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始まりからの出会い

作者も美形に産まれたかったっ!!(切実な願い)

ただし、上の下ぐらいでお願いします。

上の上なんてめんどくさい事しか起こらなそう……(とても素敵な偏見w)



あと、一人称変えました♪


さわさわと風が私の頬を擽る。いい風だな、と思った所で急速に周囲の情報が入ってくる。


ひんやりとした地面、背を預けている樹木の荒い木肌、足元は水に浸かっているのか濡れた感触。緑と水の匂い。太陽が出ているのか瞼の裏にチラチラとぼんやりとした明かりが……瞼の、裏?

そこでようやく私は自分が目を閉じている事に気がついた。



目を開けると眩しさに軽く涙が滲む。痛みをもたらすまでに暴力的な光は目が慣れるにつれて徐々に落ち着いていった。無意識にしかめていた顔を元に戻すと目の前には豊かな水をたたえる湖が広がっている。少しばかり広がる草原とその奥に広がる森、らしき木々。ざらりと手が触れているのは砂利だろうか?




「は?」



ここは何処だ!?私の記憶が正しければ死んだはずだ。死んで、神様と話して、眠って、魂を真っ新にすると思ったんだけど……何で記憶があるんだ?

いや、百歩譲って記憶があるものはどうしようもない。けどなんで知らない場所に放置?



「……ん?」



今、気づいたんだけど声が高い。それに手が小さい、と言うか全体的に小さい。子供の身体?




ゆっくりと息を吸って、ゆっくりと息を吐く。頭の中をカラにしたい時はこれが一番だ。そしてそのまま慎重に立ち上がる。つもりだったんだけど、バランスを崩して転んだ。


泣きそうだ。何というか、身体の感覚がおかしい。手を伸ばしても思ったより近くしか手が届かないし、立ち上がろうとしたらなんか重心を取りにくい。

子供という事は前世の私より背が低いんだろう。そのせいで腕や足も短くて感覚感がつかめない。


仕方がないので四つん這いのような格好に姿勢を変えた。幸い人の声もしないから羞恥心は少しで済んでいる。もし人がいたら……死にたい。




そうして湖を覗き込んで自分の姿の確認をする事にした。水辺に正座をするような形で座る。殆ど水の中に座り込む形だがそのほうが落ち着く。それに今来ている服はなんだかボロ切れみたいな物で濡れても大丈夫だろう。



髪を顔から退かせて暫くじっとしていると波紋が収まり水面が静かになる。覗き込んでいる見知らぬ幼い子供の顔が映し出された。



美少女だった。中性的で男にも女にも見える。可愛いじゃなくて綺麗な感じだ。

左右対称ここに極まれり、と言いたくなるし、そのパーツだって凄く綺麗だ。黄金比って言うのかな?やろうと思えばモデルとして生きていけそうだ。子供らしい丸みを帯びた輪郭なのに人目を惹く美貌……将来が恐ろしい。



恐る恐る手で顔に触れると、水面に映った幼女も同じ行動をとる。とても綺麗な顔をしている。ほくろ一つない白い肌、白銀の腰下まである髪と宝石をはめ込んだような同色の瞳。まるで作り物めいた美しさだと言うのに、何故だか冷たさは全くなかった。


不思議そうな顔をして、恐る恐る手の位置を確認しながら自分の顔に触れる幼女。




これが、今世の私か。神様が波動と相性が良かったらオプションがつくと言っていたけどそれかな?それにしても前世の私の面影が一つもない。同じ魂でもここまで違うモノなんだな。

でもなんだか身体が軽い感じがする。今なら持久走も完走できそう!





現実逃避という名の時間稼ぎをした所で現状は変わらない。大人しくこれからどうするか考えるか。



とりあえず候補を一個ずつ上げていく。



森で暮らす?


無理だろうな。だってサバイバルなんてした事ないし、周りにあるもの全て見た事がない植物ばっかりでどれが食べれるのか解らない。それにこの世界がどんな世界かは解らないけど、野生動物はいるだろう。


詰まる所、私は丸腰の餌という事だ。こんな所で生き残れる訳がない。




人がいる所に行く?


それも無理かな?どう見てもボロボロの私。髪は洗っていないのかゴワゴワだし、服はどう考えてもボロ雑巾、身体のあちこちには謎の痣が無数にあるし。虐待されてたとしか思えない。

何で記憶がないのかも多分だけど、それが原因なような気がする。


それに人に会いに行くという事は街に行かなければならないという事で、何か身分を証明する物が必要なんじゃないかって思う。それがない可能性もあるけどね。





なら、どうするか……。


ひとまず身体洗おう。汚すぎる。

ボロ雑巾を脱いでじゃぶじゃぶと湖で洗う。綺麗な水を汚すのは心苦しいけど、仕方がない。



しばらくして、灰色になったボロ雑巾を絞ってよたよたと歩きながらさっきまでもたれかけていた樹木にかけた。そして裸のまま湖に入る。幸いにして季節は晩春から初夏、全裸でも寒くない。



手で身体を擦ると垢が出てくる。それを流しながら一度頭まで浸かって髪を濡らす。絡まないように気をつけながら優しく揉む。


身体を洗いながら自分の身体の感覚を掴んでいく。急に襲われた時に走れなかったら死へ一直線だから。




「ふぅ……」



湖から出て生乾きのボロ雑巾を着る。だってこれしか着るものがないから。気持ち悪いとか関係ない。そんな贅沢な事言えない。

というか寝床以外どうでもいい。寝心地が悪かったら全裸で寝るのも構わない。




さて……これからどうしようか?


いや、私も解ってたよ?ただの現実逃避だって。でも身体を洗わないとダメだし、感覚だって掴まないといけない。


はぁ、なんだか疲れた。食べ物を探さないといけないのにな。一日ぐらい飯抜きでも生きていける。そう考えた時、誰かの気配を感じた。


え?何これ……。200m先に?何でこんな事が解るんだ?



……神様だ。これがおまけ?探知・探索能力ってやつかな?しかも自動。神様ってば太っ腹。

これがあれば食べれる物が解るかも知れないけど……。




ってなんでこっちに来るんだ?



詳しく探査した結果、人だった。人なら保護してもらいたいんだけど……。その人が悪い奴だった場合、私は売られるだろうな。容姿がいいし、女だし。

でも隠れるか否かなんてもう決まってる。私には一つしか選択肢がない。このままここにいても野性の肉食獣に喰われて死ぬんだから賭けてみるしかない。……まぁ抵抗はするけど。






覚悟を決めながら待っているとようやく姿を現した。野性的な雰囲気を醸し出す男性だった。肩辺りまでの銀髪に白が強い灰色の瞳。文句なしに渋いイケメンだと言える。



「……っ子供?」



想像してた通りの低い声が私の耳に入る。こいつは私にとって敵か味方か、どっちだろう。

逃げ切れる自身はないけど、逃げ道を確保しておく。もしもの時には覚悟しとかないといけないな。舌を噛み切るって痛いのかな?ってかちゃんと死ねるのか?



「大丈夫だ。俺は敵じゃない」



人は心に思ってない事も平気で言える。表面では笑っていても心は負の感情で溢れている時もある。……まぁ全部小説で学んだ事だから正しいかどうかなんて知らないけどさ。感情とか学ぶのに小説は大いに役に立った。私の先生だ。



「ああ、自己紹介がまだだったな。俺はテール・アウジード。『野良の集まり』のギルドマスターをやっている」



『野良の集まり』?ギルドって事はファンタジーな世界なのか?


……あ、今気づいたけど、こいつの服装が科学が発展している世界の人達が着ているようなものじゃない。


素材は天然系で作られているズボン、シャツ、ブーツと違和感しかないマント。どれもとてもしっかりしているように見えるんだけど、完璧に大量生産物ではない。全部手縫いだ。


そして、腰にぶら下がっているのはおそらく剣。詰まる所、ここら辺は危険な所。もしかしたら次会うのは小説でよく出る魔物なんてものかもしれない。



「音羽」


「オトハか……。こんな所に一人か?親は何処だ?」


「知らない」



だって私が気づいた時にはここにいたんだから。親の顔なんて知らない。ここが何処なのかも知らない。それにしても話しにくい。口がちゃんと動かないから喋りにくい。


ギルマス(ギルドマスターの略)の顔が歪んでいく。事実を言っただけなのにどうしてそんな苦しそうな顔をしてるの?なんか変な事言ったかな?



「ちょっとごめんな」


「っ!?」



ギルマスが急に私に近づいて来て身体をペタペタと触ってくる。ボロ雑巾に隠された痣や傷を見る度にギルマスの眉間に皺が増えていく。


やっと気が済んだのか私から離れてまた謝られた。因みに見られたのは手足だけだから。ちゃんとボロ雑巾を捲られそうになった時に死守したから。



「なぁ、オトハ。お前、行くとこあるか?」


「……ない」


「なら俺について来ないか?俺の子供になってくれ」


「……変な奴……」



私を引き取ろうなんておかしいんじゃない?だってギルマスに愛想よく笑ったりしてないし、表情も変えてない。ずっと警戒している子供を養子にしようなんて……本当に変な奴。

でも、嫌じゃないんだ。なんでか解らないけど。多分ギルマスの雰囲気がそうしてるんだと思う。だから私は悪くない!それにこれを逃せば死。私に拒否権はない。



「で、どうだ?嫌か?」


「……嫌、じゃない」



思わず声が小さくなってしまった。けどギルマスは聞こえたみたいで目を細めながら笑った。優しい瞳になんだか気恥ずかしい気持ちになった。つい、顔をそらした私は悪くないと思う。








ギルマス(保護者)ゲットだぜ♪

テンプレだね、テンプレ。ただし音羽ちゃんがテンプレ通りに動くかは謎。作者にも謎。音羽ちゃんにも謎。


……ぶっちゃけて言うと作者の気分次第だよねww

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