5話
アクタ「今のは冗談じゃ通じないよね」
兵士「こちらに勝ち目が無いことがわかった、非礼を詫びたい」
アクタ「勝てなくなったら、そこで終わりなの?」
兵士「私もこの人数の命を預かっている。この人数を減らさず、返すことが私の使命だ」
アクタ「そうなんだ、それで?」
兵士「私の命で許してほしい」
アクタ「それはおかしいんじゃないかなぁ。いい大人が寄って集って攻撃し、剰え後方から狙撃でしかも確実に殺しにか
かってるんだからさ、せめて攻撃した人はね?」
兵士「すまなかった。こちらとてわからない者を信じろと言う方が無理があった。この兵隊が少しでも減れば私の国があなたを殺しにくる」
アクタ「少なくとも俺は話すつもりだった。それで攻撃してきたのはあなたたちだ。それに恐喝紛いなこともするとは」
兵士「恐喝などではない。真実を伝えたまでだ。兵士を残し、私だけの命で済ませてくれれば、他の兵士に言伝を頼んで…」
アクタ「それさ、信じろって言う方が無理なんじゃない?急に攻撃してきた人たちの言う事を聞けっていうの?」
兵士「それは…」
アクタ「自分達がどれだけ自分勝手な話をしてること気がついた?しかもここで全員いなくなれば言伝される必要もないしね」
兵士「…」
アクタ「それでどうする?このまま戦う?それとも攻撃してきた兵士をこっちに寄越す?」
兵士「それは…どうにか私の命だけで許してもらえないだろうか…」
アクタ「だから、それは罷り通らないんだって」
兵士「それではせめて、苦しませないように頼む。我々全員の命を持って償おう」
アクタ「あらら、兵士の皆さんかわいそうだね」
兵士「私の問題だ。若いから、わからなからと言って手を出すべきではなかった」
アクタ「やっとわかったんだね、全く。最初からそう言ってくれれば俺だってこんなニヒルな立ち位置をしなくて済んだのに」
兵士「…?」
アクタ「わかってくれればいいよって話。別に俺は人殺しをしたくてしょうがないってわけじゃない。これから気をつければいいと思うよ」
兵士「それでは私の面目が…」
アクタ「君のメンツなんてどうでもいい。いいじゃないか、誰も死ななかった。それだけ。これから間違えないでね」
兵士「其方に感謝する」
アクタ「あ、でもこの魔物持っていくのは手伝ってもらっていいかな?」