表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界最強の元騎士と  作者: ユタニ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/85

84.解放と


その朝、シャイナは厳かな気持ちでダイニングの食卓にエスカリオットと向かい合って座っていた。

これからエスカリオットを奴隷の身分より解放するのだ。


因みにモノローグで申し訳ないが、既にプロポーズは成っている。

タイダル公国から帰って来たのは昨日で、ハン国からの報酬の金はきちんと振り込まれていたのでエスカリオットはすぐに「結婚してくれ」と申し込んでくれた。


眩しいもののように見つめるようにして、為された求婚に、シャイナはそれなりにドキドキしながら「はい」と答えた。


そしてシャイナは、承諾の返事と共にエスカリオットをこのまま奴隷にしておきたくない、と伝えたのだ。

己の奴隷であるエスカリオットと結婚する、というのは、どう考えても外聞が悪いしシャイナ自身も腑に落ちない。

なので奴隷から解放させてほしいとお願いをした。


エスカリオットは少し考えてから「それなら解放後、すぐに教会で誓ってくれ」と言った。

以前に、奴隷の首輪はシャイナとの繋がりであるからと解放を断っていたから、それがなくなるのは落ち着かないようだ。


この寂しがり屋さんめ、と思ったシャイナである。


というわけで、これからエスカリオットを解放し、そのまま教会で夫婦の誓いもする。

貴族であれば結婚に際して何かと手続きが必要だが、平民の結婚は教会で誓い、立ち会った神父に台帳に記入してもらうだけだ。

式をするとなると予約や準備が必要であるが、誓いだけなら神父の時間が空き次第、すぐに出来る。


「首輪よ、聞け」

シャイナは言葉を紡いだ。


シャイナの言葉に反応して、エスカリオットの襟元から覗くミスリルのチェーンがキラリと光る。


一瞬、シャイナの脳裏にタイダルの二日目の夜の素肌にミスリルのチェーンだけ着けていたエスカリオットが過った。

同時に、この美しい男が自分のものなのだと実感して背筋がゾクゾクした感覚も甦る。


(うわっ、バカバカ)

シャイナは慌ててその刺激的な画を追い払い、解放に集中した。

エスカリオットが笑った気がする。


「彼の者を解放せよ」

少し心を乱してしまったが、続けて言葉を紡ぐ。無事に命令は出来たようだ。

チェーンがぱあっと光り、その形を変えた。


光が収まると、かたんと机の上に元の形状に戻った首輪が落ちる。

エスカリオットがゆっくりとそれを手に取った。


「あっけないものだな」

「作業としては簡単ですからね」

「そうだな」

エスカリオットがしげしげと首輪を眺める。六年ほど着けていたものだから愛着があったりするんだろうか。


「首輪自体は高価なものなので、そこそこの値で換金も出来ますけど、記念に取っておいてもいいですよ」

「それもいいな」

そう言うとエスカリオットは首輪を置いて立ち上がる。


「さてシャイナ。教会へ行くぞ」

エスカリオットは本当に“すぐ”の誓いを求めているようだ。


「あ、はい!」

愛しい黒豹を不安にはさせられないので、シャイナもいそいそと立ち上がる。


「ところでシャイナ」

「はい」

「さっき、いやらしい事を考えてなかったか?」

ニヤリとするエスカリオット。


「か、か、考えてませんよ!」

かなり刺激的なエスカリオットを想像してしまっていたシャイナは真っ赤になって否定した。真っ赤になっているので肯定しているも同然だ。


「俺の狐はいやらしいな」

「狼です! 考えてません!」

「いやらしいシャイナも好きだ」

「いっ、すっ……だから、考えてませんよ!」

ムキになりながらシャイナはずんずん歩いて家を出て、教会へと向かった。



教会に着くと、ちょうど神父の手が空いていてシャイナとエスカリオットはすぐに夫婦の誓いをした。神父に祝福されて教会を出る。


「これでまた、俺はお前のものだな」

エスカリオットが甘い声で言う。

「私もエスカリオットさんのものですよ」

負けじと言い返すとふっと笑われた。


「そうだな、俺の愛しい狐」

とてつもなく甘く蕩ける笑顔を向けられたが、シャイナはちゃんと訂正した。


「狼ですう」


爽やかな朝の光の中、二人は並んで家へと帰った。




fin







お読みいただきありがとうございます!

こちらで完結です。

ブクマに評価、いいね、感想、誤字報告、本当にありがとうございました。感謝しております。





さてこの作品、最初に浮かんだシーンは37話の戦闘中にシャイナをシャツに入れちゃうエスカリオットなんです。

ボロボロのいい男が小生意気な少女に癒され、手懐けられていく……というのが書きたいな、と思ったけれど書き切る自信がなくて、導入部分を13話まで書いて一旦完結にしました。


そこからは「さ、一応完結させたし、後は趣味でダラダラ書くぞ」とのんびり書きました(なろうで書いてるのは全部趣味なんですけどね)。

作者としては、エスカリオットさんが長大に、でも地味に、ただ癒されて落とされていく話だったのですが、どうでしたでしょうか?

せっかくチートな二人なのに、世界や国は救ってないんですよね。もったいない。


ここで完結なのですが、終わらないで、の感想を幾つかいただき、とても嬉しかったです。

書いててかなり楽しい二人なので、機会があればまた書こうかな、とは思っています。

たまに覗いてみてくださいね。

何度もになりますが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ホントに素敵なお話でした。なんと言っても作者さんの描く強い男(ヒーロー)はもうめちゃくちゃに素敵です。 ヒロインも可愛いかったりかっこよかったり気が強かったり色々ですが、全然嫌味がない、イライラしない…
素敵なお話ありがとうございます! 一話一話丁寧に読みました、面白くて鬱展開もないので終始ホッコリ出来ました。
幸せな気持ちで読み終わりました。 ありがとうございました! 無双な2人だけど、降りかかる火の粉を払う以外、その力を振るわないところが、また2人らしい。 でも、この2人はまた何かに巻き込まれそう。公国…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ