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悲しみからの不審者

ストックのやつです。初めてストックなるものを書いたので後一話分しかありません。誰か助けてください。


音羽ちゃんだけが作者の癒しです。子供は可愛いです。天使です。

 






まるでテレビのチャンネルを変えたみたいに森からフローリングの部屋へと移動した。父さんは私を抱えたまま、書類の山が二つ三つ程ある机に歩いて行く。淡く光っている10cmくらいの石を手に持って、二人掛けのソファに座った。

光る石なんて初めて見たから父さんの手に持っている石をじーっと見てしまった。見すぎたのか父さんが説明してくれた。



「ああ、これは念石だ。これに魔力を込めると対になっている念石が反応して、遠くにいても会話が出来る。だが、学園や城なんかの重要な所は、妨害結界が張られているから専用の物でしか使えなくなっている。勿論ギルドも張ってるぞ」


「へぇ」



電話かな?妨害結界も念石から出ている電波みたいな物を防ぐって考えると納得出来る。と言うか詳細探査で調べれば聞かなくても良かったんじゃ……まぁ次から気をつければいいか。


父さんが魔力を込めると念石からノートくらいの大きさの半透明なウィンドウが現れた。そのウィンドウに後ろで団子にしてキチッとした青髪緑眼の女性が映し出された。



「はい、こちら受付です」


「すまないが、用事が出来たので帰る」


「はい、承知しました。では」



受付の女性が一礼するとウィンドウは石に吸い込まれるように消えた。父さんはその念石をソファの向かいにある長机に置くと、私に声をかけた。



「さて、これから俺の家に行くぞ」


「……仕事は?」



私が机の上にある書類を指差すと父さんは微笑んで大丈夫だ、と言った。何故かと言うとあれは処理済みらしい。どうやら、私の父さんは有能みたいだ。



「じゃあ、行くか」


「うん」



私が頷いたのを見て父さんは転移した。勿論、私を抱き上げて。……いつになったら地面に足がつくんだ?別に楽だからいいけど。めんどくさいのは嫌いなんだ。





「ここがこれからオトハが住む家だ」



父さんの声に前を向くと、壁は漆喰の白、屋根はテラコッタの屋根の二階建ての家だった。周りを見てもそんな感じの建物ばかりで、全体的にいつかどこかで見たような気がするヨーロッパの古い田舎町って雰囲気だ。ここは大通りから離れているのか人通りは少ない。



父さんはドアの前に立つとそのままドアノブを握った。少し魔力がドアノブに移るのを感じ取っていると、ガチャとドアが開いた。


中は黒に灰色と暗い色の配色で、落ち着いた感じになっている。一階のリビングにあるソファに座らされた。



「ちょっと待ってろ。今、ミルクを入れてくるから」


「……うん」



ミルクよりもココア欲しい。ココアあるかな、ココア。前世の私は「ココア狂い」なんて言われてた程、ココア大好きだったんだけど……ないのかな?世界が違うから当たり前だよね、うん。………………この世界で生きていけるかな。



「オトハ、どうしたんだ?」


「……ココア」


「ん?ココアがいいのか、解った。今入れてくる」


「ほんとう?」


「っ……ああ」



ココアがある!これで生きていける!!

嬉しすぎて緩む頬を抑えきれない。凄くだらしない顔を晒しているのは解ってるけど、やめられない。それぐらい私にとってココアが大切なのだ。


父さんがココアを持ってくるまで暇だなぁ……と思っていると黒いローブを纏った不審者が転移してきた。びっくりしすぎてつい(・・)、火縄(勝手に名前つけた。だって魔法名は大事だから)で縛ってしまった。


火縄はその名の通り火で出来たロープで、それが不審者を捕縛した。勿論火の温度は自由自在、今は48℃くらいの温度だ。



「なっ!?熱っ」


「不審者……捕縛完了」



キラッとピースした手を右目に当ててポーズを決めていると、父さんが二つのコップを持ってキッチンから戻ってきた。


火縄で縛られている不審者とキャラではない行動をしている私……傍から見るとカオスだよね。父さんはどんな反応をするんだろう?



「…………」



無言で私の頭を撫でてくれた。とりあえずスルーする事に決めたようだ。……思った反応じゃないけどいいか。早くココア飲もう。



「ゴクゴク……」


「美味しいか?」



お子様に合わしてのココアなのか甘味が強いけど、これもこれでなかなかいい。無言で頷くとまた頭を撫でられた。私の頭はそんなに撫でやすいのかな?



「……はっ!って無視すんなぁぁぁぁ!!」



五月蝿い、黙れ。私の至福の時を邪魔するな、不審者!



「俺の至福の時を邪魔するな!」



以心伝心だね。でも父さんは何が幸せなんだ?もしかして父さんも珈琲が大好きなの?渋いねぇ……私は珈琲飲んだら酔ったみたいに気分が悪くなるから嫌いなんだけどさ。



「いやいや、その子供はなんだよ!それに膝に乗せてイチャイチャすんな!!」



あ、私の現在地って父さんの膝の上なんだよね。まだ半日も経ってないけど慣れちゃって違和感なかったよ。……別にいいか。今は子供なんだし、降りるのもめんどくさい。


不審者が五月蝿かったので火縄を操って口を塞ぐ。私は優しいから口元の火だけ常温にしてあげた。



「っ!む~~!!」


「騒ぐなら……」



ニコッと作り笑いを不審者に向けると、ビクンと震えた。それから私がココアを飲み終わるまで実に静かな空間が出来上がっていた。







「……ふぅ、これ何?」


「ああ、彼は漆黒の暗殺者だ。さすがオトハだな。こんなにも簡単に帝を無効化できるとは」



漆黒の暗殺者って厨二病?……ここは異世界だから厨二病的ネーミングセンスも当たり前なんだろうね。でも漆黒の暗殺者なんて、ありきたりな名前だね。



「で?」



私が不審者に向かって聞いても、返事が帰ってこない。折角優しく聞いてあげてるのに無視?礼儀がなってないんじゃないの。



「な、なぁオトハ、とりあえず口を塞いでる縄を外さないと喋れないぞ」


「…………あ、」



うっかりしてた。火縄の事、完璧に忘れてた。維持する為に流していた魔力をとめて、不審者を自由にする。じりじりと後退していく不審者につい(・・)、火縄で体を縛ってしまった。でも口は開けるから大丈夫、大丈夫。



「な、なんで!?」


「逃亡、面倒。これでも喋れる」


「……それで?漆黒がここに何のようだ?」


「無視!?なぁ、無視なのか!!」


「五月蝿い、話せ」



静かにできないのか?学習能力がないね。さっきもあれ程注意したのに。



「は、はい!!マスターに用事があって来ました。例の件の予定日が決まりました。五日後です」



例の件って?テンプレなら奴隷オークションを叩き潰せすとか色々あるけど、めんどくさそうな臭いがプンプンする。



「漆黒が敬語で初めてみたぞ。王様にも普段通りだったのに……敬語話せたんだな」



敬語使えないのは社会人としてどうかと思うよ。しかも王様ねぇ……貴族とかもいるのかな?とりあえず、関わり合いたくない。めんどくさそうな事が舞い込んできそうだから。



「その子供の事は何も聞きません!!帰ります!!」


「まぁ、ちょっと待てよ」


「帰らせろ~~~っ!!」



転移しようとしたのを私を膝から下ろした父さんが止めて、何やら耳元で私に聞こえないように話出した。……頑張れば聞こえるんだけどね。ここは父さんの意思を汲み取ってやめとこう。




暫くすると話し終えたのか不審者は転移していなくなった。父さんは私をまたまた抱き上げると、どこかへと足を進めた。



「父さん?」


「風呂に入るぞ。髪を綺麗にしないとな」


「うん」



湖で水浴びしたと言っても、ゴワゴワしてて気持ち悪かったからありがたい。服はこのボロ雑巾をまた着るんだろうけど、それでも嬉しい。







作者の小説の主人公が幼女なのは無意識です。大丈夫すぐに成長します。ええ、成長しますとも(´;ω;`)

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