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ROCKIN’ VOLCANO  作者: NOVENG MUSiQ


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11/12

揺れる想いと覚悟

ファイナルステージ前日、風in火山PJTは最終リハーサルに挑み、いよいよクライマックスを迎えようとしている。鈴楓のコーラスやサプライズ演出が加わり、メンバーたちは一丸となって最高のパフォーマンスを目指して準備を進めていく。

そんな中、ステージを前にした微妙な緊張感と、青春らしいドキドキしたやり取りが続き、風斗ふうとの心は鈴楓りんかとの距離感や、林音りんねへの謎の感情に揺れ動く。

いよいよ迎えるファイナルステージ――その裏に潜む複雑な心情や、メンバーとの絆がどのように物語を形作っていくのか。

 ファイナルステージ前日。俺たちは悠栄のスタジオで最終リハを行っていた。鈴楓も参加し、何度も曲の構成を確認。火煉のドラムが唸り、山河のベースが暴れる。俺はギターをかき鳴らし、声が枯れるほどシャウトした。


「よし、ひとまず休憩だ」

 悠栄が言い、俺たちはバタリと座り込む。皆、汗だく。鈴楓はタオルで顔を拭きながら、俺のそばに寄ってくる。

「風斗、もう一度だけ打ち合わせしたい。明日のサプライズ演出、私がアカペラで入るところ、ちょっとアレンジ変えたくて……」

「あ、ああ、もちろん」


 ふたりで譜面やノートを広げ、細かいタイミングを詰めていく。鈴楓の顔は近いし、甘い香りがふわりと漂ってきて、変に意識してしまう。彼女も頬を赤らめているようで、目が合うたびにドキッとする。


 そのとき、火煉が「着替えたい」と言って上着を脱ぎ出した。タンクトップ姿になると、女性としてのラインが意外にも強調される。

「おい、かれん、その格好は……」

「暑いんだから仕方ないでしょ。変に見ないでよね」

「わ、わかった」


 視線のやり場に困っていると、鈴楓がクスクス笑いながら「風斗って意外とピュアなんだね」と囁く。

「うるせぇ! 俺だって男だから、色々と意識しちまうんだよ……」

 すると、火煉も「何コソコソ話してんの?」と怪訝そうに見てくる。そこへ山河が「わーわー、ややこしくなるから落ち着け、みんな!」と仲裁。


 スタジオ内が何とも言えないドキドキとバタバタで騒がしくなるが、こういう青春っぽいやり取りが、緊張感をほぐしてくれているのかもしれない。


 夜になり、各自が帰宅準備を始める。俺は最後にギターの弦を交換しようと残っていると、林音がスタジオに現れた。どうやらフレキシブルローゼスの打ち合わせで来たらしい。

「……明日、だね」

「ああ。気合い入ってるよ、こっちは」

「ふふ……もしあんたたちが勝ったら、あたし……」

 林音は言いかけて、言葉を濁す。


「どうするんだ?」

「さあ。何か変わるかもしれないし、何も変わらないかもしれない。だけど……」

 林音は少しだけ瞳を潤ませているように見える。

「明日、全力でやりなよ。あたしも……あたしで、決着をつけるから」

 そう言って彼女は踵を返した。


 なんだ、この胸のざわつきは。鈴楓への想いと、林音への不可解な感情――どちらも俺の中で息づいている。

 でも、まずはファイナルステージだ。どんなに悩んでも、やることは一つ。

――ロックンローラーはアキラメナイ!――

 そう自分に言い聞かせ、明日に備えて目を閉じる。

ファイナルステージを前に、風in火山PJTのメンバーたちはそれぞれが抱える思いや、ちょっとした悩みを共有しながらも、いよいよ本番に向けてギアを上げていきます。緊張と興奮が交差する中で、鈴楓と風斗の距離感、そして林音との複雑な感情が物語にさらなる深みを加えていきます。

「ロックンローラーはアキラメナイ!」という信念を胸に、彼らがどんなパフォーマンスを見せるのか、そして最終決戦でどんな結末が待っているのか。次のステージがすべてを決める、いよいよ壮絶な戦いの幕が上がります。

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