃ遅くて好機を逃しちゃうし。しかも魔王の件はあんた負けたでしょーが!!!勇者の癖に!」
「あれは負けたっていわねぇんだよ!一時的に戦略的撤退をしたってだけだ!」
「だから!………!!!!」
「なにを!………!!!!」
「どうでもよいか「「よくない!!!!」」……とりあえずこの縄、誰か外して下さ〜〜〜い!!!!」
勇者の呪文によって照らされている謁見の間には言い争いをしている勇者と王女、床で助けを求めている聖女がいた。
この3人が後に「英雄」「英知の女王」「聖母」と呼ばれることは誰も知らない。
いや、知りたくもないだろう。
2人の喧騒と1人の懇願の声は赤黒い雲が覆っている夜の外へと、ステンドグラスの割れた場所から漏れていき、夜の静けさに呑まれていく……聖女の呼びかけに応えたものはそこらで飛んでいたフクロウのみであった。
「誰か助けて〜〜〜(ーー;)」
聖女様、不憫すぎる…個人的には好きなキャラです。なんでも良いので感想をくれると作者泣いて喜びます!
…ちょっと!マーク多すぎたかな。あと改行…。