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100話 波のようなお茶会

「まあ! 今日もお美しくて素敵ですよ!」



 王妃様のお茶会に出かけるため着飾った私に、ティナが興奮気味に声をかけてくる。

 私はその言葉に対し感謝を述べながらも、つい冴えない表情を浮かべてしまった。



「エミリア様、どうなさったのですか? もしやお身体が優れませんか?」



 落ち着いた口調だが、心から心配するように訊ねてくる。そんなティナに、私は慌てて誤解を解くよう声をかけた。



「いいえ、身体はいたって健康よ」

「でしたら……」

「以前、王妃様のお茶会に呼ばれた日のことを覚えている? 何だか、あの日のことを思い出しちゃって、ちょっと緊張しているの」



 マティアス様に嫁いでから、初めて呼ばれた一度きりのお茶会。あの日のことが、つい脳裏を過ぎるのだ。



 今日呼ばれたのは、私と同年代の貴族令嬢たちという情報だけ招待状で伺っている。だから今日はきっと大丈夫だろう。

 そう思うものの、以前のお茶会が少しトラウマになった私は、今日のお茶会に僅かな不安を募らせていた。



 しかし、拒否権はあってないようなものとはいえ、招待を受けたのは私自身。だから行くしかない。

 そう気持ちを切り替えて、私はティナと共に王宮行きの馬車に乗り込んだ。



◇◇◇



 王宮に到着し、目的地の通過点となる開放庭園を歩く。その道すがら美しい花々に目を向け、私は隣を歩くティナに声をかけた。



「この開放庭園は、いつ見ても綺麗よね。まさに壮観だわ……」

「はいっ……! 何だかすべてが輝いているようです」



 花弁に付いた水滴が太陽の光を受けて、非常に幻想的な様相を醸し出している。

 その花々の美しさに魅了されたティナの目は、それらに負けない程キラキラと輝いていた。



 彼女の少女らしい姿を見て、不安な気持ちがフッと薄れる。

 するとそのとき、前方にあるトピアリーの影から人がふらっと出てきた。そして、目が合った。



「エミリア嬢?」

「コーネリアス殿下……!」



 突然現れた人物、それはコーネリアス殿下だった。

殿下はやはり私だと認識した途端、その表情を明るくした。直後、その長い足を生かし、あっという間に私たちの目の前までやって来た。



「母上に招待されて来たのか?」

「っ……御機嫌よう、コーネリアス殿下。左様でございます。王妃様にご招待いただき参りました」



 驚きで先程は出来なかった挨拶を済ませ、何とか殿下の質問に返答した。すると、殿下はその答えを聞くなり、パッと顔を綻ばせた。



「そうか、よく来たな。ぜひ楽しんでいってくれ」

「はい。ありがとう存じます」



 私のお礼に殿下は軽く頷きを返す。かと思えば、ふと何か閃いたような面持ちになり、再び話しかけてきた。



「そうだ、エミリア嬢。実は直接会ったらお礼を言いたかったんだよ」

「お礼ですか?」

「ああ。ブラッドリー侯爵家以外にも、エミリア嬢個人で王立学校に寄付をしてくれただろう。そのおかげもあって、学校設備を拡充することが出来たんだ」



 そう言うと、殿下は喜ばし気に破顔した。以前会った時と違い、グッと底抜けに明るくなった殿下。そんな彼に、私は内心ホッとしながら言葉を返す。



「それは良かったです。いわば、この寄付は未来に向けた先行投資です。ぜひこの国の未来を支える、優秀な人材が創出されますよう願っております」

「ああ、ありがとう。カリスが揃えた教授陣たちも、優秀な人ばかりだ。きっとその願いは早々に果たされるだろう。楽しみにしてほしい」



 頼もしいその答えを聞き、コーネリアス殿下が自信に満ち満ちているのが分かる。

 私はその自信のエネルギーを分けてもらい、殿下と別れて王女宮のお茶会場へと向かった。



◇◇◇



「よく来てくれたわね、エミリア嬢」



 挨拶を済ませると、慈愛に満ちた表情の王妃様が笑みを零す。

 そして、座るように促された席に着座すると、王妃様が私より唯一先に来ていたご令嬢の紹介を始めた。



「エミリア嬢。こちら、今年デビュタントを迎えたハヴェル伯爵家のクララ嬢よ。ぜひ仲良くしてあげてね」

「初めまして、エミリア嬢。わ、私、ハヴェル伯爵家のクララ・ハヴェルと申します。どうぞ、よ、よろしくお願いいたします」



 彼女は非常に緊張している様子で、噛んだり詰まったりするたびに赤面をしている。

 決して派手ではないけれど、優しく穏やかそうな彼女は、とても可愛らしい人のように思える。まるで小動物のようだ。



 この方なら、仲良くなれそうな気がする。そんな思いで、私はクララ嬢に挨拶を返した。

 


「こちらこそ初めまして、クララ嬢。お会いできてとても嬉しいです。ハヴェル伯爵家の領地のヴァスカと言えば、チーズの生産が有名ですよね。ビオラの大好物なので、家族皆で美味しく食しております」

「えぇっ! ご存じでいらっしゃるんですか!? 嬉しいですっ……」



 鈴の鳴るような声を出すと、クララ嬢は桃色に染まった頬に手を添え、それは嬉しそうにはにかんだ。

 そんな私達の様子を見ていた王妃様も、和やかな笑みを浮かべている。



「今日は楽しいお茶会になりそうで良かったわ」



 そう告げると、王妃様はカリス殿下とそっくりのウインクを私に飛ばしてきた。


 

 それから数分し、招待された私含めた八人が全員揃った。すると、王妃様が改まった様子でスっと姿勢を正した。



「今日皆を集めたのは、ご令嬢同士で交友の輪を広げていただきたいと思ったからよ」



 この王妃様の言葉は、確かに真実だろう。だがデビュタントしたばかりの人々が、デビュタント済みの人々とつながりを持てる場を設けたというのが、本当の目的だと思う。



 そして王妃様の作戦は功を奏し、私たちの会話は年齢問わず弾んだ。非常に穏やかで明るい空気がこの会場を包んだのだ。



 そしてお茶会が始まり四半刻が経った頃、愉しそうにご令嬢たちの話に耳を傾けていた王妃様が、唐突に口を開いた。



「今日は皆さんにプレゼントをご用意したのよ。喜んでいただけると嬉しいわ」



 そう言いながら、王妃様は使用人に合図を送る。すると、どこからともなくトレーに紙の束を載せた使用人が現れた。



 いったい何なのだろうか。そんな推理を巡せていると、王妃様が例の紙の束に目を向けた。



「何か気になるでしょう? これは私がセルジュに頼み、皆のイメージを元に作らせた楽譜よ」



 私の疑問を解くように、意外なほどあっさりと王妃様が種明かしをする。だが、その答えに私は驚いた。



 王妃様が告げた作曲家のセルジュ。

 彼は神出鬼没で、顔を知る者がいない稀代の天才作曲家として、この国の貴族で知らない人はいないほど有名な人物なのだ。



 そんな人に何曲も作曲をさせるなんて、王妃様の人脈は凄まじいと痛感せざるを得ない。



「順番に配るわね」



 そう言うと王妃様は優雅な所作で立ち上がり、楽譜を持った使用人と共に巡回を始めた。皆に楽譜を渡すときに、一言ずつ声をかけている。

 そして、ついに私の番がやって来た。



「エミリア嬢の楽譜はこれよ」

「ありがとうございます。……えっ?」



 目を合わせて王妃様にお礼を言い、受け取った楽譜に視線を落とす。その瞬間、私は戸惑いの声を漏らしてしまった。



――どうして連弾楽譜なの?

 しかもこのタイトル……。



 渡された楽譜は、どう見ても独りで演奏できる楽譜ではない。しかも曲のタイトルは私に不釣り合いなほど、大層な名前だった。



 この楽譜は、本当に私をイメージして作ったものなのだろうか。そう思い困惑する私に、王妃様は麗らかな笑顔を見せた。



「エミリア嬢。ぜひ今度弾いて聴かせてちょうだいね」



 いや、誰と弾くんですか。なんて言える訳もなく、私は笑顔で王妃様に「もちろんです」という言葉を返した。そうするしかなかったのだ……。



 こうして皆の手に楽譜が回った。

 しかしその中に、私のように困惑している人は誰一人いなかった。嬉しそうに、今日一番の興奮を見せている人ばかりだ。



――皆さんの楽譜は、どんな楽譜なのかしら?

 きっと連弾で無い人が多いのよね。



 そんなことを考えていると、王妃様が全体に通る澄んだ声を発した。



「私がいると、話したいことも話せないでしょう。席を外すから、この後もゆっくりと楽しんでちょうだい」



 そう言うや否や王妃様は楽しそうに笑い、役目を果たしたというように部屋を後にした。

 すると王妃様が部屋を出て扉が閉まった途端、ある人物が口火を切った。



「皆さんと今日こうしてお会いできて嬉しいわ」



 そう告げたのは、私より二歳年上のブレア嬢だ。彼女は私たちにぐるりと視線を向ける。そして、不敵な笑みを浮かべるとさらに言葉を続けた。



「こうして我々が呼び出された理由……皆さんは何だと思いますか?」



 彼女の唐突な質問に、皆が面食らった表情を浮かべる。

 しかもよりにもよって随分と答え辛い質問だ。そう思っていると、ブレア嬢の幼馴染のドロシー嬢が口を開いた。



「さあ、交友の輪を広げるためでは? シーズンじゃないから、来られる令嬢を把握したうえで、気を遣って集まれる場所を提供してくれたんじゃない? ブレア嬢はどのように考えているの?」



 よくぞ聞いてくれた。そんな思いでドロシー嬢を見つめた後、ブレア嬢に視線を戻す。

 すると彼女はドロシー嬢の質問を受け、一際楽しそうな笑みを浮かべて告げた。



「当然、王子様の結婚相手候補の選別でしょう」

「「「えっ……!」」」



 結婚相手の選別という言葉に、三人のご令嬢が驚きの声を漏らす。

 一方、ブレア嬢とドロシー嬢と私を除いた二人は、何となく察していたというように小さく頷いた。



 それにより、先程までの明るく和やかな空気は生温い微妙な空気へと変わる。

 その反応から、何かを察しマズいと思ったのだろう。幼馴染を庇うかのようにドロシー嬢が明るい声で話を若干逸らした。



「そうだ。王子様と言えば、最近カリス殿下の噂を聞きましたか?」



 カリス殿下の名に、思わず私の耳が反応する。しかし、何々!? と聞くわけにはいかない。


 

 だが、いったいどのような噂なのだろうかと、つい気になってしまう。そんなもどかしさが心に芽生えたその瞬間、ヘレン嬢が反応を示した。



「ええ、伺っておりますよ。カリス殿下が巡回を終えた領地のご令嬢たちの間では、カリス殿下の話で持ち切り状態ですもの」

「そうなんですよ! 私の領地にも来てくださったんですけれど、噂と違って本当に親切で、慈愛の心がある優れた人だと、領民からも大絶賛でしたわ!」

「私も昨日伺いましたわ。ジュリアス殿下も今人気が上がってきておりますし……。ついに、ご令嬢の間で戦争が始まりそうですわね」



 まあ、私には面倒だし荷が重いから興味はないけれど。そう付け加えた、この場の最年長かつ唯一公爵家のケイリー嬢の発言に、皆がある意味納得だと口を閉ざす。

 しかしただ一人、この沈黙を打ち破る何かを思いついたように、ブレア嬢が破顔した。



「そうだわ! カリス殿下と言えば……クララ嬢。聞きましたよ」



 その言葉に、その場にいた全員がクララ嬢に目を向ける。



「ブ、ブレア嬢……な、何をでしょうか?」

「いやね! 知らないふりなんてしなくて良いじゃない。カリス殿下と色々あったんでしょう?」

「えっ……それは――」

「何をもったいぶるの? このあいだのお茶会でそれは愉しそうに話してくださったじゃない! 皆さんにもお聞かせしてあげてちょうだいよ。ねっ?」



 二人の会話を聞き、何となく不快な気分が込み上げる。なぜこのような気持ちになるのか、自分でも分からない。

 聞きたいと思うような、でも聞きたくないというような、よく分からない感情が私の心を乱すのを感じる。



 この自身の感情が理解できず戸惑っているうちに、クララ嬢は桃色の頬を林檎のような赤に染め上げていた。そして私がそのことに気付いた時、クララ嬢は照れた様子で口を開いた。



「ええっと……色々あったという訳ではないんですが……」



 そう言いながら、彼女はカリス殿下との出会いの話を語り始めた。その話をまとめるとこうだ。



 彼女は領地で乗馬中に落馬してしまった。死ななかっただけでも幸運だが、足を痛め動けなくなってしまったらしい。

 安全な場所だからと従者も伴わずやって来てしまい、広い草原だから運悪く近くに人が居なかった。そして、クララ嬢は途方に暮れていたという。



 そんなとき、馬を走らせに来たカリス殿下がクララ嬢を発見した。そして、彼は歩けなくなったクララ嬢を相乗りで抱き抱え、ハヴェル家の邸宅まで送り届けてくれたという話だった。



「白馬の王子様が本当に存在するのだと、心の底から感動しましたっ……!」



 そう締めた彼女の話を聞き終わり、私はホッと安心の息をついた。なぜなら、彼がその状況で人を助けないなんて有り得ない話だからだ。



 クララ嬢だけが特別という訳ではない。

 老若男女貴賤問わず、彼なら誰だったとしても助けることを知っている。その確信が、私の心に合った不快感を一掃した。



 つまりこれは、彼のただの善行の話だったのだ。

 だが、周囲の反応は違った。



「ということは、カリス殿下はクララ嬢を見初められたということですか!?」

「一応お父様に挨拶は――」

「それって恋が始まる典型じゃないですか!」

「えっ、恋ですかっ……! そう……なのでしょうか?」

「絶対間違いありませんわ! カリス殿下はクララ嬢に惚れていらっしゃるのよ!」



 そう言って、ケイリー嬢と私を除いたご令嬢は盛り上がり始めた。



 一応カリス殿下から告白されている身として、非常に気まずい。

 だがそれ以前に、自分がカリス殿下の立場だったらと考えると、この会話は非常に不快に思えた。他人に自身の想いを好き勝手に決めつけられるのは、私だったら嫌と思うからだ。



 しかし、彼女らの盛り上がりはますます加速していく。その様子に対し、私の我慢はとうとう限界に達してしまい、興奮した様子の彼女らについ声をかけてしまった。



「皆さん。お楽しみのところ水を差すようで申し訳ございませんが、そこまでカリス殿下の感情を決めつけすぎてしまうのは、少々問題かと……」



 私が話を進めるにつれ、皆の表情から笑顔が消える。

 クララ嬢があっ! と申し訳なさそうに肩を竦めるのを見ると、何だかとても悪いことをしたような気分になる。



――黙っていても良かったのに、どうして言ってしまったのかしら……。



 私のせいで気分が悪くなった、場が白けた、とでも言いたげな皆の視線が突き刺さるのを感じ、その場から消えたくなる気持ちが込み上げる。

 だがそのとき、私と同じく口を閉ざしていたケイリー嬢が、唐突に口を開いた。



「エミリア嬢は、離婚したから恋のお話に寛容じゃないのね」

「っ……そういう――」

「でも、それよりも皆さんの方が問題よ。カリス殿下の感情を軽視し過ぎでは? 盛り上がるのはよろしいことだけれど、憶測で物を語り過ぎると不敬にもなるのよ。お判り?」



 ケイリー嬢のその言葉に、皆は青ざめ口を閉ざした。するとケイリー嬢は、はぁと深くため息をつき言葉を続けた。



「今日はもう解散ね」



 その言葉と共に立ち上がったケイリー嬢は、あっという間に部屋を出て行く。

 私はというと、この気まずさから抜け出すために、挨拶の言葉を述べてケイリー嬢に続いて退室した。



「エミリア嬢」



 馬車置き場まで来ると、なぜかケイリー嬢が待ち伏せていたかのように私の名前を呼び近付いてきた。

 すると、彼女は突然申し訳なさそうに顔色を暗くした。



「先程はごめんなさい。あなたが不寛容だなんて本当は思っていないわ」



 突然の謝罪に、思わず混乱してしまう。



「ええと、それは……」

「ただの正論を言っているだけなのに、あなたが悪者になり過ぎていたもの。だから気を逸らすために、わざとあなたを悪く言ったの。ねえ、許してくれるかしら?」



 謝るのではなく、許してくれるかしらという発言に内心驚く。でも、これは私の立場が悪くならないよう気遣ってくれての発言だから、許さないなんて選択肢は無い。



「はい、そう言うことでしたら――」



 私の言葉はまだ途中だった。だが私の返しを悟った彼女は申し訳なさそうな表情を晴れやかなものへと一転させ、私の両手を掴み喋り始めた。



「はっきりと主張するあなたの姿勢に好感が持てたのよ。ねえ、私たち友人にならない?」

「っ……! ケイリー嬢とですか? はいっ……私は大歓迎ですよ!」



 彼女からのまさかの提案に驚くも、友好関係が結べることは良いことだと思い受け入れた。すると、ケイリー嬢は喜んだ様子で無邪気に話しかけてきた。



「良かったわ! あなたって、ヴァンロージアに行ってから人が変わったみたい。良い経験をしてきたのね」



 可哀想だと言われることはあっても、良い経験をしたと言われたのは初めだ。良い経験、その未だかつて言われたことのない言葉が脳内をリフレインする。



 しかし彼女は、特別なことを言った自覚などは当然無いという様子で、さっぱりと言葉を続けた。



「今のあなたは昔のあなたと違って、良い友人になれそうだわ。今度お茶をしましょうね」



 一方的にそう言い切ると、彼女は「じゃあね」と言い、颯爽と馬車に飛び乗り帰った。

 私はティナとそんな嵐のような彼女を見送り、その後自分たちも馬車に乗り込んだ。



「エミリア様、収穫があって良かったですね!」



 馬車に乗り込むなり、ティナがそう声をかけてくる。


 

「ええ、そうね。良かったわ。でも……私も我慢というものを覚えないとね」



 ティナの言うことはごもっともだが、内心反省していた私はその気持ちをティナに零した。



 この私の反応に、ティナは気難しい顔をしてうーんと唸り声をあげる。しかしそれから間もなく、ゆっくりと言葉を選ぶように彼女は口を開いた。


 

「カリス殿下のことだから……つい我慢できず言ってしまったのではありませんか?」



 その言葉に、思い当たる節があり思わず唇をキュッと引き締める。するとティナはそんな私を見て、母を彷彿とさせる優しい微笑みと共に言葉を加えた。



「恋ではないかもしれません。ですが今、エミリア様にとってカリス殿下はご自身が思う以上に、大切な人になっているのではないでしょうか」



 そう告げるティナの言葉は、私の心を不思議と軽くしてくれた。

ついに100話まで来ました。

皆さんの応援のおかげです。誠にありがとうございます。


完結までもう少し……。

エミリアにとってのハッピーエンドを見届けていただけますと幸いです✨

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