1P.ミカゲとトカゲ
天龍院見下下
「あの糞親父いいいいいいいいいいいいいいいいいいい、ぶっ殺してやるうううううううううううううううううううううううううううう‼」
ミカゲは初っ端から父親への激怒を示す。それはそうだ。何故なら
「私の服を自分の下着と一緒に洗濯するなんて‼ ゲスの極み乙女だよ‼」
いや、ゲスの極みだけで良いだろう。乙女まで入れるとよく分からなくなる。
「あの髭男爵があああああああああああああああああああああああ‼」
恐らく歌手繋がりで『髭男』と言いたかったのだろう。しかし、それにしても悪口に遣うような名称ではない。
「親父‼」
ミカゲは勢いよく親父の部屋の扉を開ける。
「あ、すまん。取り込み中だったか」
そして何か見てはいけないものを見たような気がして、ミカゲの顔は羞恥に焼かれてしまう。
「よく来たな、ミカゲよ」
「親父い」
ミカゲは感情が少しバグり、ブロリーみたいになってしまう。
「ミカゲー」
「ちょっとブロリーに寄せないで」
「ミカリー」
「さらにブロリーに寄せないで」
「で、話とは?」
「急に厳格な父親みたいに。ええと、今日こそあれで沈めてやる‼」
「何だ? 湯舟か?」
「いや、湯舟で沈めるとは言わないでしょ! 湯舟にでしょ!」
「風呂るか」
「風呂らないよ! テロルみたいに言わないでよ!」
「テロリー」
「さっきのブロリーと合体させないでよ!」
「で、話とは?」
「無限ループ⁉ いや、だからヒュマゲしようよ」
「ああ、ヒュマインズゲートか」
「いや、ヒューマン・マネジメントゲームだよ」
「ふふ、分かっているさ」
この父親は果たしてどこまで分かっているのだろうか。それはミカゲには推し量れないが、乗り越えるためには理解する努力も必要だ。理解できない相手は乗り越えることも困難なのだから。
天龍院父下下