街到着
二人は草原を抜け、遠くに聳える城塞都市へ向かっていた。
高い石壁と旗が風に揺れ、街の喧騒が遠くからも聞こえてくる。
「……すごい。人の声がこんなに賑やかなんて……」
セリアが瞳を輝かせる。
蓮は歩きながら、自分の能力を整理するために意識を集中させた。
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【ステータス確認】
蓮
•職業:転生者(無職)
•レベル:1
•HP:120
•MP:90
•筋力:14
•敏捷:12
•知力:15
•耐久:12
•魅力:10
固有スキル:支配淫術
•発動条件:対象に触れること
•効果:対象の体力・精神を増幅/感覚操作/軽度の意思誘導
•制限:遠距離不可/強制支配不可/持続は数分/MP消費大
•応用:疲労軽減、快感の増幅、交渉を有利にする、戦闘補助
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セリア
•職業:聖女(追放中)
•レベル:5
•HP:100
•MP:180
•筋力:8
•敏捷:10
•知力:16
•耐久:9
•魅力:18
スキル:聖光、結界、祈祷
•支援・回復特化
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蓮は口元に手を当て、小声で独り言をつぶやく。
「……触れないと発動できない。できるのは補助、感覚操作、少しの交渉。できないのは遠距離や完全支配。……なるほどな」
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街に入る前に、蓮はセリアに問いかけた。
「そういえば……セリア。なんであんな森に一人で?」
セリアは一瞬、視線を伏せる。
その表情には影が差していた。
「……私は聖女でした。でも、教会の中で権力争いが起こり……私は追放されたんです。『不浄の力を持つ』と、根拠のない噂を立てられて」
蓮は眉をひそめる。
「追放……?」
「ええ……。本当は私の治癒の力を恐れた人たちが、私を排除しようとしたんです。森で身を隠していたら……追放を命じた者の手先と思しき賊に追われました。蓮様に助けられなければ……今頃は……」
セリアの声が震える。
蓮は少し躊躇したが、そっと彼女の肩に触れた。
「……大丈夫だ。俺が一緒にいる」
その瞬間、支配淫術が僅かに発動し、セリアの心拍数が落ち着いた。
安心と信頼が、彼女の表情に広がる。
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二人は荷運びの仕事をこなし、50ゴルド(5,000円)を得た。
宿屋に入り、部屋は一部屋・ベッド一つしかなかった。
「え、二人で……ですか?」
「そうなりますね。こちらの街では、男女で一部屋というのは珍しくありませんよ」
宿屋のお姉さんが妖艶に微笑み、手を差し出してきた。
蓮は財布から硬貨を取り出し、差し出した瞬間――彼女の指が蓮の手をなぞるように触れた。
支配淫術が自然と発動し、お姉さんの頬が朱に染まる。
「……お客様、随分と……熱い手をされていますね」
蓮は心の中で冷静に計算する。
(……これで30ゴルドまで値切れる。今は深入りせず、交渉だけ……)
宿代は無事30ゴルドに下げられた。
お姉さんは名残惜しそうに視線を送るが、蓮はセリアと共に部屋へと入る。
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狭いベッドを前に、二人は顔を見合わせた。
セリアが小さく呟く。
「蓮様……ありがとうございます。森から救っていただいたことも……それに、これから一緒にいてくださることも」
蓮は頷き、心の中で自分に言い聞かせた。
(……俺は転生前、女性とまともに関わったことなんてなかった。どう接すればいいのかも分からない。けど、こいつを守らなきゃ――)
ランプの灯が揺れ、二人の影を重ね合わせる。
この夜、蓮は初めて自分のスキルをセリアに打ち明け、共に過ごすことを誓った。