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出会いからの悲しみ

おまけは作者が神に音羽ちゃんが生きやすいように付けろと命令を下しました(´∀`*)

さて、音羽ちゃんはどこまで強くなるのでしょうか……。というか敵はいるのでしょうか……謎です。





「……っ!?」



急に悪寒がするのを感じた。集中して辺りを検索すると、森から気配が溢れ出していた。


何?気持ち悪い気配だから近寄りたくはないけど、何故だか行かなければいかない気がした。





ギルマス改め父さんを強引に連れて森に入る。少し開けている場所で足を止める。詳しく知りたいんだけど、詳細探査はある程度近いか、視認出来ないと無理らしい。



「オトハ、ここに何があると言うんだ?」


「……来る」



木々の向こうからどす黒い色に覆われた西洋のドラゴン(四足歩行型)が見えた。視認したので詳細探査をかける。



詳細探査結果:恩寵竜(?)

世界の負の感情を吸収して浄化する存在のドラゴン。自身の容量以上の負を吸収すれば狂って死に至るまで破壊活動を続ける。



もしかして、あれは狂っている状態?……いや、違う。恩寵竜の身体から、変なモヤモヤの糸が手足や首元に巻き付いている。



「魔落ちか!?」



魔落ち、恩寵竜のように神聖なものが狂ったように暴れる状態をいう。


……もしかして常識情報も入れてくれてるのかな?神様のアフターケアーが凄い。けど聞くか見るかしないと解らないみたいだ。



「違う」


「は?」


「これ、作為的」



そう強制的に狂わされている。作為的な感じがする。父さんは私に一瞬目を向けた後、恩寵竜に剣を向けた。



「オトハ、あの湖の所まで走れ!!」


「……」



父さんの声を無視して私は恩寵竜に走った。どうしてそうしたのか解らない。父さんの言った通りにここから逃げた方が良かったんだろう。理性と感情が噛み合わない。心がついていかない。



それでも私はどうしても恩寵竜を助けたかった。響き渡る咆哮が泣き声のような気がして、とても悲しいかった。

誰にも何も感じなかった私の心が急速に変わっていくのが解る。初めての事で制御出来ない。これが普通の人間が感じる感情なのかな。



こういう時は、あれだ。心のままに。考える事を放置しよう。私にとっては初めての事、なら考えてもしょうがない。前例がないんだから。



走っている途中に何かが割れるような感触がした。……これが魔力というものかな?それと同時に魔力の使い方の知識が頭に入ってくる。


まぁ魔法はイメージとノリと勢いって小説で言ってたし



恩寵竜を蝕んでいる糸を切り裂く刀。私がイメージを固めると、手元に光が集まり、それが形を成し、あっという間に完成した。


白銀の柄、向こう側が見える透明な刃で造られている刀。握り締めた感触も私に馴染んでいるように思えた。因みに初めて刀というか武器を握りました。別に家が剣道場なんて設定はない。




「オトハ危ない!!」



上から恩寵竜がその右腕を振り下ろしてくるのを避けて、手首についていた糸を切り裂く。下を通って両足の糸を、尻尾から身体に登ってその首元の糸を、そして最後に左手首の糸を、恩寵竜を狂わせているモノを全て切り裂いた。


恩寵竜が私に攻撃した回数は最初の一回。その後は微かに自我が残っていたのか暴れる身体を抑えていた。まぁ完全には抑えきれずに周りの樹木が犠牲になったけど。瞳に理性が戻ったのが解る。



……まぁ、二つ程ツッコミたい事あるよね。

一つ目、この身体の身体能力どうなってるんだ?私はキングオブ運動音痴だったのに、あんなに早く動けるなんて……。

二つ目、剣道なんて習ってないのにどうして刀の使い方が何故解ったんだ?もしかしてそれもおまけとか……。



奮発しすぎだよ、神様。どう見てもおまけがおまけじゃない。少し神様の大振る舞いに呆れながら父さんの元に戻った。






「この馬鹿っ!!」


「痛っ……」



頭に拳骨を落とされた。私が叩かれたはずなのに父さんの方が痛そうな顔をしている。……なんで?どうしてそんな泣きそうな顔をしてるんだ?解らない。



「……凄く心配したぞ」


「何故?」



父と言ってもさっき会ったばかりだよ?心配っていうのは大切な人にいうものじゃないの?どうして私を心配したの?


父さんは私の言葉に呆れた顔をしてからギュッと抱きしめた。そしてつむじから毛先に向かってゴワゴワだろう髪を手で梳いてきた。



「はぁ……一緒にいた時間なんて関係ない。オトハは俺の子だ。心配するに決まってるだろう?」


「……やっぱり、変な人」



父さんの言葉に胸がぽかぽかしてきた。なんでか解らないけど泣きそうになる。……暖かい。



これまでの事で世界との相性で感情がここまで違うものなのかって少し怖くなった。だけど恐怖心を上回る何かがあって身を任せようと思った。心のままに。










〈人の子よ……〉


「……誰?」


「オトハ?」



どれくらい泣いていただろう。やっと涙が止まった頃に、透き通る声が聞こえた。いや、聞こえたというのは語弊があるかもしれない。頭に直接響いている声に私は俯いていた顔を上げた。


安心出来る父さんの腕から離れて、私と父さん以外の存在に目を向ける。そこには太陽の光を吸収したかのように光る鱗を身に纏った恩寵竜がいた。金色に輝く瞳が私に向けられていた。





〈人の子よ、礼を言う〉



恩寵竜って喋るんだ……ファンタジー。



「……感謝、要らない」



だって私が勝手にやっただけなんだから。全体的にドス黒だったけど白色の鱗に金眼の色合いしてたんだ。キラキラしてて綺麗。



「誰と話してるんだ?」


「恩寵竜」



父さんは聞こえないの?目の前にいるのに。その受け答えを聞いていたのか恩寵竜は言った。



〈我の声を聞こえるのは僅かだ〉


「へぇ」



もしかしてこれも神様が言っていたおまけかもしれない。もしそうなら通訳機能って事だから、便利だね。



「恩寵竜が話す?確かにそんな伝説はあった気がするが……」



父さんが何かを呟きながら考え込んでしまった。私は恩寵竜の近くに近寄った。


こうしてじっくり見上げると恩寵竜の大きさが解る。三階建ての建物くらいの大きさだ。そんな所から私が見えるのか疑問だ。凄く目がいいんだろうな。私なら顔すら判別出来ないよ。



「礼、要らない。早く、帰る」


〈うむ、勿論そうするがこれを受け取ってくれ〉



恩寵竜は飛んでいこうとしたのを留まり、少し考えた後おもむろに自分の身体の鱗を一つ咥えて剥がした。



「なっ、!」


〈案ずるな、人の子よ。人間にとって垢を落とすような程度だ〉



え?鱗って垢レベル?プチ衝撃事実に唖然としていると恩寵竜が剥ぎたての鱗を差し出した。



「……ありがとう」



手のひらより一回り大きい鱗を見て困惑する。これを貰ってどうしたらいいんだ?飾りとして使えって?



〈それの用途は解るか?〉


「用途?」


〈その鱗があれば、いつでも我と会話でき、人の子の位置を把握出来る。何かあれば鱗に魔力を流せ〉



つまりGPS機能搭載の通信機って事?垢レベルの鱗にそんな機能付けるなよ……。

ジッパーを下げるイメージで魔力を込めながら手を移動させて、その中に鱗を入れる。なくさないように仕舞っとかないと。



「私は、オトハ。オトハって」


〈ならば我もグレイスと呼ぶがいい、オトハ〉


「解った、グレイス。また」


〈うむ、ではな〉



グレイスは私に別れをいうと今度こそ飛び立って行った。姿が見えなくなるまで見送る。



「オトハ」


「父さん」



父さんが現実に帰って来たのか私に声をかけてきた。私は父さんの元に走っていくと頭を撫でてくれた。なんだかほんわかして力が抜けてしまう。



「……っ!」


「父さん?」


「い、いや、何でもない。これからギルドに帰るが恩寵竜の事は秘密だ。会話したなんて喋ってはいけないぞ?」


「うん、解った」



恩寵竜と話せる事が周りに知られれば何かしら危険があるという事かもしれない。私はこの世界に詳しくないからなんとも言えないけど、父さんがそう言うならそうなんだろう。


差し伸べられた手を自ら握る。上を見ると父さんが私を笑顔で見ていた。そのまま抱き上げられ、私らは転移した。







やっと森から脱出です。これからギルマス(ロリコン)と暮らすにあたって、襲われないか不安です……。まぁギルマスがペドになるのか紳士になるのかは全て作者の匙加減ですけど。もしペドになるようでしたらお払い箱ですね☆

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