明暗を分ける勝負
ついに最終決戦――ファイナルステージが目の前に迫り、風in火山PJTの熱は最高潮。予選や本選を通じて何度も挫けそうになりながらも、「ロックンローラーはアキラメナイ」という合言葉と共に突き進んできた彼ら。
一方で、絶対王者の呼び声高いフレキシブルローゼスも当然のように勝ち上がり、林音の視線がどこか意味深に絡んでくる。その雰囲気に戸惑いつつも、悠栄からもらった数々のアドバイスや、鈴楓のソロ案など、ファイナルに向けてステージ構成はさらに磨きをかけられていきます。
奇抜なアイデアで観客を巻き込み、破竹の勢いで挑む彼らに、果たして奇跡は訪れるのか――ロック魂が最高潮に燃え上がる、大勝負への幕開けです。
本選を勝ち残ったバンドはわずか数組。その中に俺たちの名が残っていることが未だに信じられないが、事実だ。次はいよいよファイナルステージ――優勝が決まる最終決戦である。
「まさかここまで来られるとはな……」
火煉が呟き、山河もうなずく。俺は胸を張って言う。
「ロックンローラーはアキラメナイ、だろ?」
「ふふ、そうだな」
フレキシブルローゼスも当然ファイナル進出。例のボーカルは相変わらず嫌味な態度で、「どうせ最後は俺たちが頂点だ」と言って憚らない。
林音はそんな彼らの背後で静かに立っているが、ときどきこちらを見ているような気がする。
悠栄からのアレンジ指導はますます熱を帯び、鈴楓は「コーラスだけじゃなく、私も少しソロを入れて盛り上げたい」と意欲を示す。
ステージを観客参加型にするプランや、途中で照明を完全に落としてアカペラのシャウトを響かせるなど、アイデアは尽きない。
「問題は、どこまで許可が下りるかだけど……」
「最悪、サプライズ突入しても面白いかもな!」
火煉が言い放ち、山河も笑う。
金やコネの不足は相変わらずだが、悠栄のつてで最低限の衣装や照明機材は借りられることになった。
「勝算はあると思うか、悠栄さん?」
そう尋ねると、悠栄は「さあな」と笑って答える。
「ただ、音楽ってのは数字だけじゃ測れない。お前たちの“魂”が本物なら、奇跡だって起こるさ」
その言葉に、俺たちは再び奮い立つのだった。
ファイナル進出という現実を前に、高まる期待と不安を抱える風斗たち。どれほど準備を重ねようとも、相手は勢いも名声も兼ね備えたフレキシブルローゼス。
しかし、数字では測りきれない熱や魂――それを信じるかどうかが運命を左右する、と悠栄は言います。金やコネの不足すら振り切るように走り出す彼らのロックが、ついに頂点に立つのか、それとも跳ね返されるのか。燃え上がる感情と期待を胸に、いよいよ物語はクライマックスへ進みます。