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深夜一時。私はなかなか寝る気になれず、暗い部屋でsteamを立ち上げた。

まだ学生等いう事もあり、大半が無料のゲームの中に安いゲームがまばらに広がっている場所だった。


その中で寝付くまでにどれを使おうか悩んでいる。

そんな中で、頭の縁にパッとある音ゲーを思い出した。

発売からそこそこ時間がたっているものの、丁寧なストーリーが美しいゲームだ。


残念ながら、大手が先行するものと比べてしまったら知名度は低いと言わざるを得ない。

けど、それよりも、人の何かに問いかけてくるような......そんなゲームだ。


私は、それを静かに立ち上げた。

そこには、前に遊んだ時と同じ画面で始まった。


そうして、少しだけやりこんだ曲を遊びながら、ただ時間だけを溶かしていった。

その中で、私は、ストーリーを途中で投げ出していたことに気付いた。

原因は、私に英語を読む力がなかったからである。


日本語対応はされているものの、ところどころ英語のままのところが見られたからだ。

だがしかし、今は前より英語力が上がっている!

そのため、すらすらと……まではいかないが書いてある内容を読むことに成功した。


このゲームはステージを進めるために特殊な条件を達成してからではないと、ストーリーを進ませれないのだ。


そうして、条件開放に挑んだ......

挑戦から約2分ほど。一発クリアで終えてしまった。

これは、私がゲームの天才だから、ではなく。単に英語が無理なだけでストーリーの進行自体はかなり簡単だからだ。


そうして、曲をクリアした直後、自動的に物語の幕が上がる。

勝手に文章が進まないよう、一つ一つ、自分のクリックで進める。


そのたびに、前に進めていたところの記憶を引き戻していく。

そうそう、こんな感じだったと。


静かな部屋にクリック音が広がっていく。


残していた部分は物語の最後の方。当然クライマックスだ。

進めるにつれ、心は次第に揺れていく。


(なるほど、ここはこういう事だったのか)

(このままで大丈夫かな……)


そう言って、最後の方には心が泣きたくなってきた。

それなのに、私の顔はひどく冷静で。

涙の一滴も落ちなかった。


(あぁ、やっぱりか、私は口を覆いたくなるほど悲しいのに......)


実際、口を手で覆った。

それは、主人公たちを心配に思い、同時に理不尽な事象に......


いや、これは「悲しい」ではないのかもしれない。ただ、憐れんでいるだけかも......

そんな考えを思いつく脳と、ちゃんと悲しめない脳を恨んだ。


実際は、悲しいは悲しい。

だけど、涙腺だけはサハラ砂漠のど真ん中みたいに水源の一つも見当たらない。

実際の砂漠と違い、オアシスの欠片もないのだから本物よりもひどいかもしれない。

どんなに心が荒れても、この目元が悲しさや感動で緩むことは一度もなかった。


これは、私が知らないだけで、私のような人もいるのだろう。

実際、このようには80億人もの人間が暮らしている。こんなにも人がいて、私みたいな人が一人だけなわけがない。


だけど、そんなことはどうでもいい。

もしいたとしても、漫画のように道の角でぶつかり合うことなど私には起きないだろうから。


(私にも人並み。それ以下でも構わない。悲しくて涙することができたら)


こうなると、いつも同じことを考える。

どうしてこのような性格になってしまったのだろうか?


小さいころ、親に怒られて泣いたことはある。もちろん涙も出た。

だけど、それは、私にとって原因不明のものだった。

今でもそうだ。

深く考えず、ストレスがグラスからあふれたからその分を涙で建て替え、この体の心を壊さないようにしてる。その程度の考えでいいだろう。


だけど、それは悲しさ。もっとも、人を思っての涙ではなかっただろう。

おそらく、自分自身を守るため......


そんなだから、卒業式になく人を理解できなかったのだろう。

私が経験したのは二回。どちらも泣くことなどなかった。

なんせ、「どうせまた会えるし、今の時代スマホなんてものもある。ゾンビパニックが起きて世界のネットがなくならない限りいつでも会えるだろう。」そう考えていた。

特に私の場合は、友達と呼べるものが皆無だったため、感慨が起きるはずもなかった。


なんか思考がそれたな。

まあ、それゆえ、私は人を思って泣ける人を……たまに羨んだ。


物語では、みなキラキラしていて、その中に入りたい。

そう思ったことは100や200では無いだろう。1000……もしかしたらそれ以上かもしれない。


だけど、そんな奇跡は起こらない。

そもそも、奇跡は頑張った人に来るのであって、女神の後ろ髪をつかもうともしていない私に来るような物ではなかった。


なら、死んではどうだろう。そう頭の片隅をかすめた。

物語の奇跡はいろいろあるが、私の知る物の多くは命を失っていた。

理由は多く、「病死」「過労死」「転落死」「溺死」「他殺」......有名なものだと子供を助けてトラックに引かれるというやつだ。


だけど、そんな奇跡が起こるはずもない。

それに、たとえ助かってもほかの人を巻き込むものを奇跡と呼んでいいのかどうか......


一度考えたことがある。

主人公が死んで、そのあと取り残された人はどうなるのか?


助けられた子供は事の重大さをそのころはわからないかもしれない。

だけど、背が伸びて、ふとそのことを思い出すとしよう。それがその子のトラウマになるかもしれない。


運転していた運転手はどんな理由であれ、人を跳ね殺した。

日本だったらどんな状況でも車側の過失となる。

数年間、裁判所と自宅を行き来することになり、ほぼ確実に有罪になるだろう。


もし、無実になっても、その人が善良な人なら、そのことを一生引きずるだろう。

罪にさいなまれ、食事の回数も減っていき、次第に衰弱していくかもしれない。

職にありつくのも一苦労......いや、一苦労どころじゃない。想像もしえない苦労をし、それでも明日の寝床を作るだけかも。


親はどうなる。若くして子を失った親は、ひどく絶望するだろう。どうしてわが子がこんな目に合わなきゃいけないと。犯人がお金を払ったとしても、クズ親以外は許すことは無いだろう。


友達や親友は?突然学校の隣の席が静かになる。

風邪かと思ったら先生が教室に入ってきて、やっと凶報が耳に入ってくる。

よほど親密な関係でもない限り、葬儀に呼ばれることは少ないだろう。

家族葬だった場合はなおさら知らされないだろう。


教室でなくとも、朝のニュースで知るかもしれない。

その時の感情は私にはわからないが……少なくとも本当の友達なら悲しむはずだ。

朝学校に行くと、友のことで学校中騒ぎ立てている。


一日目はそのクラスだけかもしれない。

だが、学校という狭い社会では情報伝達はかなり早い。

部活を通し、他学年にもそのことを知られる。大半は物珍しさによる一時の大きなゴシップ程度。

話のタネになるだろう。赤の他人からしたらその程度だろう。

そんな光景を見た友達はどう思うだろうか?


そんな妄想力豊かな脳が裏のストーリーを作り上げる。

まして、死の苦痛は計り知れない。

死ぬ瞬間は気持ちがいいというが、それはあくまで寿命を全うしたらの話だろう。


少なくとも、週に一回は激しい腹痛に見舞われる私からしたらしんどいだけと思えてしまう。

だからこそ、今も地に足つけて立っているわけだけども。

これらが合わさって、死のうと考えても実行することはなかった。


今の私にできるのは来世に期待することと、今を唯意義に使う事だけだろう。


そう呟いて、自分に生きる意味を勘違いさせることが今の私の仕事だろう。

さすがに親不孝な子供にはなりたくはないから。

随時、思いついたら上げます。まあ、短い短編集と思っていただけたら幸いです。

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