2P.コースケとキョーヘイ
コースケ
「やろうか、親父」
「ああ」
ミカゲとトカゲはゲーミングテーブルに着席する。
「私は『富豪』のキョーヘイで行く」
「じゃあ私は『愚者』のコースケで」
愚者 最も頭が悪いとされる地底人
雑魚 最も力が弱いとされる地底人
庶民 最も金がないとされる地底人
賢者 最も頭が良いとされる地底人
猛者 最も力が強いとされる地底人
富豪 最も金があるとされる地底人
地底人は主にこの6クラスで構成される。ミカゲとトカゲは自身の分身となる地底人を、既に作成されていたオリジナル地底人の中から選出した訳だ。
「フィールドは?」
「市街地Aで良いだろ」
「うん」
市街地Aは数あるフィールドの中でも一番ベーシックといえるフィールドだ。特に何かある訳でもなく、特に何かがない訳でもない。
「じゃあこんな感じで。始めるか」
「うん!」
トカゲの言葉にミカゲは応じる。こうして二人のヒュマゲは始まる。
「愚者、コースケ、投資、1億円‼」
【はい、ミカゲ様は愚者のコースケに1億円投資されました】
「は?」
「ふう」
ミカゲは開始早々飽きたのか、スマホでなろう小説を読み始めた。
「いや、お前がやりたいと」
「ああ、うん。まだゲーム降りた訳じゃないよ。ただ戦略的にこうしただけ」
「戦略って」
ミカゲの総資産1億円から1億円が丸々引かれ、彼女の総資産は0円となった。つまり、現状これ以上の投資は出来ない。このゲームは基本『誰にいくら投資をするか』のゲームであり、投資できない状態になったらやることがまるでなくなるのだ。
「愚者のコースケに1億円丸々投資など、ゲームを降りたも同義じゃないか」
「分かってないなあ、親父。これこそがこのゲームの醍醐味じゃないか」
トカゲの呆れに、ミカゲは呆れ返す。そう、ミカゲはゲームを降りた訳ではなく、勝つためにコースケに全額投資した。
「1億円与えられたコースケがどういう行動を起こすか。親父も思い切らないと食われるよ、私に」
「ハリボーでも食べてろ‼」
腹が立ったトカゲはミカゲにハリボーを渡す。それを美味しそうに摘むミカゲを見て、トカゲの溜飲は少し下がるのだった。
キョーヘイ